正面の目を描く方法について考える
この記事ではルーミスの顔(成人男性)を基準にしてプロポーション(proportion)や比率(ratio)を分析しています。
前回の記事(関連記事)
以下の記事については目を通していただけると話が理解しやすくなります。第1回から7回は横顔についてなので特に必要はないかもしれません。
第一回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-概略編-
第2回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眼編-
第3回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眉弓編-
第4回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-前頭骨・頭頂骨・後頭骨周辺
第5回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-鼻の描き方
第6回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-口の描き方
第7回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-耳の描き方
【正面の顔の描き方】5分割線を使ってジャック・ハム式の顔を形成する
第1回:グリッドで人間の正面の顔を描く方法について考える-概論
眼に関する解剖学知識と分析
眼球とは
眼球に関する知識を頭に入れておきます。
「眼球」とは?意味と定義
予備知識
眼球(がんきゅう,eye ball)
いわゆる目玉。
・眼球は自然界でもっとも球体に近いもののひとつらしいです。眼球の丸みはまぶたの形状の丸みにも影響を与えるので理解しておくことは重要です。
・目(目玉以外も含めて)は顔の中でもっとも陰になりやすいj
細かい分類はWIKI大先生におまかせします。各論は後で扱います。
白目(しろめ)
・強膜(sclera)と呼ばれる密度の高い結合組織の不透明な層。強膜の色は実際には純粋な白ではなく、黄みがかった白から灰がかった、あるいは青みがかった白まで多様。
黒目
・虹彩・瞳孔・角膜などを含んだ黒くみえる部分。瞳孔を指すこともある。
【黒目を瞳孔を取り囲む円と解釈した場合】
・黒目は必ず完全な円形として視覚される。
・黒目は大人の眼の場合、目の幅のおよそ1/3が黒目。目全体の1/3。
・黒目を大きく描くと子供っぽく見える。
虹彩(こうさい,英:ilis)
・目の色がついた円板。人によって虹彩の色は変わり、褐色やオリーブ色の緑、青色や灰色などさまざま。虹彩の円板は、眼が違う方向を見るにつれて、また顔が正面から斜め横向き、側面へと回転するにつれて、円形から幅の広いたまご形、狭い楕円まで形を変えて見えてくる
瞳孔(どうこう,英:pupil)
・虹彩の中央にある小さい孔(あな)。眼を照射すると光の量に応じて拡張したり収縮したりしたりその大きさが変動する。
・明るい光の中では瞳孔は小さいが、薄暗い光の中では大きな黒い円板状に拡張する。
・瞳孔は常に黒目の中心にある
角膜(かくまく,cornea)
・虹彩を被っている、凸状の透明な組織。入ってくる光がここを通って屈折する。角膜によって虹彩はわずかに厚くなっている。
角膜による厚みを可視化するとこうなります。上が完全な球体、下が角膜の厚みありの球体です。
それぞれの図です。
参考文献
1:「アーティストのための美術解剖学」,ヴァレリー・L・ウィンスロゥー著,宮永美智代訳,(マール社)
2:「表情 顔の微妙な表情を描く」ゲーリー・フェージン著,みつじまちこ訳,(マール社)
瞳孔とは
予備知識
「瞳孔」とは?意味と定義
・瞳孔(どうこう,英:pupil):眼の虹彩によって囲まれた孔(あな)。虹彩の中心にある光を通すところ。
・瞳孔は光の量に応じて大きさが変化する。光の量が多いと瞳孔の径が小さくなり(縮瞳)、少ないと瞳孔の径が大きくなる(散瞳)。これらは自律神経による反射であり、意識に関わらず変化する。絵を描いたり小説を書いたりする際も有用な知識になるかもしれない。詳細は虹彩の項目で扱うが、虹彩の変化と動向の変化は連動している。
・カメラで例えると「絞り」、家で例えると「カーテン」
瞳孔はなぜ人種に関わらず黒いのか
虹彩の色は日本人は茶色が多く、西洋人は青色が多い。しかし瞳孔の色は人種に関わらず基本的に黒色である。
そもそも色は光によって生じる。物体がどのような光の波長を反射するか、あるいは吸収するかによって見える色が変わる。暗闇では色がないことからも、色は光によって生じることがわかる。
どのような色を反射するか、吸収するかは物体によって違う。たとえば黒色の折り紙は多くの光の波長を吸収する物体だから黒色に見え、白色の折り紙は多くの光の波長を反射しする物体だから白色に見える。
瞳孔はただの「孔」であり、その奥には「水晶体(Lens)」がある。さてこの水晶体はどのような光の波長を吸収あるいは反射するのか。
ところが調べ見ると、孔の奥にはたしかに水晶体があるが、水晶体の奥にさらに視細胞や網膜色素上皮というものがあるらしい。
そもそも水晶体は透明であり、光は反射や吸収されるというより、通過する。通過した後に眼の内部に光は到達する。昔はこの内部(眼底)を見る方法がわからなかったらしい。19世紀になってドイルのヘルムホルツという生理学者が眼底を見る方法を考えたという。
さて眼底には網膜(もうまく)というものがある。網膜(retina)は視覚的な映像(光情報)を神経信号(電気信号)に変換する働きをもち、視神経を通して脳中枢へと信号を伝達する眼の構成要素の一つである。カメラのフィルムのような役割をもっている。
