【blender備忘録】スタジオのような三点照明でライティング(lighting)を設定する方法

三点照明とはなにか

意味

三点照明(さんてんしょうめい,3 Point Lighting):キーライト、二番目のフィルライト、三番目のユーティリティーライトを使用するライティングスキーム(計画)のこと。たとえば左上にキーライト、右上にフィルライト、後ろにバックライト(リムライト)を設置したりします。昔の伝統的な絵画や現実の自然にはほとんど三点照明が存在しないそうです。つまり、人工的なライティングということができます。物をきれいにみせたり、モデルさんをきれいに撮ったりと、そういった場面で使われます。シュレックなどの3D映画でも、キャラクターを際立たせるために使用されたりしているそうです。

ライティングとはなにか 絵を描くために必要な光源と照明用語の理解

スタジオ撮影で使われるような環境

このようなイメージですね。良く言えばキレイに見えますが、悪くいえば自然には見えません。

強めの光、弱めの光、後ろからの最も強い光という3つの分類に大別できるかもしれません。

上の画像に、白い坂のようなものが見えると思います。今回作るのはこれです。名前は・・背景シート?でいいんですかね。材質によっても名前が変わるらしいです。

出典

この撮影キットを売っている店では、そういう名前でした。

別の名前ではデコラ板ともいうそうです。メラミン化粧板ともいうそうです。映り込みがきれいな板を意味するそうです。板だったり、布だったりするわけですね。布の場合は「背景布」ともいうらしいです。

今回作成した動画

 

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blenderで三点照明のライティング設定を行う方法

ステップ1:平面(plane)を追加する(床を作る)

平面を追加し、拡大する

SHIFT+Aで平面を追加します。次に、Sキーで拡大しましょう。どれくらい拡大するかは、配置するオブジェクトの大きさ次第になります。

大きなオブジェクトには、大きな平面が必要になってくると思います。参考にした動画では、オブジェクトの8倍から10倍の広さでしたが、特に決まりはないと思います。

ステップ2:オブジェクトと平面をぴったり合わせる

オブジェクトと平面をピッタリ合わせる

この作業は人によってはオブジェクトを平面から浮かせたりするので必要ありませんが、一応作業しておきます。

SHIFT+TABでスナップをオンにし、スナップ先を頂点にするだけです。その状態でオブジェクトを近づけるだけです。

やり方の詳細は「【blender備忘録】異なるオブジェクトをぴったりと合わせる方法(スナップの使い方)」をごらんください。

ステップ3:辺を押し出して壁を作る

Eキーで壁を押し出して作る

Eキーで壁を押し出して作る

編集モード[TAB]に切り替え、辺をEキーでZ軸方向に押し出して作ります。Eキーを押した後、Zキーを押せば、Z軸に押し出す方向を限定させることができます。どのくらいの大きさにするかは、決まりはないと思います。最低限、オブジェクトより大きい必要があると思います。

ちなみに辺のショートカットキーはテンキーではない方の数字のです。

ステップ4:面取りをする

面取りをして角を滑らかにする

Control+Bキーで面取りをします。角を滑らかにするということです。

セグメントの数を増やします

セグメントの数を増やします

左下の設定で、分割数を増やします。

ステップ5:スムースシェードを行う

スムースシェードをかける

オブジェクトモードに変更し、右クリックで[オブジェクトコンテクストメニュー]を開き、スムースシェードをかけます。

スムースシェード後

スムースシェード後

表示が滑らかになりました。

ステップ6:レンダー環境を整える

画面を2分割に

画面を2分割に

まずは画面を2分割します。画面の角をひっぱってくるような感じです。次に、左側の画面を0キーを押してレンダー表示にします。

2画面

次は片方を0キーでレンダー表示にします。レンダリングする際、どのような角度にするかをここで調整します。どのようにレンダリングしたいかは各自の好きなようにやっていいと思います。

カメラをビューに

カメラをビューに

今回は右斜から撮るような感じでいきます。設定はいろいろな方法がありますが、今回は[ビュー]の中の[ビューのロック]の設定項目の、[カメラをビューに]にチェックを入れて設定します。こうすることで、マウスで角度を変えながら、カメラも同時に動かすことができます。ミドルマウスボタンをクリックして視点を変えると、それに合わせてカメラの位置も変わるということです。

