目次
横顔を描く方法について考える
グリッド理論とは
X、Y、Z軸とマス目を通して相対位置を把握しながら描く理論です。
目的はマス目を通した正確な描写そのものではなく、マス目の感覚が体に染み付いて、マス目がなくても自然な形態を表現できるようにするためです。いわばデッサンの変則的な形態ですね。ただ模写したいならグリットを使わず、トレースすればいいと思います。グリットは相対感覚を身につけるための訓練です。線Aより線Bのほうが1.5倍大きいな、このあたりを8分割した場合の1分割にあたるな、といったような緻密な分析を身につける方法です。
もちろん三次元の風景をグリット的に考えて模写する方法もありますが、それはまた別の方法です。
相対感覚が身につけば、二次元的なキャラも簡単に描けるようになるはずです。大事なのは線Aと線Bを比較しながら引くことができる相対感覚です。その能力が向上すれば 、絵のスキルも上がるはずです。その手段として一般的なデッサンがあるわけです。そしてグリッドを通したデッサンもその一つだと思います。
ドラパス 魔法の下敷きA4D-7704 33-111 こういうのがあるとアナログでは便利だと思います。
XYZ
XYZ
これはブレンダーなどでよく使われる概念ですね。
横顔でいうと横に伸びる線がY軸、縦に伸びる線がZ軸になります。二次元画像は基本的に2つの軸で構成されます。
この場合、正面の顔がZとXで構成されることになります。
より三次元的な角度である、斜めからの絵の場合は理論的にはXYZが表示されます。ですが二次元画像を三次元的に見せているだけで、実際は2つの軸しかありません。つまりXとYの区別は便宜的なものです。
前回の記事
第一回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-概略編-
第2回:グリッドで人間の横顔を描く方法について考える-眼編-
眉間周辺の分析
解剖学の知識:(1)鼻根点
「鼻根点」とは?意味と定義
・鼻根点(びこんてん,英:nasion):眉間の基部には前頭骨と尾骨の間のギザギザ(前頭鼻骨縫合)があり、この移行部をナジオン(尾骨点)と呼ぶ。
人体的にはまずは頭蓋骨、つぎに筋肉、そして脂肪、そして皮があるわけです。ひとつひとつ見ていきましょう。
まずは頭蓋骨の鼻根点周辺です。
次に筋肉の鼻骨点周辺です。用語的には鼻骨筋ですかね。
次は鼻骨点周辺の脂肪です。
次は皮膚です。
解剖学の知識:(2)眉弓
「眉弓」とは?意味と定義
・眉弓(びきゅう、英:supercilialy arches):眉弓は全体として眼窩の上部に沿って軽度に厚くなった隆起(眼窩上隆起)で、額の必要不可欠な骨の境界線を形成する。これら2つの弓の間には、要石のように見えるくさび形の骨があり、この区域は眉間とよばれる。
たしかにグリッドで見るとカーブを描いていますね。
ルーミスの横顔の分析:(1)鼻根点の凹みの位置づけ
ルーミスの顔は正直正確な線ではありません。手書きのせいもあるでしょうか、少しズレているところが多々あります。今回も厳密性は置いておいて、ざっくり進めていこうと思います。
座標軸的にはZに3-4、Yに1-2あたりですね。ちょうど眼のブロックの左にあります。ちょうど2分割を3に分けた所の周辺にありそうですね。
まず着目したいのが、ちょうど鼻根点あたりの凹みが全体の1/2の位置ではないということです。少し上にあります。
この凹みはちょうど球体と鼻の先が重なる位置付近にあります。
座標で考えるのは難しいんですよね。ちょうど赤い線が本来の3分割線の位置のはずですが、ルーミスの場合は幅が少しズレています。目の位置は点線が重なるのに、眉間の位置が重ならない時点で均等な分割ではないのです。これをどう解釈するべきでしょうか。
そもそもルーミスと同じ人間を描きたいという人はいないと思うのでそこまで厳密になる必要はありませんね。このままいきます。
ルーミスの横顔の分析:(2)眉弓の分析 曲線と直線
私なら鼻骨点周辺をこのように曲線と直線に分けて解釈します。
重要なのは直線のほうですね。曲線の始点となるからです。この直線が複雑な位置にありますね。ルーミスの線が太いので2/8の位置にあるといえなくもないのですが、振り幅が大きすぎます。1.5から2にかけて線があります。どっちにするべきですかね。実際は中間くらいの位置のほうが望ましいと思いますが、今回は便宜的に2の位置にします。
