【創作のネタ・題材】マステマとはなにか?意味、エピソード【悪魔】

マステマとは

意味

マステマとは:意味と定義
マステマ(Mastema):旧約聖書偽典『ヨベル書』に出てくる悪魔(堕天使)。アザゼルと同じように人間の娘との間に子を作り、その子がやがて巨人となり、地上に厄災をもたらしてしまう。マステマはそうした堕天使たちの指導者だった。堕天使はやがて悪霊となり、神によって滅ぼされることが決まったが、そこでマステマが神に命乞いをして悪霊のうち10分の1を残してもらうことになった。そしてマステマは残った堕天使たち、つまり悪魔たちの指導者となったのである。マステマは『ヨベル書』ではサタンと同一視されている。名前はヘブライ語の「悪意(Mastermah)」、あるいはアラム語の「非難者(Mastima)」からとったといわれている。マスティマ、マンセットともいう。

 

マステマに関するエピソード

『ヨベル書』:神に命乞いをした堕天使

ヨベル書とは:意味と定義
ヨベル書(紀元前2世紀):旧約聖書の偽典のひとつ。エチオピア正教会では正典。『創世記』の時代の出来事が記されている。シナイ山で大天使がモーセの前に現れ、天地創造から族長時代の末期までの経緯を話すという形をとる。悪魔であるアステマが登場する。

主よ、創造主よ。彼らのうち何人かはわたしに残してください。わたしのいうことを聞かせ、わたしが彼らに命ずることをすべて行わせたいのです。彼らのうちひとりも残してもらわなかったら、人の子らに対してわたしは自分の意思を思うとおりに行うことができなくなります。彼らはわたしの決定に従って堕落させたり、滅ぼしたり、迷わせたりするのが約目です。人の子らの悪事にははなはだしいものがあります(『ヨベル記』)。」

「彼ら」というのは堕天使のことであり、悪霊のことでもあります。つまり悪魔のことです。

神は人間を監視するために天使を何度か派遣していました。派遣された天使をグリゴリと呼ぶことがあります。彼らは人間の娘に恋をして、子供を作ってしまい、さらには知識まで教えてしまうのです。武器の使い方、化粧の仕方などを教えて人間は堕落していきました。

さらには人間と天使の間に産まれた子は巨人となり、人間の作物を食い荒らし、人間を食べ、ついには巨人同士で共食いを始め、地上に厄災をもたらしました。それに怒った神が彼らを排除しようとするわけです。

有名な悪魔であるアザゼルもその中の堕天使の一人であり、指導者の一人です。アステマも同じ指導者のひとりです。アザゼルは大天使ラファエルによって暗闇に幽閉されてしまいました。その他の堕天使たちや巨人の多くも幽閉されましたが、幽閉されても巨人たちの霊が地上に残っていたそうです。

巨人たちの霊は悪霊となり、人間を罪に陥れて滅ぼそうとします。そんな光景を見た神は再び悪霊を拘束しようとしますが、アザゼルが命乞いをするわけです。悪霊のうち何人かは残してくださいと。それで10分の9は縛られて暗闇に投げられ、残りの10分の1は地上で悪魔の命令に従うために残されたそうです。

「彼らはわたしの決定に従って堕落させたり、滅ぼしたり、迷わせたりするのが約目です」マステマがいっているように、悪霊はアステマの命令はきくようです。

【創作のネタ・題材】アザゼルとはなにか?意味、エピソード、イラスト紹介

『ヨベル書』:神に悪行を許される悪魔の存在

神が人間を罪に陥れようとする悪魔の存在を認めたというのは興味深いですよね。神がそんなことをするはずがない、と考える人もいるはずです。だから聖書正典ではなく偽典として扱われることが多いのではないでしょうか。話としては面白いですね。

マステマいわく、「人の子らの悪事にははなはだしいものがあります」ということです。つまり人間は悪魔がそそのかさなくても、元々悪い面をもっているということです。本性をあらわにしているだけで、元々善い存在を悪い存在に変えようとしているわけではないといったところでしょうか。化けの皮を剥がす存在も必要なのでは、という解釈もできます。『ヨベル書』の中で神は悪魔に対して防御する方法もモーセに教えているらしいです。ほったらかしというわけではなさそうですね。

『ヨベル書』:サタンと同一視されるアステマ

『ヨベル書』ではサタンとアステマが同一視されています。堕天使の指導者であり、残された悪霊の指導者でもあるのでサタンと同一視されても不思議ではありません。

またMastemaのstmは動詞の憎む(stm)で、サタンはstn(対立者・敵)という意味なので近しい存在と言えますね。

サタンとは:意味と定義
サタン(英:satan):通俗的には大いなる悪鬼(悪魔)で、デーモンの軍勢の指揮官。旧約聖書では悪魔ではなく、サタンは元々神に仕えていた使者だったそうです。もともと神の宮廷の一員(旧約聖書のヨブ記)で、後にさまざまな悪魔の性格が融合して魔王サタンとして誕生しました(新約聖書)。中世以降、ミルトンの『失楽園』にみるようにサタンは=ルシファーだという解釈が一般的になっていきました。ヘブライ語の旧約聖書がギリシア語に約されたとき、satanがdiabols(ディアボロス)と訳され、サタンが魔王として意味するようになったそうです。語源はヘブライ語のstn(shatana)で敵対者、妨害するものという普通名詞です。
サタンの絵

ダンテ『神曲』の挿絵*1

 

『ヨベル書』:神の悪の特性がアステマのせいにされる

旧約聖書では神の悪い面があったということですが、具体的には以下の内容です。

1:ユダヤの族長アブラハムに息子イサクを殺させようとする

2:ユダヤの英雄モーセを殺そうとする

3:エジプト人たちに産まれた長子を皆殺しにした

こうした神の行為が、『ヨベル書』ではアステマのせいにされているそうです。

参考文献

参考書籍

1:「知っておきたい天使・聖獣と悪魔・魔獣」,荒木正純,(西東社)

2:「悪魔の辞典」、フレッド・ゲティングズ、(青土社)

3:「図解 悪魔学」、草野巧、(新紀元社)

4:「堕天使 悪魔たちのプロフィール」、真野陸也、新紀元社

5:「悪魔辞典」、山北篤、新紀元社

引用画像

・1:https://artsycraftsy.com/dore_prints.html

 

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