【創作のネタ・題材】ベリアルとはなにか?意味、エピソード、イラスト、元ネタ【悪魔】

ベリアルとは

意味

ベリアルとは:意味と定義
ベリアル(Belial):「邪悪なもの・無価値なもの」を意味するヘブライ語に名前が由来する悪魔。「死海文書」では闇の道における最大の悪魔。ミカエルや神と近しい力を持ち、何度も争っている。サタンとベリアルは融合し、魔王になったともいわれる。『士師記』によれば不埒(ふらち)な霊にすぎないとされている。中世の学者たちの間では堕天した力天使の一人だという説もある。デーモン学においてはルシファーに続いて創造された炎の戦車にのった天使。『ソロモンの鍵』ではソロモンの霊72人の1人であり、第68位で称号は王、80軍団を率いる。聖職や議員の地位をもたらし、友からも敵からも好かれるようにしてくれるらしい。外見は美しい天使の姿で、穏やかな声をしており、弁が立つ。「偉大なる公爵、虚偽と詐術の貴公子、炎の王、敵意の天使、隠されたる贈賄と暗殺の魔神」などの名を持つ。グラブル、ドラクエ、モンストなどさまざまなゲームにキャラクターの元ネタとして使用されている。

テラモのヤコブ「悪魔の裁判」 右の悪魔がベリアル*1

 

語源

邪悪なもの(wicked)や無価値なもの(worthless)の意味を持つヘブライ語に由来しているらしいです。beliが「ない」という意味で、alが「価値」という意味です。

英語版のWIKIではyokeless、never to riseなんて訳す学者もいるらしいです。neve to riseですから上がらない、浮上しない、飛び立たない、起こらないとかですかね。いずれにせよネガティブな言葉です。

 

ベリアルに関するエピソード

1:「死海文書」の中でのベリアル像:最大の悪魔、サタンと融合?

死海文書とは:意味と定義
死海文書(しかいもんじょ,英:Dead Sea Scrills):クムラン洞窟やジュダイアン砂漠で発見された2000年前の古文書。872の写本からなる。1947年に発見され、「20世紀最大の考古学的発見」といわれている。中身は旧約聖書正典が4割、外典や偽典が3割、残りが「宗団文書」といわれるエッセネ派の規則や儀式書。死海とは通常の海水の10倍の塩分濃度を持つ海のこと。生物は基本的に生息できないので死海と呼ばれる。悪魔としてのベリアルは「宗団文書」のなかの「戦いの書」に記載されている。ベリアルは闇の軍団を率いるリーダー。

死海文書の写本のひとつ

ベリアルは死海文書の中の、「光の息子たちと闇の息子たちとの戦い」に登場します。

死海文書以外ではそもそも、唯一神ヤハウェという存在が絶対的なものです。つまり世界に対等に善と悪が存在し、対立しているという概念が薄いのです。

死海文書を書いたエッセネ派はイランのゾロアスター教の影響を受け、一元論ではなく二元論的な思想の書物になっています。

死海文書では神は光の道と悪の道を創造したということになっています。「光の息子」とは光の天使のことで、「闇の息子」とは闇の天使のことです。息子を創造した父親、あるいは母親にあたるのが神ということです。すべての天使・人間は光の道か闇の道かを選び、世界が終わるまで闘争を繰り返すそうです。

光の道の最大の天使がミカエルで、闇の道の最大の天使がベリアルです。40年間戦いを続け、かつ両陣営とも三度ずつ優勢になるという僅差の戦いだったようです。最後には闇の天使が負けてしまいます。

ミカエルと対等に戦えるほど強い悪魔としてベリアルが描かれているので、のちにサタンと同一視されるのも不自然ではないですね。サタンはさまざまな悪魔の融合として描かれることがあるので、強大な悪魔はサタンと同一視されがちです。ベルゼブブやアザゼルもサタンと同一視されています。