2の位置はわかりにくいですが、8分割した場合の2つ分ということです。わかりやすい指標としては、眼のブロックのスペースと同じです。ひとつの指標になりますね。
次は眉弓です。ちょうど曲線の部分ですね。
脂肪や筋肉をつけるとこうなります。
頭蓋で見えていた側面の眉弓をピックアップして正面に戻した図です。パースによっても大きく変わりますが、おおよそ眉弓あたりがでっぱりであると考えていいと思います。
大事なのは長さですよね。長さはおよそ7/8ですね。扱いにくい長さですよね。
鼻根点から4までの長さが2/8なので、その長さを2個とその半分足せばいいと考える方法もあります。
曲線の頂点は3をすこし超えたあたりですね。7分割でいうと4-5の位置にあります。このあたりは3分割線と3/8が入り組んでるのややこしいですね。ルーミスが意図していたのは3分割線かもしれませんが、実際に比率を正確にすると3分割線を超えてしまうのです。つまり3/8をすこし超えたあたりになってしまうわけです。
割り切って3分割線を基準に考えるのありかもしれませんが、ここは3/8をすこし超えたあたりだと仮定していきます。言い訳になってしまいますが、ルーミスの顔を厳密に構成することが目的ではなく、相対感覚を身につけることが目的だからです。
最後は鼻に向けての線ですね。実際の鼻の線とは違いますが、目安としてはこの方向に伸びる線を基準にしても良さそうです。鼻は別の記事で再度扱い、検討します。
実際に描いてみる
まずは簡単な4分割ベースを基準にします。ちょうど眼のブロックですね。その左に1/4のペースを追加します。この位置に鼻根点が来るわけです。
鼻根点を描き入れていきましょう。位置的には1/2より上です。どのくらい上かというと、1/8上です。ややこしいですよね。目安としては眼の上部の位置と重なる感じですね。数値でいえば3/4ですかね。
次は眉弓のでっぱりを描き入れていきます。ここがなかなかややこしい。頂点は3/8を超えたあたりです。説明するために線を引いていますが、実際に引く必要はありません。慣れたら頭の中で線を想定しましょう。
次に曲線の端をつくります。合計7になるようにするので、5を縦に足します。意外と難しいですね。もっと厳密に曲線を定義付けていく方法もありますが、今回はこのくらいにしておきます。
後は鼻に向けての線を伸ばしていくだけです。
眼と眉弓以外はざっくりですが、このように今後つなげていくことになるとおもいます。目の大きさが決まれば他の大きさも決まります。
次回の予定
眉と前頭骨あたりの予定です。
参考文献
【参考文献】
2:スカルプターのための美術解剖学: Anatomy For Sculptors日本語版
3:スカルプターのための美術解剖学 2 表情編 (Anatomy of Facial Expression 日本語版)
参考文献
人体の描き方関連
ルーミスさんの本です。はじめて手にした参考書なので、バイブル的な感じがあります。
人体のデッサン技法 ジャック・ハムも同時期に手に入れましたが、比率で考えるという手法にルーミス同様に感動した覚えがあります。ルーミスとは違う切り口で顔の描き方を学べます。
解剖学関連
スカルプターのための美術解剖学: Anatomy For Sculptors日本語版 スカルプターのための美術解剖学 2 表情編
一番オススメの文献です。3Dのオブジェクトを元に作られているのでかなり正確です。顔に特化しているので、顔の筋肉や脂肪の構造がよくわかります。文章よりイラストの割合のほうが圧倒的に多いです。驚いたときはどのような筋肉構造になるか、笑ったときはどのような筋肉構造になるかなどを専門的に学べることができ、イラスト作成においても重要な資料になります。
こちらはほとんどアナログでイラストがつくられています。どれも素晴らしいイラストで、わかりやすいです。文章が少し専門的で、難しい印象があります。先程紹介したスカルプターのための美術解剖学よりも説明のための文章量が圧倒的に多く、得られる知識も多いです。併用したほうがいいのかもしれません。
遠近法関連
これが一番おすすめです。難易度は中です。
これは難易度は小ですが、とてもわかりやすく説明されています。
スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く方法-
難易度は大ですが、応用知識がたくさんあります。
色関連
やはりこれですかね。
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