さてこの眼底にある網膜の、「網膜色素上皮」というものが光の波長を反射しない、つまり吸収する物体なのか。WIKIには網膜色素上皮が光を吸収するため、光が反射しないとある。四角形の細胞で、細胞内には色素がたくさんつまっているらしい。その奥には「脈絡膜」があり、これも黒い色素で覆われているらしい。これらによって眼内の散乱光をなくし、網膜で明瞭にモノが見えるようになっているという。
ものが見える仕組み
光は角膜を通り、さらに瞳孔を通り、水晶体を通り、眼底内に進み、網膜へ進み、さらに脈絡膜に進む。眼底内では光を吸収する物質が多く、反射されないため、瞳孔が黒く見えるというわけだ。黒い折り紙に光を当てても、黒いままなのと同じである。
① 光が最初に通過するのは、角膜。
② 眼内に入ってくる光の量を調節するのが虹彩。(眩しければ虹彩が狭まり、暗ければ拡がる。ちょうど良い量の光を取り入れようとする。)
③ 次は、ピント合わせ。水晶体の厚みが変わり、ピントを合わせる。(水晶体は一人で動くことは出来ない。毛様体とチン小帯が連動して水晶体を動かす。)
④ 水晶体で屈折した光は硝子体を通過。(硝子体はドロっとしたゲル状の組織)
⑤ 硝子体を通過した光は、網膜にぶつかり映像になる
⑥ 映像は視神経を通り、脳に伝達される。(ものが見える)(網膜で最も見えている部分は、黄斑の中心窩。)https://inami.co.jp/inamaga/detail/?contents_type=461&id=1576
このサイトでわかりやすい「ものが見える流れ」を紹介していたので引用しておきます。硝子体(がらすたい)なんてものが眼の内部にあるんですね。硝子体99%が水でできていて、眼球形状を内側から維持する役割をもっているそうです。
水晶体はカメラでいうとレンズであり、ピントを合わせる機能があるそうです。水晶体単独で厚み調節をするわけではなく、毛様体の筋肉とチン小帯の繊維の協力を必要とするとか。ちなみに「チン小帯(しょうたい)」ですから、公で発音する際は読み方に注意しましょう。
画像を見ると角膜の次には前眼房という水があるらしいですね。たしかに眼球は完全な球体ではなく、瞳孔の前部に膨らみがあります。この膨らみの中には水分があるんですね。水晶体は視神経とまっすぐつながっているのも面白いです。
関連する画像
年齢によって瞳孔の大きさが変わる?
目薬で有名な参天製薬さんがわかりやすい瞳孔の大きさの違いを説明してくれているので引用させていただきます。人の目は2-6mmの間で変化するそうです。
光の量によって瞳孔の大きさが変わることはしっていましたが、年齢によって瞳孔の大きさも変わるんですね。歳を取るごとに瞳孔は小さくなっていくそうです。瞳孔だけではなく他の色素も薄く、白く濁ってきていますね。
関連する記事
・第2回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眼編-
参考文献
・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9E%B3%E5%AD%94
・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%B6%B2%E8%86%9C
・http://www.mishima-ganka.com/_userdata/fundus.pdf
・https://inami.co.jp/inamaga/detail/?contents_type=461&id=1576
虹彩とは
予備知識
「虹彩」とは?意味と定義
・虹彩(こうさい,英:iris)・:目の色がついた円板。人によって虹彩の色は変わり、褐色やオリーブ色の緑、青色や灰色などさまざま。
・虹彩の円板は、眼が違う方向を見るにつれて、また顔が正面から斜め横向き、側面へと回転するにつれて、円形から幅の広いたまご形、狭い楕円まで形を変えて見えてくる
・虹彩はドーナツ型をした眼球の有色部分。内部には輪状と放射状の二種類の平滑筋(へいかつきん)が含まれている。
・虹彩の平滑筋は水晶体を通る光の量を調節する
・光は虹彩の中央の孔(あな)を通って眼球に入る。この孔を瞳孔という。
・目の中に入る光を調節する機能がある。
・虹彩は伸びたり縮んだりして瞳孔の大きさを変える。瞳孔の大きさも、虹彩の形状も一定ではなく、環境に左右される。
・虹彩の形状は指紋と同じように人それぞれ異なる。虹彩認証によって個人認証を行う場合があるそうだ。
縮瞳とは(しゅくどう,英:constriction)
・眼が強い光で照らされると、自律神経のうち、副交感神経が虹彩の輪状筋(瞳孔括約筋)を収縮させ、瞳孔の径は小さくなる。これを縮瞳という。
・縮瞳は自律神経による反射なので、人間の意識に関わらず生じる。熱いものに触れたらとっさに離れようとする脊髄反射と同じである。
・ポイントは強い光によって虹彩が縮まるということ
・自律神経には交感神経系と副交感神経系がある。
・交感神経は脊髄(せきずい)の胸髄分節と腰髄分節から発するので自律神経胸腰部ともよばれる。
・副交感神経は脳神経核と脊髄の仙髄分節から発するので自律神経頭仙部ともよばれる。
・ほとんどの器官は交感神経系と副交感神経系両方の支配を受ける(二重の支配)。
・たとえば交感神経活動の増加は心拍数を増加させ、副交感神経活動の増加は心拍数を減少させる。
・虹彩を収縮させるという点では交感神経も副交感神経も同じだが、交感神経は瞳孔を大きくさせ、副交感神経は瞳孔を小さくする。これも二重の支配の例ではないだろうか。
・虹彩の輪状の筋肉が瞳孔を縮小させ、放射状の筋肉が瞳孔を拡大させる。
散瞳とは(さんどう,英:dilation)
・暗がりに目が慣れてくると、自律神経の交感神経が放射状の筋(瞳孔散大筋)を収縮させ瞳孔が拡大する。これを散瞳という。
虹彩の形状