だが、破壊のために神は敵意の天使ベリアルを創りたもうた。彼の支配地は闇の中にあり、彼の目的は邪悪と罪を振りまくことである。彼に関わる精霊たちは薬の一種である Sweed の天使たちに他ならない。(「戦いの書」)

 

光の子らは三度、勇気を振るって悪を討ち、ベリアルの軍勢は三度腰に帯びして光に割り当てられた者を後退させる(「戦いの書」)

ベリアルは「戦いの書」によれば角のある天使として描かれています。七度目の光の天使たちの戦いに破れ、角は消滅してしまったそうです。

 

ミカエルとは:意味と定義
ミカエル(英:michael;ミハエル):「神に似たもの」という意味を持ち、「神と同等のもの」とも解釈される。熾天使、力天使、大天使さまざまな位階の長と解釈される。キリスト教、ユダヤ教、イスラム教いずれの宗教においても最も偉大とみなされる天使。天上の七階層のうち、第四階層の支配者。もともとカルデア(メソポタミア南東部に広がっていた地域)の神として崇拝されていたが、旧約聖書に出てくるようになってから「イスラエルの守護天使」として崇められるようになった。旧約聖書にはっきりと名前が出ている3人の天使の一人(ミカエル・ガブリエル・ラファエル)。三大天使にウリエルを加えると四大天使になる。『ヨハネ黙示録』によれば「(人類最後のとき)、ミカエルとその使いたちが、竜に戦いを挑み、投げ落とした。この巨大な龍が、悪魔とかサタンとか呼ばれるものである」と予言がある。『ダニエル書』によれば「そのとき、大天使長ミカエルが立つ。彼はお前の民の子らを守護する」とある。
大天使ミハイルのイラスト

大天使ミカエルのイラスト*3

2:『コリント人への第二の手紙』:キリストと対極に扱われるベリアル

コリント人への手紙とは:意味と定義
『コリントの信徒への手紙』:新約聖書に収められた書簡のひとつ。新約聖書正典。使徒パウロと協力者ソステネからコリント教会の共同体へと宛てられた手紙。パウロ(-65年)は初期キリスト教の使徒であり、新約聖書の著者の一人。

 

キリストとベリアルとなんの調和があるか。信仰と不信仰となんの関係があるか。

(『コリント人への第二の手紙』6章15節)

キリストが信仰の象徴だとしたら、ベリアルは不信仰の象徴ですよね。キリストの対極として扱われると、大物感が出ますよね。

ベルゼブブもキリストと争って結局負けていましたが、大物の悪魔はキリストと争っていますね。

3:「ベニヤミンの遺訓」:マナセ王に取り憑いたベリアル

ベニヤミンとは:意味と定義
ベニヤミン:旧約聖書の『創世記』に登場するヤコブの12番目の息子。イスラエルの12支族のうちのひとつ。『十二族長の遺訓』の中に、ベニヤミンがその子らに向けた遺訓がある(ベニヤミン―純粋な思いについて)。『十二族長の遺訓』は聖書の偽典。『ベニヤミンの遺訓』にはベリアルの記述がある。

だから子どもたちよ、お前たちに言おう。

ベリアルは自分に従う者に剣を与えるのだから、彼の悪を逃れよ。

そしてその剣は七つの悪の母である。

まず心はベリアルをとおして理解する。

だから第一にねたみ、第二に破壊、第三に患難、第四に捕囚、

第五に欠乏、第六に混乱、第七に荒廃がある。

(旧約聖書偽典『ベニヤミンの遺訓』)

