【シェーディング】絵を描くための明度コントロール(明度スケール)について考える

明度コントロールについて考える

前提知識

明度とはなにか
明度とは:意味と定義
明度(めいど,英:lightness):同じ明るさで照明された白色面の明るさを基準として判断される表面の相対的な明るさを意味する。明度は物体表面の反射率の高低に対応する感覚量であり、白さー黒さの程度を表す

 

HSV色表現とはなにか
HSV色表現とは:意味と定義
HSV色表現:Hue,Saturation,Valueの3つの属性からなる色表現。それぞれ色相、彩度、明度(輝度)に対応している。色相はちょうどカラーサークルでいうところの0から360°まで円状に存在する。たとえばH0なら赤、H60なら黄色、H120なら緑といったように色が決まっている。色相は0から360、彩度は0から100、明度は0から100の数値が与えられている。RGBに変換できる。

 

RGB色表現とはなにか
RGB色表現とは:意味と定義
RGB色表現:RED,GREEN,BLUEの混合の割合を元に色を決定する概念。クリスタでは0-255の数値を使って色を表現する。たとえば純粋な赤の場合は255,0,0、純粋な黄色の場合は255,255,0になる。白の場合は255,255,255、黒の場合は0,0,0になる。数値が大きいほど明るくなる。各数値の割合が1:1:1に近づくほど彩度が低くなる。1:1:1だと彩度は0になる。

 

明度をコントロールするとは

明度のオリジナリティとリアリティ

たとえば肌のベースの色を塗るとします。その色は肌色(色相)と決めたとして、どれくらいの明度と彩度をもった色を選ぶべきでしょうか。

明度コントロールには正解がありません。絵は必ずしもリアリティをもたなくてもいいからです。絵のオリジナリティ性と絵のリアリティ、どちらを優先するかはバランスの問題になります。

とはいったものの、自然な絵、不自然な絵というものはなんとなく存在しているはずです。周りの背景に比べて不自然に明るい、暗いといった絵は違和感をもちやすいですよね。それが狙いだった場合はそれでいいんです。しかしもっと美しくしたい、自分の絵の色を変えたいといった場合に明度コントロールが関係してきます。

明度は何段階でコントロールするべきか:10段階説

明度スケール10段階

基本のコントロールはやはり10段階だと思います。HSVのVも100なので、10ずつ区切りやすいです。上の明度スケールはモノクロで、H0、S0でVだけ変えています。

[speech_bubble type=”std” subtype=”L1″ icon=”snuf.jpg” name=”toki”]あれ、これ11個あるけど?[/speech_bubble]

たしかに・・・。というよりも0-10を人区切るとすると、最後の100が余計なんですよね。100-110の色がスケールに存在することになるからです。

じゃあクリスタはどうやって10分割しているのか、中間色を観察してみましょう。見事に十分割されているようにみえます。

しかし、これは一番右端の色が明度0ではないのです。スポイトで取ると、明度が10です。左端は明度100です。つまり結局は11分割なのです。

【クリスタ】中間色パレットとはなにか【CLIP STUDIO PAINT】

10分割するのは難しい。たとえば0-10、11-21・・・・88-98、99-100というのはどうでしょうか。これで10分割です。

あるいは一番くらい黒色を使わないものとして、あえて外し、中間色の明度スケールの10を使うというのもありだと思います。

0を除き、10からはじめ100で終わるパターン

100を除き、0からはじめ90で終わるパターン

つまり0を除き、11,22,33・・・・100を使うということです。あるいは100を除き、0,・・・・88というのもありですね。

明度は何段階でコントロールするべきか:9段階説

0と100を除き9段階にする

9段階になるとなかなか難しい。思い切って0と100を抜かしてしまうというのもありだと思います。

0を除き9段階にする

 

中間パレットは使えませんが、こうすることで白100を使える状況で9段階にコントロールできます。

明度の中間値

明度9段階がなぜいいかというと、ちょうど中間値をとることができるからです。4:1:4で1が中間に来ますよね。10段階だと4:2:4となり、中間に2つの明度がきてしまうのです。

11段階

11段階にすれば5:1:5で分割できます。

どういった分割で明度をコントロールするべきでしょうか。クリスタでは中間パレットが使いやすいので11段階でも悪くないと思います。色のリストを自分で作っておけば9分割するのもいいと思います。

【クリスタ】カラーセットの追加・編集方法、やり方【CLIP STUDIO PAINT】

クリスタでカラーセットを登録する方法についての記事を作成しました。1,11、22など中間色パレットでは扱えない分割でもいつでも呼び出すことができます。

明度を分析して学習する:肌色の明度の分析

明度の分析は大事です。模倣する際に、「明度はどのようにしてコントロールされているか」ということを意識すると絵の上達に繋がります。つまり自分が美しいと感じる明度コントロールを探求する際に、美しいと思った明度コントロールを分析することは重要だということです。自分はもう少し暗いほうがいい、明るいほうがいい、背景が違ったらこう変わるだろうというように経験を積み重ねていくのです。