https://www.deviantart.com/visualfeelings/art/Iris-200330829の画像を参考にしました。瞳孔から放射状に伸びているものと、端っこで輪状になっている筋肉を確認できました。どうやら瞳孔に近い方に放射状の筋肉である瞳孔散大筋があり、遠い方に輪状の筋肉である瞳孔括約筋があるのではないでしょうか。
https://pixabay.com/photos/eye-iris-pupil-vision-eyeball-3221498/
瞳孔の形状はひとそれぞれ違うのでなんともいえませんが、おそらくそういうことなんだろうと思います。
虹彩の色
・もっとも多い色が濃褐色(ブラウン)で、どんな人種にも見られるそうです。とくにアフリカ系・アジア系のヒトのほとんどは濃いブラウンで、黒と見られる場合も多いとか。黒に近いブラウンなんですね。
たしかに自分の目を見て茶色だと強く認識することはありませんでした。よくみれば茶色だな、といったような濃さですね。
「目の黒いうち」にという慣用句がありますが、これは「いきているうちに」という意味らしいです。多くの日本人は目が黒いからこそなりたつ慣用句です。死んだら白目をむいてしまうという意味ではどの目も同じですかね。西洋人の場合は「目の青いうちに」となるのでしょうか。
ところで死んだら白目をむくのでしょうか。人間は死後6時間頃から角膜の混濁がはじまり、24-48時間で完全に白濁するらしいです。これを白目をむくと表現して良いのかはわかりませんが、黒い状態から白い状態になるのは確かなようですね。
・次に多いのが青色だそうです。ヨーロッパやイギリス、アメリカでも多いとか。
・他にもヘーゼル、グレー、グリーンなどがあるとか。他にも左右で虹彩の色が違うオッドアイの人もいるらしいです。
関連する記事
・第2回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眼編-
関連する画像
上の画像は虹彩ですね。茶色の虹彩と青い虹彩の違いでしょうか。虹彩の下には筋肉などがあるのだと思われます。真ん中は瞳孔です。
この画像でもIRIS、つまり虹彩が詳しく描かれています。
参考文献
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」,ゲーリー・フェイジン(マール社)
4:https://www.santen.co.jp/ja/healthcare/eye/eyecare/wonders/iris.jsp
5:「トートラ 人体解剖生理学」(丸善)
結膜とは
予備知識
「結膜」とは?意味と定義
・結膜(けつまく,英:conjunctiva):強膜(きょうまく)と眼瞼(がんけん)の内側を覆う膜。
・杯細胞を含む非角化重層扁平上皮と重層円柱上皮からなる。
・上皮層は血管、繊維組織、リンパ管を含んでいる。
・結膜と呼ばれる上皮層が角膜を除く眼球の前部表面と内表面を覆っている。
・結膜は粘液と涙を生産して目の機能を補助する。
・結膜は眼の中への微生物の侵入を防ぐ働きをする。
・眼球線維膜(fibrous tunic):眼球を包んでいるもっとも外側の膜で、前部の「角膜」と後部の「強膜」からなる。
角膜とは
角膜(cornea):眼球の有色部分である虹彩の前部に位置している透明な層状の組織。角膜は湾曲しているので、光を屈折し網膜上に結像するのに役立っている。
強膜とは
・強膜(きょうまく,英:sclera):眼球の外側の白色の皮膜。
結膜の充血について
結膜と強膜の分別が難しいので整理します。結膜がconjunctivaで強膜がscleraです。この画像を見ると強膜が白目の大部分を締めている皮膜であり、結膜は角膜の周囲のいち部を覆っている感じですね。そして強膜よりも外側に、重なるように結膜があります。
さて結膜炎は結膜の血管が浮き出てしまうことで赤く見えるものです。目の疲れやドライアイなども原因となるそうです。目をこすると結膜炎ではなく結膜下出血という現象が起きるそうです。
こちらが結膜の血管の例です。
結膜下出血の場合は血管が浮き出るというよりも、「赤い塗り壁」のように、ペイントソフトでいうとペンキ塗りをしたような感じになりますね。絵を描く際に使い分けとしては有用ではないでしょうか。
結膜炎は目の疲れで日常的に起こりうるケースであるのに対して、結膜下出血は怪我、ウイルス、疾患などで起こるそうです。ただ結膜下出血は見た目ほど重症ではなく、視力に影響せず、自然に治る場合もあるそうです。
「眼が血走る」という言葉は「興奮したり熱中したりするとき」にも使われます。キャラクターが興奮・熱中しているときに血管を描画するといいかもしれません。徹夜などしてるときなども結膜炎になりやすいです。
関連する記事
・第2回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眼編-
参考文献
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」,ゲーリー・フェイジン(マール社)
4:「トートラ 人体解剖生理学」(丸善)
・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%92%E8%86%9C
・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%BC%B7%E8%86%9C
・https://www.nidek.co.jp/visitor_general/eyestory/eye_15.html
眼窩とは
目玉は眼窩に収まっています。
予備知識
「眼窩」とは?意味と定義
眼窩(がんか,Orbits/eye socket)
頭蓋のうち、眼球を収め保護する2つの空洞構造のことを眼窩という。つまり眼のための窩(あな)。
眼窩は四角なのか?