『ベニヤミンの遺訓』ではベリアルがユダ王国14代目国王、マナセ王に取り憑いたとあります。

ユダ王国とは:意味と定義
ユダ王国:紀元前10世紀から紀元前6正規にかけて古代イスラエルに存在した王国。もともとあった統一イスラエル王国が南と北に分裂し、南にできた国。ヤコブの子であったユダの名前に由来している。イスラエル王国の初代国王はサウル。サウルはペリシテ人と戦い、戦死。ダヴィデがあとを継ぎ、ペリシテ人を撃退し、エルサレムに都をおいて全イスラエルの王となった。イスラエル王国から南に分裂してできたユダ王国の初代国王はレハブアム(元イスラエル第四代国王)。レハブアムはイスラエル王国の三代目ソロモンとアモン人ナアマの間に産まれた。北に分裂した王はヤロブアム1世。
マナセとは:意味と定義
マナセ:第十四代ユダ王国、国王。第十三代国王ヒゼキヤが反アッシリア政策を行い(当時ユダ王国はアッシリアの属国)、ユダヤ教に対して敬虔だったのに対し、マナセは親アッシリア政策を行い、偶像崇拝を復活させた。バアル信仰、アスタロト信仰といったように異教の神を信仰したといわれている。バアルとはいわゆるベルゼブブとしてキリスト教徒によって悪魔化される前の、カナン人たちにとっての神である。『列王記』では国民を苦しめる不敬虔で邪悪な王として描かれ、ユダ王国滅亡の原因であるとされている。預言者イザヤをのこぎりで切り裂いたらしい。『歴代誌』ではマナセがバビロンに連行された際に改心したとされている。『ベニヤミンの遺訓』ではベリアルに取り憑かれている。

ベルゼブブの項目でもユダ王国がでてきましたね。ユダ王国第六代の王アハズヤが、異教の神バアルに病を治してもらおうとするシーンで、預言者のエリヤに「そんな異教の神に祈るやつは死ぬ」みたいなこと言ってましたね。同じようにユダ王国第十四代国王であるマナセもバアルを信仰していたそうです。

【創作のネタ・題材】ベルゼブブとはなにか?意味、エピソード、イラスト紹介

そんなマナセ国王ですが、なんとベリアルに取り憑かれていたらしいです。「なんでも妖怪のせい」を思い出すのは私だけでしょうか。

ベリアルはマナセ国王にとりつき、妖術や魔法といった悪行をおこなわせ、神の信徒を迫害し、その信仰を破棄させたらしいです。『歴代誌』によればアッシリアに囚われ、解放された後は改心したらしいです。

4:「ベリアルの書」:キリストvsベリアルの裁判。ベリアルは法律の権威?

ベリアルのイラスト(「ベリアルの書の挿絵」)

「この不愉快なるベリアルの書」(ベリアルの書)は11382年にヤコブス・デ・テラモによってかかれたものです。

ベリアルはキリストと裁判をしたらしいです。裁判官は第三代イスラエル国王ソロモンです。14世紀の出来事ですが、神が悪魔と取引をしたことがあるソロモン王を適任としたらしいですね。

ベリアルがキリストを告訴した理由は「彼は不法にも地獄の権利に干渉し、地獄、海、大地、大地に住むすべてのものの支配権を強奪した」からだといいます。時代背景としては天界は神の支配領域、地上や地獄は悪魔の支配領域と考えられていたそうです。それなのにキリストは人々に神への信仰を目覚めさせたというわけです。

たしかに自分たちが支配している場所で、他の支配者を信仰させられたら困りますよね。

もっともキリストは地獄の罪人たちをすべて開放してしまうといったこともしています。これに一番怒ったのは実はサタンです。地獄の罪人たちの解放といえば、ベルゼブブとキリストの戦いが有名ですが、「ベルアルの書」ではサタンが法律に詳しいベリアルを代理人に立てたということになっているようです。

