目次
はじめに
動画での説明
・この記事の「概要・要約」はyoutubeの動画の冒頭にありますのでぜひ参照してください。
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二点透視図法で教室を描くために必要な情報
この段階は前回の一点透視図法のやり方と同じである。まずは教室の寸法を把握する必要がある。要するに、平面図の情報(実寸)を手に入れる必要がある。
グーグルで調べれば出てくるので、自分の構成したい教室の情報をまずは探してほしい。今回はベーシックな教室を想定し、黒板や窓などは描かず、グリッドルームを作成するだけに留める。
- 床の情報:縦幅が9メートル、横幅が7メートルであると仮定する
- 壁の情報:高さが3メートルであると仮定する。今回は床や天井、壁に1平方メートルのマスを設定する
- 二点透視図法の基礎知識の詳細については、第五回や第六回の動画を参照してほしい。今回はあまり詳説せずにざっくりと進める
- 今回は黒板などの小物は作成しない
二点透視図法の基本画面を構成する
今回は視円錐45度で、キャンパスサイズは595×842ピクセルとする。キャンパスの大きさは任意でかまわない。
アナログの場合はA4サイズの紙(横21cm、縦29.7cm)などでかまわない(他のサイズでもかまわない)。単位をセンチの数字で当てはめて計算すればいい。
まずはVP(消失点)を設定する。
今回は二点並行透視図法の左右不均等、65-25度のケースを想定する。
画面の中心にHL(水平線)があるとして、VP(消失点)はどこにあるのか。
一点透視図法の場合、VPは中心にあると分かるが、DP(対角線の消失点)を決めるためにはSP(立点)を決めなければいけない。CPからどのくらいの距離にSPがあるかという話になる。これは正解というより任意の設定という話になる。
今回は画面(A4サイズ、PP)が視円錐45度に収まる全部ケースを想定する。
※計算すると、VPの位置は√(595^2+842^2)*2.4≒2474となる。
つまり、VPはこの2つの位置に設定する(一点透視図法からすればDPとなる)。
PPが45度視円錐に収まっていることがわかる。
※なぜそうなるかについては以前の記事を参照してほしい。
【第四回】パースの基礎を学ぶ:パースにおける視円錐とはなにか、その設定方法
これでも一応二点透視図法はできるが、前回の一点透視図法とほとんど同じ構成になってしまう。
今回は左に20度ずらしたい。今のままでは左に45度、右に45度の地点にVPがある。したがって、左に65度、右に25度に変更する。
SPからの角度が変わるということは、VPの位置も変わるということになる。新しくできたVPをそれぞれVP3、VP4としておく。
画面をスッキリさせた。これが今回の基本画面である。
※VPが変わると視円錐はどうなるのか、CPはどうなるのかといった細かい疑問は今回触れないでおく。
正面の壁を構成する
任意の垂線をまずは引いてみる。前回は奥の壁を小さく描きすぎたことで床のスペースが大きくなりすぎてしまったので、すこし大きく描く(後でわかることになるのだが、さらにもうすこし大きくしておけばよかったかもしれない)。
イメージした下絵などがある場合は、それらを参考に垂線を引くといい(ラフに描いた黒板などだけでもいい。一つの小物が全体のサイズ感を決める)。
今回は高さ3メートルになるような線を引く。定規などで測って分割しておくといい(最初に引く垂線は、実際の線と同じ比率であり、収束しない線である)。
ここから、この垂線を基準にして立方体を構成する。つまり、3メートル×3メートルの平面からなる立法をつくるということである。
今回は介線法を利用する。細かい作り方は以前の動画(第六回)を参照してほしい。それぞれのVPからSPへ伸びる線を上へ伸ばしてMP(測点)を知るという方法である。
MPへの線を指標にして立方体を構成する。
この立方体を右に複製して、正面の壁を縦幅3メートル、横幅7メートルになるように構成していく。前回使用した対角線を用いた分割法を使う。
教室の正面の壁は7メートルなので、一番端の面を3分割し、ちょうど7メートルにしておく。
三分割にするためには三角形を使用する(四角形の半分の位置に対角線を引いて三角形を作り、3分割の位置を知る方法)。
一点透視図法における視点(CP)は、正面の壁の中心にあった。すなわち、ちょうど3.5メートルの位置にあった。
二点透視図法における3.5メートルの位置を探すために、正面の壁を7分割していく。さきほどの分割法を利用していく。
スッキリさせるとこのようになる。
ここからさらに、3.5の位置を探していく。ちょうど2分割すれば、そこが3.5の位置になる。※CP2と形容しておく。二点透視図法における視心かどうかは保留する。
床や壁、天井のマス目を構成する
最初に作った立方体の側面を複製していく。
複製する場合は面に対角線をつくり、その位置に向かって端から線を引いていけばいい。前回と同じである。
画面の外まで分割していく。
次に、いま描いた側面の面を、さらに3分割していく。正面でやったように、三角形を用いて分割する。
側面のすべての面に同じ作業を行い、3分割する。
3分割を目安に、それぞれ垂線をいれていく。
横にも三分割しておく。
床にも延長させていく。
床のマス目も延長させていく。