これは難しい問題だ。丸でもあり四角でもある。
眼窩の形状:直線に見えても実は曲がっている
上の画像を見たらわかりますが、すこし傾けると同じパーツでも形がぜんぜん違います。
側面の比較です。
曲がったものを正面から見ると曲がっていないように見えることはよくあります。単純なモデルで示します。
正面からみたら直線に見える線も、側面からしたら曲がっているケースです。二次元ではよくあることです。曲がっているということを陰などで表現することが出来ます。
眼球の周りの筋肉とは
予備知識
「眼球に関連する筋肉」とは?意味と定義
・目玉の周りには上直筋、下直筋、上斜筋、下斜筋、外側直筋、内側直筋、滑車などがついています。特に大事なのは「滑車」だと思います。眼窩の中に目玉を収めるにあたって、滑車でうまく吊下っている感じがありますね。
・また上下左右に筋肉があることで、多くの方向にも目玉を動かすことができるようになります。
・眼窩が四角形に似ている理由は、眼球を動かす筋肉の場所を確保し、それによって眼球をよく動かせるようにするため
・眼窩は上斜筋と下斜筋の空間を確保するため、およそ10°外側に傾いている
眼球に関連する筋肉の画像
参考文献
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学2」(ボーンデジタルインク)
3:「ソッカの美術解剖学ノート」ソク・ジョンヒョン,チャン・ジニ訳,(Ohmsha)
眼瞼とは(筋肉)
「眼瞼」とは?意味と定義
眼瞼(がんけん,Eyelid)
・いわゆる瞼(まぶた)である。眼瞼は上眼瞼と下眼瞼に分けることができる。薄い皮膚で覆われた眼輪筋の一部。どの方向からでも眼瞼の下に眼球の間悪い形が認められる。上眼瞼は陽よけのように眼球を包み込んでいる。上眼瞼は下眼瞼より長く、より自由に動くことができる。
・下眼瞼は低い曲がった壁のように眼球の周りに巻き付いている。光は下眼瞼の縁に沿ってあたり、下眼瞼の厚さを示す。
書籍によって分類が違いますが、私は「スカルプターのための美術解剖学2」の分け方が好きなので使います。ちなみにこの下には眼窩下三角があります。
眼瞼に関する画像
眼瞼に関連する筋肉
眉毛下制筋
眉毛下制筋(びもうかせいきん,英:Depressor supercilii):WIKIによれば「人間の頭部の浅頭筋のうち、眼裂周囲の眼瞼筋に含まれる筋肉」とあります。
・浅頭筋(せんとうきん)とは「頭部の筋肉のうち、表層にある筋肉の総称を意味し、筋肉の一方が皮膚で終わっている皮筋であり、『表情筋』とも呼ばれる」そうです。
・「眼窩部内部方の一部(頬骨の内眼角の部)から起始し、眉の内側端(眉毛の下の皮膚)に停止する」
・「作用は眉毛を下に引くことで、目止めの付け根の横皺(よこじわ)を作る」そうです。
・鼻根筋は皺眉筋(すうびきん)と眉毛下制筋の眼瞼の助けを得て収縮し、眉毛の内側端を押し上げて、鼻根近くに水平のシワを作る。この作用は通常「眉をしかめる(knitting the eyebrows)」と呼ばれる。困惑、怒り、極端な集中などを表す。
・眼輪筋の内側に筋繊維の小さな三角のパッチを眉毛下制筋といい、この繊維は鼻根筋と前頭筋の繊維と絡み合っている。
眼輪筋
・眼輪筋(がんりんきん,Orbicularis Oculi):眼輪筋は左右の眼窩を完全に取り囲んでいる円板状の筋肉。眼輪筋は眉毛下制筋、眼瞼部(palpebral portion)、眼窩部(orbital portion)に分けることができる。
・眼窩部の筋肉を使って、まぶたを閉じたりすることができる。眼輪筋の眼窩部は和上の線維筋であり、筋繊維が眼窩周囲に輪を作っていて、筋肉が収縮すると、目を細めたりウインクするときの眼のように眼が固く閉じる。この作用をカラスの足(crow’feet)ともいう。
・涙嚢部(るいのうぶ)と呼ばれる第三の部分が涙腺近くの目の後部にあるが、表面上は見えない。
おそらくこのあたりが眉毛下制筋、眼窩部、眼瞼部だと思います。
https://i.pinimg.com/originals/28/7f/ff/287fff66c493daf739617915c836a2f9.png
参考文献
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学2」(ボーンデジタルインク)
3:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%89%E6%AF%9B%E4%B8%8B%E5%88%B6%E7%AD%8B
目の周辺の皮膚の名前
眼球に関連する皮膚
眼瞼
眼瞼(がんけん,eyelid):目蓋(まぶた)のこと。顔の皮膚から連続して眼球を上下から覆い保持する不透明で開閉式の器官。上側を上瞼(うわまぶた)、下側を下瞼(したまぶた)という。
上眼瞼
上眼瞼(じょうがんけん,upper eyelid):上まぶたのこと。きわめて薄い皮膚でおおわれた眼輪筋の一部。窓の日除けのように眼球を包み込んでいる。
・まぶたは皮膚全体の中でもっとも薄い
・どの方向から見ても眼瞼の下に眼球の丸い形が認められる
・上眼瞼は下眼瞼より長く、自由に動くことができる
・上眼瞼のまつ毛は下眼瞼のまつ毛より長い
・上眼瞼を上げるためには、上眼瞼挙筋が収縮し、その筋肉に続く挙筋腱膜が上瞼板と呼ばれる半月状の軟骨繊維様の板を目の奥に引き上げることで作用するらしい。
・上眼瞼を下げて瞳を閉じるためには、目の周囲全体を覆う眼輪筋が働くらしい。
下眼瞼