サタンとは:意味と定義
サタン(英:satan):通俗的には大いなる悪鬼(悪魔)で、デーモンの軍勢の指揮官。旧約聖書では悪魔ではなく、サタンは元々神に仕えていた使者だったそうです。もともと神の宮廷の一員(旧約聖書のヨブ記)で、後にさまざまな悪魔の性格が融合して魔王サタンとして誕生しました(新約聖書)。中世以降、ミルトンの『失楽園』にみるようにサタンは=ルシファーだという解釈が一般的になっていきました。ヘブライ語の旧約聖書がギリシア語に約されたとき、satanがdiabols(ディアボロス)と訳され、サタンが魔王として意味するようになったそうです。語源はヘブライ語のstn(shatana)で敵対者、妨害するものという普通名詞です。
サタンの絵

ダンテ『神曲』の挿絵*5

 

 

キリストの弁護人としてはあの有名なモーセがついたそうです。

モーセとは:意味と定義
モーセ:旧約聖書の『出エジプト記』などにあらわれる、紀元前16世紀または紀元前13世紀に活躍したとされる古代イスラエルの民族指導者。イスラエルの民を代表して神との契約を結ぶ。「ベリアルの書」ではイエスの弁護人として悪魔であるベリアルと対決する。

ベリアルは裁判官に媚びを売るように踊ったり、色々画策したようです。

エジプト王の代理ヨセフ、ローマ皇帝オクタビアヌス、預言者エレミヤ、預言者イザヤ、アリストテレスの5人が委員となって問題を討議したそうです。

結局キリストの無罪が証明されてしまいましたが、代わりに「最後の審判の日に地獄へ落とされる不正なものすべてに対する支配権」を得ることを再確認されたらしいです。

地獄の罪人を勝手に開放しちゃいけませんよ、ということになったんですね。

5:『バルトロマイの福音書』:ベリアルは神の使者だった

バルトロマイとは:意味と定義
バルトロマイ:新約聖書に登場するイエスの使徒の一人。ミケランジェロによる「最後の審判」にも描かれている。皮剥ぎの刑で殉教した。イタリア名はバルトロメオ。キリシタン大名の洗礼名でバルトロメオの名が使われている。

*4

『バルトロマイの福音書』(新約聖書外典)でベリアルが登場しています。バルトロマイに向かってベリアルが自分のことを話すシーンです。それによればかつては神の使者という名前のサタナエルと呼ばれていましたが、神の似像(じぞう,姿かたちを似せること)を拒み、地獄(タルタロス)を管理する天使という意味でサタナスと呼ばれるようになったそうです。

さらにベリアルは神によって創られた第一の天使であることも語っています。ミカエルやガブリエルより前に創られた天使ということです。これを元ネタにして「ソロモンの鍵」では序列68位のベリアルが、「天使たちと戦って自分が一番最初に天から追放された」といっているんでしょうかね。最初に創られ、最初に追放された天使ということになります。もっともベリアルは弁が立つ悪魔ともいわれるので、真実はさだかではありません

6:ミルトンの『失楽園』:ベリアルは姿は立派だが品性は下劣

失楽園とは:意味と定義
『失楽園』(1667年):ジョン・ミルトンによる旧約聖書の『創世記』をテーマにした叙事詩。ヤハウェに叛逆して一敗地にまみれた堕天使のルシファーの再起と、ルシファーの人間に対する嫉妬、およびルシファーの謀略により楽園追放に至るも、その罪を自覚して甘受し楽園を去る人間の偉大さを描いている(WIKIより)。

優雅で洗練された振る舞いの持ち主ベリアルが立ち上がった。天から生まれた者で、彼以上に端麗な天使は他にいなかった。生まれつき威厳にみち、高蔓で、勇敢な行動力を誇る者のように見えていたが、それはすべて偽りの虚飾にすぎなかった。

(『失楽園』)

※高邁(こうまい)、けだかく優れていること

『失楽園』では「ベリアルほど下品で、悪徳を愛する不埒者はいない」とされている。上品そうに見えるが、実は下品であるということですね。弁舌がうまく、どんな低劣な内容でも巧みな話術で立派な論理にみえてくるようです。キリストと裁判をするときにサタンから任命されたのもうなづけますね。