天井も同じように延長させていく。
天井にマス目も延長させていく。
これで画面はほとんど完成である。
ただし、床が10マスをすこしだけ超えてしまったことが残念である。もうすこし大きくすれば10マス以内に収まったかもしれない。
完成図はこのようになる。
ちなみに最初のテイクでは10マスどころではなかった。
※床のマス目を最初の垂線から推測する方法がおそらくあるはずだが(平面図を用意するなど)、今回はベースの作成法を学ぶという目標に留めておく。
デジタルなら全体のキャンパスを拡大して画面内に無理やり収めるという手法がある。
※たとえば全体の作成画面を結合させて拡大し、最初のA4サイズ(595×842)に収めるとこのようになる。こうすると、床が10マス以内に収まる。
ただし、拡大すると線によっては粗が出てくる。もっとも、ベースとなるグリッドルームはそのまま教室に使うわけではなく、あくまでもメインの教室を描くための、下書き、指標、リファレンスなので画像が荒くても問題はないだろう。
もちろんアナログでも、ベースとして利用するという点ではデジタルでアナログで描いたものをとりこんで拡大し、印刷して使うという手法もとることができる。たとえば青い色で印刷すれば、デジタルの下書きなどで利用する際に映らないで済むだろう。あるいはトレーシングペーパーで描き写すという手段もある。
もっとも、教室を描くなら3Dソフトや2Dソフトで下地を作るほうが早いだろう。いちいち手書きで下地を描くのは骨が折れる。すこし角度をずらしたいなと思った時点で1から描き直しである。
もちろん今回は2Dソフトで絵を描いたわけだが、便利なパースツールのほとんどの機能を使用せず、アナログでも可能なことを前提として描いている。クリスタやフォトショップの便利なパース機能や、blenderのグリッドルームの作成方法など、細かい下地としての素材作成方法を別のカテゴリーでいつか紹介したい。
今回の反省と次回の予定
今回の画面をblenderで近似するとこのようになった。
前回の角度からZ軸に20度変更しただけでは画面の近似ができなかった。なぜ近似できないかについての明確な理由を理解できていない。ざっくりとはつかみかけているが、再現方法がすこし複雑なので、もうすこしblenderの理解とパースの理解を深める必要がありそうだ。
また、平面図などの寸法も用意して単位を合わせ、しっかり反映させる必要がある。
特に、画角が変動した際の視円錐の変化、視心の変化、それぞれの設定について理解を深める必要がある。たとえばZ軸にカメラや頭を回転させると、視心はどこになるのかという疑問を解消する必要があることがわかった。
今回のログはこれで終了とする。次回は円に関するパースについて扱おうと思う(おそらく)。
参考文献
初心者でもわかりやすい本
ロビー・リー「超入門 マンガと図解でわかる! パース教室」
・パース全般の基礎において一冊目にこれを手に取るのに適している。 ・私は「パース!マンガでわかる遠近法」よりも平易に、かつ丁寧に説明されていると感じた。それゆえに、初心者は特に一冊目にこの本をおすすめする。
デヴィッド・チェルシー「パース!マンガでわかる遠近法
・イラストが多く、わかりやすい。パースの基礎用語の説明もされていて、かつ平易にパースの使い方が説明されている良本。ただし、建築パースに特化しているわけではなく、「イラストレーション(漫画)」に特化している点を注意する必要がある。 ・パース全般の基礎を学ぶという目的において一冊目にこれを手に取るのに適している。
上級者向け
「スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く」
「スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く」
絵を描く、特に線画に特化した本。小難しいが広く、深く説明されている良本。
山城義彦「現代パースの基本と実際」
・パースの歴史や細かい用語が説明されていて便利。ただしメインはイラストレーションではなく「建築パース」に特化している点を注意する必要がある。 ・かなり小難しく説明されている(建築パースゆえにそうならざるをえないのだろう)。例えるなら文系が理系の数学を見たときのあの感覚に近い。建築家ならば通らなければならない道ではある。ただし、この本はだいぶ古く、現代ではコンピューターグラフィックスをもっと多用して楽をするのだと感じた。ただし、楽をするにもその原理を知っておいて損はない。
その他
参考サイト:パースフリークス(URL)
「デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版 -色、光、構図、解剖学、遠近法、奥行き」
「デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版 -色、光、構図、解剖学、遠近法、奥行き」
・全般的な絵の知識が語られている本であり、パースに割かれる箇所は少ない。ただし、それなりにそれぞれ濃く説明されている本である。 ・パースを学ぼうとしてとる本ではないが、絵の描き方を学ぼうとする場合は選択肢に入ってくる。ただし高いのが難点。
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