明度100の肌色

ある本の肌のベースの色はRGB:255,247,236でした。HSVでいうと35,7,100です。

V=100なので明度が100、S=7なので彩度が7です。つまり、ベースの色は明度が最大で、彩度は低めということになります。明度コントロールに照らし合わせると、明度は10です。

Qさてここで問題です。影の色は明度いくつくらいでしょうか

肌の明度

これが明度コントロールですね。この本では影の色がRGB234,186,177です。HSVでいうと9,24,92です。ベースの色に対して明度が1分割分しか下がっていないというのがポイントです。明度コントロールに照らし合わせると、明度は9です。影の色で彩度が上がっているというのもポイントだと思います。

肌明度100

ためしにキャラの肌に明度100で塗ってみました。

影の明度

次にさきほどの明度92で適当に影を塗ってみます。色的には悪くないですよね。

影のぼかし

アニメ塗り以外ではベースと影の境界線をぼかしたりします。

モノクロ厚塗り

厚塗りでいうと、こんな感じのモノクロになりますね。明度差が10分割でいうとおよそ10と9の差です。


色調補正レイヤーの明度

明るすぎるなーというときは色調補正レイヤーで明度を落として調整します。

色調補正レイヤーとは:意味と定義
色調補正レイヤー:イラスト全体の色のバランスを整えられるレイヤー。色調補正レイヤーを作成すると、作成した位置より下にあるレイヤーに対して選択した補正効果を適用できる。明るさ・コントラスト、色相・彩度・明度、階調化、階調の反転、レベル補正、トーンカーブ、カラーバランス、2値化、グラデーションマップなどから選べる。

 

明るすぎて不自然

たとえば背景が暗い場合、顔が明るすぎて不自然ですよね。まあ悪くないですけど、これはこれで。

明度を落とす

そういう場合に明度を落とすんです。

顔が暗すぎる

顔を明るくする

逆に背景が明るいと、顔が暗い場合不自然ですよね。つまり光源によって顔の明るさが左右されるということです。これはライティングとシェーディングが交互に関係している問題です。彩度も同じようにケースバイケースで変えましょう。

こうした調整の積み重ねが絵の上達につながることを願います。

シェーディングとはなにか、絵を描くために必要な陰影用語の理解

ライティングとはなにか 絵を描くために必要な光源と照明用語の理解

toki

投稿者プロフィール

https://souzoudiary.com/やhttps://souzoumatome.com/、https://souzouhou.com/も運営しています。
アーティストに役立つような情報をまとめ、人間関係の手段として芸術が寄与すればいいなと思っています。学んだもの、考えたものは自分だけが独占するのではなく、共有するべきものだと思います。
連絡は@souzoulogのTwitterのDMか運営者情報のメールからお願いします。

この著者の最新の記事

関連記事

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。

CAPTCHA


動画はじめましたのでぜひ応援の気持ちで登録してくださいm(_ _)mモチベになりますm(_ _)m

まとめサイト

こちらも運営していますのでよろしければブックマーク等お願いしますm(_ _)m

https://souzoumatome.com/

https://souzouhou.com/

https://souzoudiary.com/

カテゴリー

アーカイブ

おすすめ書籍

・人体の描き方関連

やさしい人物画

ルーミスさんの本です。はじめて手にした参考書なので、バイブル的な感じがあります。

人体のデッサン技法
ジャック・ハムも同時期に手に入れましたが、比率で考えるという手法にルーミス同様に感動した覚えがあります。ルーミスとは違う切り口で顔の描き方を学べます。

・解剖学関連

スカルプターのための美術解剖学: Anatomy For Sculptors日本語版

スカルプターのための美術解剖学 2 表情編

一番オススメの文献です。3Dのオブジェクトを元に作られているのでかなり正確です。顔に特化しているので、顔の筋肉や脂肪の構造がよくわかります。文章よりイラストの割合のほうが圧倒的に多いです。驚いたときはどのような筋肉構造になるか、笑ったときはどのような筋肉構造になるかなどを専門的に学べることができ、イラスト作成においても重要な資料になります。

アーティストのための美術解剖学

こちらはほとんどアナログでイラストがつくられています。どれも素晴らしいイラストで、わかりやすいです。文章が少し専門的で、難しい印象があります。先程紹介したスカルプターのための美術解剖学よりも説明のための文章量が圧倒的に多く、得られる知識も多いです。併用したほうがいいのかもしれません。

・遠近法関連

パース!

これが一番おすすめです。難易度は中です。

超入門 マンガと図解でわかる! パース教室

これは難易度は小ですが、とてもわかりやすく説明されています。

スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く方法-

難易度は大ですが、応用知識がたくさんあります。

・色関連

カラー&ライト ~リアリズムのための色彩と光の描き方~
やはりこれですかね。

ページ上部へ戻る