「死海文書」や「コリント人への手紙」では、サタンクラスの大物扱いを受けていましたが、どことなく小物のような感じがしてきましたね。

モロクとは:意味と定義
モロク(モロク,molech):ヘブライ語でmolechは王を意味する。聖書におけるモレクはアンモン人の神であり、牝牛の頭を持つ人間のブロンズ像のなかにあらわれる神。子どもたちがこの像の中に生贄としてささげられ、熱せられる。後にデーモン学などでおそろしい悪魔として扱われることになる。『失楽園』では反逆天使として描かれ、獰猛な性格を持ち、ガブリエルに勇敢に挑むが負けて逃走している。

 

戦うことも好きではなく、モロクが天へ攻めこもうといったとき、反対したそうです。またサタンの発明した大砲をほめちぎるなど、ごますりをする悪魔でもあったようですね。

 

7:『レメゲトン』(ソロモンの小さな鍵の「ゴエティア」):ソロモン72人の悪魔の一人としてのベリアル

レメゲトンとは:意味と定義
『レメゲトン』(Lemegeton Clacicula Salomonis):さまざまなグリモアを集めたもので、『小さな鍵』や『ソロモンの小さな鍵』と呼ばれる。ソロモンを著者とするとされているが、フレッド・ゲディングズの「悪魔の辞典」によればそれは見せかけに過ぎないという。しかし他のグリモアよりは高い水準にあるという。第一部は「ゴエティア」と題され、ソロモンの霊72人が列挙され、力や姿が紹介されいてる。第二部は四方のデーモンを扱う「テウギア・ゴエティカ」、第三部は天使を扱う「パウロの術」、第四部は「アルマデル」。グリモアとは主に15世紀から18世紀にかけて現在の形として生み出された、魔術に関わるさまざまな文書をあらわす名称。悪魔や天使を召喚する規則を定めている事が多い。ソロモン王が72人の悪魔と瓶(もしくは壺)に閉じ込め、海に沈めたが、後になってバビロニア人が瓶を空けてしまい、悪魔たちは解放される。解放された悪魔たちを召喚する方法がグリモアには記されている。

 

ソロモン王とは:意味と定義
ソロモン王:イスラエル王国第3代国王(在位紀元前905-紀元前925年)。ダビデ王の息子。合成な神殿や宮殿を建築し、王国の最盛期を築いた。旧約聖書の中では神から知恵と見識を授けられている知恵者として扱われている(『知恵の書』)。一方で、異教の妻を多数めとり、異教の神を祀ったともいわれている(『列王記上』)。異教の神との関連からか、悪魔を使役したという伝説が生まれた。『ソロモン王の遺言』ではミカエルからもらった指輪で悪魔を使役させ、神殿を建築した話がある。イスラム教の聖典コーランにもソロモン王は特別な力を神から授けられ、動物の声を理解し、精霊、人間、動物を思い通りに動かせたとある。

 

ベリアルはソロモンと対決して負け、瓶か壺に閉じ込められてしまったみたいですね。

 

ゴエティアによればベリアルは序列68位で称号は王、80軍団の長のようです。ルシファーの次に想像された悪魔であり、美しい二人の天使の姿で炎の戦車に乗って登場するらしいです。穏やかな声で天使と戦って自分が一番最初に点から追放されたと言ったらしい。召喚したら聖職や議員の地位をもたらしてくれ、友からも敵からも好かれるようにしてくれ、使い魔ももたらしてくれるそうです。こうした記述は「偽エノク書」とも重なりますね。

ソロモン王72人の悪魔の序列ってよくわからないですよね。ベリアルは68位ですが、称号は一番上の王です。おそらく68位といより、単なる記載の順番だと思います。ベリアルの称号は王なので、72人の悪魔の中でも地位は上の方なはずです。