下眼瞼(かがんけん,lower eyelid):下まぶたのこと。きわめて薄い皮膚でおおわれた眼輪筋の一部。低い曲がった壁のように眼球の周りに巻きついている。
・光は下眼瞼の縁にそって当たる
・下眼瞼は上眼瞼挙筋の代わりに筋膜があり、まぶたを支えているらしい。
内眼角
内眼角(ないがんかく,:inner canthus/medial angle of the eye):目頭のこと。
・日本人は人種分けでモンゴロイドに分類され、モンゴロイドは目頭が蒙古(もうこ)ひだで覆われ、目が小さく見える傾向にある。寒冷地に適応するために脂肪で厚くなったらしい。
・目頭が熱くなる:感動で涙がこぼれそうになる
外眼角
外眼角(がいがんかく,:lateral angle of the eye):目尻のこと。
・目尻を下げる:満足そうな評定をする。好色そうな評定をする
涙丘
涙丘(るいきゅう,:lacrimal caruncle):きらきら輝く三角形をした肉質。目頭の内側にあるピンク色をした部分のこと。
・涙丘には分泌活動を行う腺組織があり、眼球保護の役割がある涙の成分が作られている
・日本人はモンゴロイド特有の蒙古ひだが涙丘の上にあるため、西洋人よりは目立たない
関連する画像
http://plasticsurgerykey.com/eyelid-anatomy/
https://plasticsurgerykey.com/orbital-soft-tissues/
http://www.observedimpulse.com/2012/10/ideal-eye-posture-relaxing-lower-eyelid.html
https://www.etsy.com/listing/267386752/1912-eye-anatomy-muscles-and-vessels-of
参考文献
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学2」(ボーンデジタルインク)
3:「ソッカの美術解剖学ノート」ソク・ジョンヒョン,チャン・ジニ訳,(Ohmsha)
・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%81%BE%E3%81%B6%E3%81%9F
・https://web.sapmed.ac.jp/prs/eyelid/anatomy.html
・https://www.biyougeka.com/dictionary/eyes/caruncle/
目の分析
ルーミスの目ではなくスカルプト用の目で分析します。ルーミスの目は正直言ってあまりきれいな目ではないので、形状分析は別の目を使います。
目の非対称性
この直線を引いただけではわかりにくいですね。そもそも目が対象であるとはどういうことかのか。
たとえばこのような形の目は対称性がある目です。
目の高さが左右等しいことがわかります。
実際の目は左右対称ではないので、左右で高さが違います。これが非対称性です。どのくらい高さが違うのか、どちらのほうが短いのかなどは人によるかもしれませんが、完全に対称な目というものはまずないと考えていいと思います。
目は楕円か
目に楕円をあてはめてみました。このままでは対称な目になってしまうので、非対称の目にします。
左目の場合です。斜線を使います。今回の目の場合は左下より右上を多くカットする感じになりますね。つまりネガスペースが多くなります。
カットするとこうなります。
同様に逆側にも斜線を付ける必要があります。つまりひし形ぎみ気味の楕円になります。
後は涙丘などの丸みや下瞼の描写があります。まぶたを含めればこのようになるでしょうか。右下は斜線というよりカーブしている印象があります。
下瞼と上瞼の面について
この部分です。名前がよくわかりません。なので便宜的に「縁(ふち)」とします。分類的には「目蓋(まぶた)」です。
リアルな目の場合はまつげがあるので、上の縁は隠れる場合があります。
さてこの縁はどういう構造なのか。簡易モデルを作ってみました。
この構造では正面から上下の縁が見えません。ということは別の構造をしているということです。
たとえば斜めになっている場合は、正面からでも下の縁が見えます。
縁は横から見ると明らからなように、斜めになっているのです。斜めに開いているといったほうが正解かもしれません。
斜めのオブジェクトを正面から見ると真っ直ぐに見えるということはよくあることです。
もっとも現実世界ではパースがかかるので、完全に直線ではなく、すこし曲がります。パースは上に行けば行くほど小さく見えたりするので、その影響で斜線的に見えるということです。
グリッド理論的に言えば、Y軸(奥行き)が違うのにX軸が同じ場合は正面の場合直線見えるということになります。
たとえばこのように極端な形状でY軸に違いをもたせ、かつパースをかけるとかなり違ってきます。また陰もできるので同じ奥行き上にないことが二次元的にも明確になります。
白目と黒目の比率について
たとえばこの画像の目玉を見てください。黒目の幅が10センチ、白目の幅が24.6センチとなっています。通常の説明では黒目は白目の1/3と表現されることが多いですが、このケースでは1/2.5くらいですね。すこし大きいイメージです。
さて目玉のうちどのくらいの比率が表面に出るでしょうか。目玉はすべて外に出るわけではなく、正面の一部しかでません。このモデルの一例は正確なものではないかもしれませんが、イメージするためには有効です。