今回の角度

カメラの設定が終わったらチェックを外しておきましょう。こうすることで、視点を変えてもレンダー表示が一定になります。

ステップ7:1つ目のライトを追加する(キーライト)

ライトを削除する

最初からあるライトは消しておきます。

スナップをオフにする

スナップをオフにする

ついでにスナップもオフにしておきます。オフにするのをすっかり忘れていました。

SHIFT+Aでエリアライトを追加する

SHIFT+Aでエリアライトを追加する

SHIFT+Aで[ライト]から[エリア]を選んで追加します。

エリアライトの設置

エリアライトの設置

追加したライトはGキーRキーを使って調整するか、あるいはギズモで調整しましょう。オブジェクトの右斜め上あたりに配置するというのがポイントです。

ギズモで操作する場合、SHIFT+TでR回転のみを調整することができます。

ライトの強さを変更

ライトの強さを変更

ライトの強さは初期設定では弱いので、丁度いい強さに変更します。どのくらいの強さが適切かはオブジェクトと、各自の好みがありますので調整してください。参考にした動画では5000Wとかなり高めでした。レンダー表示はCyclesに変更していますが、これも好みだと思います。

ステップ8:キーライトの設定を変更する

ライトの形を変更する

ライトの形を変更する

[オブジェクトデータプロパティの]エリアの設定から[シェイプ]の[正方形]を[長方形]に変更します。

ライトのサイズを変更する

ライトのサイズを変更する

サイズも変更します。Xを7m、Yを5mくらいに変えます。サイズにも決まりがないと思いますので、適宜最適な形を模索してください。

ライトの名前を変更する

ライトの名前を変更する

ついでにわかりやすいように、名前をkeylightに変えておいたほうがいいかもしれません。今回は省いています。

ライトが大きくなった

ライトが大きくなった

たしかにライトが長方形になり、大きくなってますね。

キーライトのみ

キーライトのみ

キーライトのみでレンダリングすると、このような感じになります。これでもそこまで悪くないですよね。

ステップ9:フィルライトを追加する

二番目のライトです。追加方法は、先程のキーライトをオブジェクトモード時にSHIFT+Dキーでコピーするだけです。

フィルライトを設置する

フィルライトを設置する

わかりやすうに、さらに画面を分割して3つにするといいかもしれません。ひとつはテンキーの7を押して上からの視点にしておきます、コピーした後、先程のキーライトの方向とは反対の位置に設置します。

ステップ10:フィルライトの設定を行う

フィルライトの方向を変える

フィルライトの方向を変える

光の方向を変えます。Rキーでもできると思いますが、今回はギズモの青い部分を使って回転させます。

フィルライトの設定を変更

フィルライトの設定を変更

さらにパワーを5000Wから3000Wに落とし、サイズもX、Yを両方とも0.1mにします。先程変えたように、シーンコレクションのAreaの名前もフィルライトに変えてもいいかもしれません。

ステップ11:レンダー解像度を下げておく

解像度を下げておく

解像度を下げておく

この項目はなぜそのようにするか、正直わかりません。たしかに解像度を下げたほうが軽く、レンダリングも早くなります。cyclesはかなり重いので、解像度を下げたほうがいい場合もあるかもしれません。最終段階になってクオリティを上げたいときに、再度調整すればいいだけの話です。今回は半分にしておきました。

[出力プロパティ]の[寸法]から設定を変更することができます。

ステップ12:バックライト(ユーティリティーライト)を追加する

バックライトの設定

バックライトの設定

先ほどと同様に、フィルライトをSHIFT+Dで複製し、右側に配置します。その後、オブジェクトの方向へ光が行くように、回転させます。ただ、この位置はオブジェクト次第で後々動かすので、あまり厳密になる必要がないと思います。

ステップ13:バックライトの設定を変更する

バックライトのパワーを変更する

バックライトのパワーを変更する

ライトをエリアからスポットに変更します。またパワーを3000Wから30000Wに変更します。こんな強く設定するんですね。もちろん決まった数値ではなく、臨機応変に変えていきましょう。