WIKIによれば72という数字は十二宮の1つの宮をさらに6区画によって得られた数字で、象徴的な全方角の支配者を定めるためのものらしいです。つまり序列というより、方角の数字を示しているのではないでしょうか。

ソロモン72人の悪魔の中で称号が王なのは1のバエル、9のバイモン、13のベレト、20のプルソン、32のアスモデウス、61のバラム、68のベリアルだけです。

これらは72人の強大な王侯たちであり、ソロモン王はかれらに、ベリアル、ビレト、アスモダイ、ガープが首領であるところの軍勢とともに一つの真鍮器に入るよう命じたのである。これはかれらの高慢のゆえであろうと思われる。というのもソロモンはかれらを拘束した理由を明かさなかったからである。かくてソロモンはかれらを縛して容器に密閉し、神聖な力によってバビロンの深い湖か穴に逐いやったのであるが、バビロニアのひとびとがこれを見て訝しみ、大きな財宝が入っているやもしれぬ、と容器をこじ開けようとして湖に入り込んだ。しかし彼らが器を開封した途端、霊の頭目たちは自分たちに服属する軍団とともに挙って奔出したのであった。そしてベリアルの他はみな元の位置に復帰してしまった。一方、ベリアルは或る偶像に入り込み、バビロニアびとがしたように生贄を捧げてその偶像を神として祀るひとびとに応答するようになったのである(『ゴエティア』)

上にあるように、ベリアルはやはり別格みたいですね。ソロモン王によって真鍮製の壺か瓶に入れられてしまいましたが、バビロニア人が宝が入っていると勘違いをして空けてしまったようです。そのとき多くの悪魔が逃げましたが、ベリアルは偶像に入り込み、神として祀られたそうです。興味深いエピソードですね。

この偶像として神になったというのは、おそらくブランシーの『地獄の辞典』の、古代フェニキアのし丼で崇拝された邪神というエピソードと重なるのではないでしょうか。

8:ウィリアム・ブレイク『ミルトン』によるベリアルの扱い

ウィリアム・ブレイクとは:意味と定義
ウィリアム・ブレイク(1757-1827):イギリスの詩人、画家。預言書『ミルトン』で有名。

ウィリアム・ブレイク『ニュートン』(1795)

ウィリアム・ブレイクの『ミルトン』の中では、ベリアルは神のままで、ソドムとゴモラの恐怖にむすびつき、「買収と密かな暗殺にかかわる模糊としたデーモン」として描かれているらしい。

ソドムとゴモラとは:意味と定義
ソドムとゴモラ:性の乱れなどが原因で、神によって天から硫黄と火によって滅ぼされたとされる都市。旧約聖書の『創世記』に登場する。

「ソドムとゴモラの破壊」(1852年、ジョン・マーティン画)*6

ソドムとゴモラといえば、ソースは不確かですがソドムとの町を混乱に陥れた悪魔がベリアルだったという説があるみたいですね。真野陸也さんの「堕天使」にそのような記述がありますが、なにを出典としているか記載がありません。

9:「士師記」によるベルアル:低俗な霊

士師記とは:意味と定義
士師記(ししき):ヨシュアの死後、サムエル登場に至るまでのイスラエル人の歴史を記した書物。キリスト教においては旧約聖書に分類される。サムエルは紀元前11世紀のひととされ、ユダヤの預言者であり、士師(民族指導者)。名前の由来はヘブライ語で「彼の名は神」。後にイスラエル統一王国初代国王になるサウルの頭に油を注ぎ主(神)の言葉を伝えたとされる。サウルは神の教えに背くことがあったので、新しい王になるダビデにまた油を注いだ。ベリアルは『士師記』の中での言及から、不埒な霊に過ぎないとされている(第十九章22節)。

 

22 彼らが楽しく過ごしていた時、町の人々の悪い者どもがその家を取り囲み、戸を打ちたたいて、家のあるじである老人に言った、「あなたの家にきた人を出しなさい。われわれはその者を知るであろう」(『士師記』第十九章22節)

22 While they were enjoying themselves, some of the wicked men of the city surrounded the house. Pounding on the door, they shouted to the old man who owned the house, “Bring out the man who came to your house so we can have sex with him.”