zygotebodyでも同じような感じだったので、人間の構造はそうなっているのかもしれません。たとえば球体を6つの面がある立方体、ダイスのようなものと考えてみた場合に、その一つの面の幅のほとんどが表面に出ていることになります。つまり目玉の白目と黒目の比率が、実際の目の比率に近づくということです。
瞳孔と虹彩の関係について
眼窩と目玉の関係について
頭蓋骨と目玉をルーミスの正面の顔にあてはめてみました。パースをかけていない顔です。
ざっくりとしたイメージで言うとこのような感じでしょうか。眼窩は9:10ですね。ZよりXの値のほうが大きく、1*1のマスよりもすこしだけ大きいイメージです。
よく目と目の間の間は1:1で、合わせて1:1:1になるといわれます。しかし眼窩はそれよりもう少し大きいんですね。ざっくりとしたイメージでいえば眼窩の場合は10:4:10ですね。目と目の間と目だけでいうと8:8:8になります。
涙袋の仕組みについて
涙袋の復習です。重要なのは涙袋と目の隈は違うということです。目の隈は涙袋より下にあります。
大きな分類で言えば眼窩下部に涙袋と目の隈が順にあるということです。
涙袋は筋肉の盛り上がりであるのに対して、目の隈は脂肪だということです。厳密に言えば脂肪がある場所の変異したものが目の隈です。次の項目で軽く扱います。
予備知識
「涙袋」とは?意味と定義
・涙袋(eye bag):「目の周りを取り囲んでいる眼輪筋(がんりんきん)という筋肉の一部が力こぶのように盛り上がったもの」。あるい「下瞼の目の下に沿ってできる筋肉の膨らみ」を意味します。
・涙袋は「涙堂(るいどう)な」とも呼ばれるらしいです。ホルモンあふれるような魅力的な表情に見えるため、「ホルモンタンク」とも呼ばれるとか。目を大きく見せたり表情を優しく見せるため、わざと整形して涙袋を作る人がいるらしいです。
やっぱりこの辺ですよね。
もやもやしてる部分は、いわゆる「涙袋」と「下瞼」の分類です。
涙袋について検索していると、わかりやすく説明してくれている画像があったので引用します。
どうやら涙袋とは、「目の周りを取り囲んでいる眼輪筋(がんりんきん)という筋肉の一部が力こぶのように盛り上がったもの」らしいです。
関連する記事
・第2回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眼編-
参考文献
目の隈の仕組みについて
予備知識
「目の隈」とは?意味と定義
・目の隈(めのくま,英:periorbital dark circles):眼窩(目)の下部にできることがある黒ずんだ部分。廊下や遺伝、あざ、健康状態などさまざまな原因でできる。
・下瞼(したまぶた)は人間の皮膚の中でもっとも薄い。歳を取るごとに薄くなる。
・下瞼の脂肪量が減少すると眼窩の周辺にくぼみができ、目の隈を形成する
・メラニンの蓄積によって皮膚に色素沈着過剰状態になることがある
・老化や紫外線、倦怠感などによって皮膚の下のコラーゲンやエラスチンなどのタンパク質が壊れ、皮膚がたるみ、陰によって黒ずんで見える
・アレルギーや涙の過剰、塩分過剰やストレスによってもできる
関連する記事
・第2回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眼編-
関連する画像
上の引用した画像は目の隈のイメージとしてわかりやすいと思います。涙袋の下が黒ずんでいますね。
おそらくこの脂肪の変化でできるのだと思います。
参考文献
・https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9B%AE%E3%81%AE%E9%9A%88
・https://getforfashion.com/effective-tips-get-rid-of-dark-circles-under-eyes/
二重の仕組みついて
そもそも二重とはどういう仕組なのか。考えたことがなかった。どうやら溝が折り畳まれて二重になるらしい。
予備知識
「二重まぶた」とは?意味と定義
・二重まぶた(ふたえ,英:double-edged eyelid):上まぶたのまつ毛の少し上に、溝(みぞ)があって開けたときに折り畳まれて二重になるまぶたを「二重まぶた」という。
・一重まぶた:上まぶたのまつ毛の少し上の溝がせまいものを「一重まぶた」という。
・奥二重:まつ毛を溝の間の幅が狭く、溝が隠れていてわかりにくいまぶたを「奥二重」という。
・加齢によって一重まぶたが二重まぶたになることがある
・ヒトはヒトを視認する時まぶたの形に注目することが多いため、まぶたは審美的に需要な部位とされる。審美的(しんびてき,aesthetically)とは美を的確に見極めようとするさまを意味する。
・二重まぶたのほうが目がぱっちりと見え、美しいと思う人が多い
関連する記事
第2回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眼編-
関連する画像
上の画像は整形に関するサイトの画像の引用ですが、一重と二重の違いがわかりやすいです。1が一重で、4が二重です。二重にするためには目を閉じたときの皮膚に溝を作る必要があります。
こちらの引用画像はまぶたを閉じたときのものです。たしかにうっすらシワがあります。このシワ、つまり溝が折り畳まれると二重になるらしいです。
参考文献
二重は一体どうなっているのか、その境界について
この赤い線がおそらく二重の溝です。問題はその境界です。どの部分と、どの部分の間にあるのでしょうか。
まずは一重を見てみましょう。たしかに溝がありません。