ステップ14:最終調整をする

ここからの調節は試行錯誤で、なかなか画像で追っていけそうにないので詳細は動画でご覧ください。レンダリングはサンプリングのレンダー数を上げ、でノイズのレンダーにチェックを入れてノイズを減らしています。今回はcyclesを使用しています。

完成図

完成図

最終的にはこんな感じになりました。

 

キーライトのみ

キーライトのみ

まずキーライトのみです。

キーライトとフィルライト

キーライトとフィルライト

次にキーライトとフィルライトです。

三点照明

三点照明

最後にキーライト、フィルライト、ユーティリティーライト(バックライト)の3つの三点照明です。

別の設定

別の設定

別の設定

別の設定

別の設定

別の設定です。

テスト

テスト

テスト2

テスト2

テスト3

テスト3

ちなみにこんな感じです。今回はバックライトをSキーで小さめにして、半径を広げてみました。ただしこれは参考動画がしてはいないことなので、あくまでも参考程度にお願いします。

ラストテイク

ラストテイク

ラストテイク

ラストテイク

ステップ15:Aを動かしたら、Bになることを確認する

これは各自の環境でテストしてもらうしかないのですが、一応検証しておきます。自分に合ったライティングをするためには、基本操作が重要になります。

これを参考に最終調整を行ってみてください。

テスト1:バックライトのサイズをSキーで変化することの意味について検証

バックライトのサイズを小さくすると、レンダリングにどのような意味があるのかを検証します。

 

テスト1

テスト1:ライトは初期設定のまま

まずは初期設定のサイズから変更しないケースです。他のライトはオフにしています。

テスト2:ライトを小さく

テスト2:ライトを小さく

次に、ライトを小さくしてみました。変わりません。ちなみにバックライト(スポットライト)を大きくしてもレンダリングに変化はありませんでした。

重要な変更点があります。CyclesではSキーで変えても、特定の軸を動かしても変化がありませんでしたが、Eeveeでは特定の軸を動かすと変化がありました。

レンダリングの違い

たとえばX軸を大きくすると、照らす範囲が大幅に変わります。レンダリングの違いに気をつけたいところですね。

テスト2:エリアライトのサイズの変化を確かめてみる

これはcyclesの検証です。eeveeでも同様の変化を確認できました。さきほどのスポットライトの拡大ではあまり変化を感じられませんでしたが、エリアライトの拡大では変化がありました。影の調整をしたいときに、エリアライトのサイズをSキーで変化させることは意味がありそうです。

テスト3:バックライトのサイズを軸回転させてみる

それぞれの回転です。これはeevee,cycles共にそこまで変わりませんでした。重いのでeeveeのレンダリングを使います。

テスト4:バックライトのサイズを軸移動させてみる

それぞれの移動です。これはeevee,cycles共にそこまで変わりませんでした。

参考書籍

参考文献

 

 

toki

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アーティストに役立つような情報をまとめ、人間関係の手段として芸術が寄与すればいいなと思っています。学んだもの、考えたものは自分だけが独占するのではなく、共有するべきものだと思っています。
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・解剖学関連

スカルプターのための美術解剖学: Anatomy For Sculptors日本語版

スカルプターのための美術解剖学 2 表情編

一番オススメの文献です。3Dのオブジェクトを元に作られているのでかなり正確です。顔に特化しているので、顔の筋肉や脂肪の構造がよくわかります。文章よりイラストの割合のほうが圧倒的に多いです。驚いたときはどのような筋肉構造になるか、笑ったときはどのような筋肉構造になるかなどを専門的に学べることができ、イラスト作成においても重要な資料になります。

アーティストのための美術解剖学

こちらはほとんどアナログでイラストがつくられています。どれも素晴らしいイラストで、わかりやすいです。文章が少し専門的で、難しい印象があります。先程紹介したスカルプターのための美術解剖学よりも説明のための文章量が圧倒的に多く、得られる知識も多いです。併用したほうがいいのかもしれません。

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これが一番おすすめです。難易度は中です。

超入門 マンガと図解でわかる! パース教室

これは難易度は小ですが、とてもわかりやすく説明されています。

スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く方法-

難易度は大ですが、応用知識がたくさんあります。

・色関連

カラー&ライト ~リアリズムのための色彩と光の描き方~
やはりこれですかね。

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