これがどうベリアルについて言及されているかよくわかりません。フレッド・ゲディングズの「悪魔の辞典では」この節を受けてベリアルを低俗な霊としていますが、どうなんでしょうか。

おそらく英訳ではwicked menとされているので、ベリアルの名前にはヘブライ語で邪悪、英語でいうとwickedという名前になるのでそれでしょうかね。文脈的には町の悪い人々ですが、悪魔として解釈することもできるかもしれません。

シーン的には、よそ者(男とその愛人)を泊めてあげた家のあるじに、町の悪い奴らが「よそものをさしだせ」といい、家の主はかわりに自分の娘とよそ者の愛人を差し出すから、彼だけはやめてくれと言っている感じです。よそ者の男は自分の愛人をさしだし、彼らはその女を一晩中はずかしめたそうです。そして女は死んでいました。男は女を乗せて家に帰りましたが、からだを十二切れに断ち切り、イスラエル全領土にあまねく送ったそうです。

どうやらよそ者が滞在していた土地がギヘアという町で、男は自分の愛人(めかけ)がギヘアの人々にはずかしめられ殺されたことに怒りを感じ、めかけを切り刻み、いま我々(イスラエル人)がギヘア(ベニヤミン人)にすべきことはこれだといったらしいです。20章ではイスラエル人がベニヤミン人の町を攻めようとするシーンがあります。そしてベニヤミン族は滅亡の危機に陥るという話です。

初代イスラエル国王もベニヤミン人です。やがて第三代イスラエル国王のソロモンによってベニヤミン族は行政区の一つに入れられ、後にユダ族とベニヤミン族は統合されていったそうです。

ベリアルに関するイラスト

ベリアルは角が生えた天使として『死海文書』では描写されているので、やはり角が生えたイラストがメインになってくるのではないでしょうか。

*7

有名なゲームであるドラゴンクエストでも角があるモンスター、ベリアルとして登場しています。元ネタはもちろん聖書に出てくるベリアルですね。

グランブルーファンタジー、いわゆるグラブルではイケメンの悪魔として描かれていますね。羽は6枚です。角はないみたいですね。

海外のイラストではかっこいいベリアルが描かれています。やはり死海文書通り、角がありますね。闇の王の雰囲気があります。小物っぽい感じはしませんね。

*9

このマスクもベリアルのイメージに近いですね。

ちなみにこれは『ゴエティア』に記されているベリアルのシジルです。シジルとは魔術で使われる図形このことです。

参考文献

参考書籍

1:「知っておきたい天使・聖獣と悪魔・魔獣」,荒木正純,(西東社)

2:「悪魔の辞典」、フレッド・ゲティングズ、(青土社)

3:「図解 悪魔学」、草野巧、(新紀元社)

4:「堕天使 悪魔たちのプロフィール」、真野陸也、新紀元社

5:「悪魔辞典」、山北篤、新紀元社

6:各WIKI

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%82%A8%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB#cite_note-DoA-1

引用画像

1:https://medievalengravings.tumblr.com/

2:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%BB%E6%B5%B7%E6%96%87%E6%9B%B8

3:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9F%E3%82%AB%E3%82%A8%E3%83%AB

4:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%9E%E3%82%A4

5:https://artsycraftsy.com/dore_prints.html

6:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BD%E3%83%89%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%82%B4%E3%83%A2%E3%83%A9

7:https://dragonquest.fandom.com/ja/wiki/%E3%83%99%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%AB

8:https://www.artstation.com/artwork/g9v8e

9:https://www.compositeeffects.com/product/belial-the-demon/

 

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