二重とはいっても、上縁より上のY軸が同じではないということが重要だと思います。つまり奥行きが違うのです。
二次元で見ると同じ奥行きに見えてしまいますが、実際は奥行きが変わります。これが難しい。しかしここを説明するのが本来のこの記事の目的の一つだと思います。
それでは分析していきましょう。まずこれはすこし斜め横顔を下から見たものです。よくみると影になっている場所があり、ここが影を生んでいるのだと思います。
この部分は斜めになっているので、正面からでも見えます。ただしすべて見えるわけではなく、正面だと見える範囲が狭まります。
基本的に斜めになっている面を正面から見ると、実際の面積より見える範囲は狭まります。これは重要なtipsです。いわれれば当たり前だろと思われることでも、頭に入っていないことがあります。空間把握能力の基礎です。
なぜ面積が小さく見えるのか。それはY軸が変化するためです。パースは奥に行けば行くほど小さく、幅は狭く見えます。したがって面積が減っているように見えるわけです。斜めになるということは垂直ではなくなるということです。
同じように二重の上の部分、つまり上まぶたおよび眼窩上部も垂直ではなく斜線気味の形状をしています。別の言い方をすれば丸みを帯びています。軸で言えばY軸およびZ軸上に段々に変化しています。
眼に映る白い丸の正体について
瞳孔が黒い理由は光を反射しないからだと前に学びました。ではなぜ瞳孔に白い点があるのか。明らかに光の反射で白くなっていますよね。
目は多重構造になっています。瞳孔の上には房水があり、角膜があります。
瞳孔が光を反射しているわけではなく、角膜が光を反射しているとしたらどうでしょうか。反射しない物質を反射する透明な物質が覆っているとすれば、透明な物質は光を反射するので白い光が見えるはずです。
半透明な物質、たとえばガラスや水は透明ですが、光を当てると白くなりますよね。
これはガラス玉のオブジェクトを上から撮ったものです。上のライトが反射して白く見えてますよね。反射というか、写り込んでいるんでいます。角膜もおなじように、周りの背景を写り込ませるような半透明な物質だと考えたほうがいいのかもしれません。白い丸がどの位置にあるかは、光源であるライトの位置や物質の性質、オブジェクトの位置などに左右されるのかもしれません。光源が複数ある場合は、光る点も多数あるかもしれません。ガラス玉も光のパラソルと、電球の2つが白く光っています。
薄暗いところで照明もないのに、目玉に白い点が複数あったり、強く光っているのは不自然なケースが出てくるということになりますね。雑誌でモデルさんにきれいな白い丸や四角の反射光が写り込んでいるのは、専用のライティング環境が整ったスタジオで撮影しているからであり、普段の景色にきれいな丸や四角があるとは限らないということですね。青いライトで照らせば、青い目の光が反射されることになりますね。
これはガラス玉を下からとったものです。さっきとは全然違いますよね。半透明な物質は周りの環境に大きく左右されるものです。
まつ毛のカール構造について
上の引用画像のように、まつ毛は垂直に伸びているわけではなく、一度下に伸びてからカールするように上に伸びています。なぜ下に伸びるのか。重力が原因なのか、このカールのほうがゴミから眼を守るのに適しているのかはわかりません。とにかく描画の際にカールしているという点を抑えておくことは重要そうです。
この動画を見るとわかりますが、眉はあきらかにカールしています。眉毛を単純化したオブジェクトですが、イメージしやすいと思います。
まつ毛の方向に着目するとこのような感じでしょうか。中央は正面から見ると直線気味ですね。いずれにせよ眉は放射状というよりも、カールしている感じですね。軸的にもY軸上に直線に伸びているわけではなく、左なら左に、右なら右方向に斜線的に伸びています。下まつ毛も基本的にカール気味ですが、うわまつ毛より感覚にばらつきがあります。
上まつ毛と下まつ毛はどちらが長いのか
Y軸を見ると、上まつ毛よりも下まつ毛のほうが短いことがわかります。
まつ毛がカールしていないように見えるケースについて:まつ毛の抽象化
これは漫画「ワンピース」に登場するルフィというキャラクターのまつ毛です。両方とも曲線で表現されています。
三次元の人間のまつ毛でも、線のように見える場合があります。とくにうわまつ毛のカールがZ軸に大きくカールしていない場合、つまりやや水平気味に、Z軸では短くカールしている場合は太い線のように見えるケースが有るということです。女性が化粧をしてZ軸上に高くカールさせるなどしない限り、うわまつ毛のカール部分が強く見えることはあまりないのかもしれません。ナチュラルに長い男性もいますが、稀有かもしれませんね。
あるいはこのようにまつ毛が下に向かっていて、あまりカールしない、つまり上向きにならないケースもあるんですね。
どのような仕組みでまつ毛の向きが変わるのか、よく調べる必要があります。たとえば眼をどのくらい開くのか、まわりの環境はどうかなどです。遺伝的なものなのか、重力なのか、まつげの量によるものなのかなど考えられる要因があります。まつ毛で個性を出したい場合には不自然にならない程度で、考えられるケースを参照するべきかもしれません。
なぜ白目に影(陰)ができるのか
さて白目の部分、あるいは瞳孔の部分、虹彩の部分、どの部分にでも影は現れうるものです。なぜできるのか。単純に考えればまぶたやまつ毛で光が遮られて、陰ができているのだと思います。
屋根ができれば影ができる。この単純な事実をモデリングで実験してみます。予想通り屋根があればそこに陰影ができます。影が球体のオブジェクトと重なり、暗くなってますよね。屋根をはずせば明るくなります。
ただしライティングは光源次第でだいぶかわります。たとえば光源を逆にするとこうなります。光源は右上にあるので、影は左下に落ちます。したがって、屋根の影は左下に落ち、球体に直接あたっていません。
そのかわり、球体の”陰”がよく見えます。
光源が左上にある場合は屋根の影で球体が覆われてしまいます。
では人間の顔でいうところの「屋根」はどこか。考えられるのはまぶたです。
簡単なモデリングで、屋根を想定して作ってみました。このようにまぶたが屋根として上に乗っているとすれば、光源が右上にあったばあい、このように陰影が落ちるはずです。
球体に中身を変えて同じことをすると、カーブの陰影を描きます。
斜めからみるとこうですね。横にも陰が落ちています。
もちろん人間の顔はより複雑なので形はちがいますが、理解には役立つテストだと思います。
ルーミスの比率の観察
メルクマールを探す
結論から述べるとこのような形状になりました。もちろん丸みは非対称性も加えるべきではありますが、目安の段階でそれらを取り入れると難しいのでこのようにしました。
目はどの高さで、どのくらいの幅なのか
大まかな枠組みでいえば「Z軸で言えば3から4の位置」,「Y軸でいえば左が1.5-2.5、右が3.5から4.5の位置」にあります。
目の玉はちょうどではありませんが、「Z軸3.5の位置」にあります。Y軸でいえば左が2、右が4の位置」にあります。
さらにざっくりと扱えば目の高さ、とくに目蓋を含めない眼球の露出部分のみに焦点を当てた場合、その高さは1/4、幅は1になります。
目の簡易化
目は曲線的なので詳細にグリッドを詰めていくことにあまりむいていません。単純化して基本の形さえ抑えることにします。
たとえばこのような形体として捉えればわかりやすいと思います。実際は左右非対称で丸みを帯びていますが、それはメルクマール(目安)としてあまり適していません。
1*1を4*4と分割した場合、およそ3/4の位置に目が収まるということです。実際の目はもう少し大きいですが、良い目安になります。
涙袋の目安
涙袋はそもそも人間だれしもがあるのか、疑問に思います。
涙袋は下縁の下の筋肉が通常よりも大きい状態であると定義した場合、いかなる人間も小さな筋肉はあるということになります。
実際に解剖学的にも涙袋の位置に筋肉があります。
ルーミスの顔にも涙袋の縁に線があります。物体はY軸が異なる面があると陰を生じさせます。涙袋の丸みはY軸の違い、つまり奥行きを生み、その境
が影をつくります。影は二次元では線になります。
さて涙袋の比率はどのくらいなのか。メルクマールとしてはおよそ3/8あたりを基準にすればいいと思います。別の解釈をすれば目の高さと同じくらいの高さということです。目が6/8から4/8の高さ、つまり絶対値として2/8になります。同じように涙袋も4/8から2/8と解釈すれば同じく絶対値2/8です。つまり1/4の高さが2つ並んでいることになります。
上まぶたの比率
ルーミスの場合は意外とわかりやすい位置にあります。比率でいえば高さ絶対値1/16ですが、感覚的な表現をすれば目の高さの1/4です。個人差が大きい領域なので、ざっくりといきます。
上まぶたは下瞼と違い、1*1からすこしはみ出しています。絶対値1/8ほどですね。外側のほうが1/5倍ほど多くはみ出しています。
次回の予定
次回は眉間・眉・まぶたあたりを研究してみたいと思います。目の詳細な形状についても扱うかもしれません。
参考文献
2:スカルプターのための美術解剖学: Anatomy For Sculptors日本語版
3:スカルプターのための美術解剖学 2 表情編 (Anatomy of Facial Expression 日本語版)
参考文献
人体の描き方関連
ルーミスさんの本です。はじめて手にした参考書なので、バイブル的な感じがあります。
人体のデッサン技法 ジャック・ハムも同時期に手に入れましたが、比率で考えるという手法にルーミス同様に感動した覚えがあります。ルーミスとは違う切り口で顔の描き方を学べます。
解剖学関連
スカルプターのための美術解剖学: Anatomy For Sculptors日本語版 スカルプターのための美術解剖学 2 表情編
一番オススメの文献です。3Dのオブジェクトを元に作られているのでかなり正確です。顔に特化しているので、顔の筋肉や脂肪の構造がよくわかります。文章よりイラストの割合のほうが圧倒的に多いです。驚いたときはどのような筋肉構造になるか、笑ったときはどのような筋肉構造になるかなどを専門的に学べることができ、イラスト作成においても重要な資料になります。
こちらはほとんどアナログでイラストがつくられています。どれも素晴らしいイラストで、わかりやすいです。文章が少し専門的で、難しい印象があります。先程紹介したスカルプターのための美術解剖学よりも説明のための文章量が圧倒的に多く、得られる知識も多いです。併用したほうがいいのかもしれません。
遠近法関連
これが一番おすすめです。難易度は中です。
これは難易度は小ですが、とてもわかりやすく説明されています。
スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く方法-
難易度は大ですが、応用知識がたくさんあります。
色関連
やはりこれですかね。
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