【絵を描くための色彩学】ウェーバーの法則とウェーバー比とはなにか

ウェーバーの法則とはなにか

ウェーバーの法則とウェーバー比の正確な定義

ウェーバーの法則(英:Weber’s law):刺激を与えたとき、その違いを知覚できる弁別閾は、刺激の強さに比例するというもの(「小学館」)。ウェーバー比は一定である。すなわち、ΔS/S=Kであるとすると、感覚の最小の変化(ΔS)は初期刺激の大きさ(S)に比例することになる。いま、グラフの縦軸にΔS/Sをとり、横軸にSをとってこの関係を示すと、高さKの横軸に平行な直線となる。この関係をウェーバーの法則という*1。

ウェーバー比(英:Weber’s ratio):弁別刺激値の、初期刺激値に対する比ΔS/Sをウェーバー比という。より一般的には、相対弁別閾という。弁別閾とは、いまある物理的尺度上で初期刺激Sをより大きい方へ(あるいはより小さい方へ)変化させ、ちょうどその変化が気づかれたときの刺激をS’とすると、|S’ーS|=ΔSをいう。統計的には、その変化が判断回数の50%だけ気づかれるような刺激差として定義される*1。

ウェーバーの法則を理解する

WIKIには「たとえば、100の刺激が110になったときはじめて「増加した」と気付くならば、200の刺激が210に増加しても気付かず、気付かせるためには220にする必要がある。 」とあります。100から110に変化したときの量はΔ10なのでΔ10/100ということになる。従ってウェーバー比は1/10になる。これなら200からどれだけ刺激が増えたら変化を感じるかを知りたいときに、200に1/10をかけると20とわかる。つまり20増やせば増加したと感じるということです。300なら30増やさないと増加したと感じないということです。300の1.1倍で330ですよね。330ー300=30です。したがって刺激量は30必要だということです。100の1.1倍は110,110-100=10ということです。

ちなみに「ウェーバーは、手で持ち上げる重量に関しては約1/30から1/40、線分の長さに関しては約1/100かであることを発見した、光の明るさに関しては観察者によって1/60から1/200に及ぶ*1」とされているそうです。たとえば100gの重さの場合は100*1/30で3.33g増加すれば変化を感じるということです。1キロの場合は33g、10キロの場合は333gということですね。刺激が大きくなればなるほど「変化した」と気づくために必要な刺激量は増えていきます

感覚のウェーバー比

*1

この表では圧覚のウェーバー比が0.14-0.3とあります。先程の手で持ち上げる重量は1/30=0.03だったので大きく異る数値ですよね。

参考:種々のウェーバー比
重さ:1/40 ~1/30, 圧覚:1/7
音の大きさ:1/11, 明るさ:1/62
からさ:1/6.6, あまさ:1/5, 酸っぱさ:1/4, 苦さ 1/4.8
ゴム臭:1/10

*4

もっと調べてみると重さと圧覚が区別されていました。圧覚を調べてみると「皮膚面に変形や歪が加えられたときに生じる感覚」とあります。重いものを持てばたしかに皮膚面は変形するわけですが、重さとは違う概念かもしれませんね。ちなみに圧覚という点から考えると100gの1/7で約14g増えないと変化を感じないということになります。200gのときは200*1/7=で約28g、1キロの場合は約140g必要です。

100gのとき14g増やせば変化を感じたから、200gのときも14g増やせば変化を感じると考えるのは誤りということです。ウェーバーの法則に従えば200gのときは28g必要になります。

光の場合は1/60から1/200とかなり範囲が広いですよね。光刺激を100としたとき、100*1/60で1.6になります。つまり光の刺激を1.6増やさないと人間は変化を感じることができないということです。光の刺激が1000の場合は約16増やさないと変化を感じることができません。このように刺激が増えるほど、増やす量も多く必要になるということが確認できます。

ウェーバー比の比率が小さいほど変化を感じやすく、ウェーバー比の比率が高いほど変化を感じにくいということができます。たとえば明るさのウェーバー比は0.01なのでわずかな変化量でも変化したと敏感に感じることができます。あまさは0.4なのでわずかな変化量では変化したと感じることができません。半分近く刺激量を増やさないと変化したと気づかないのです。甘さは鈍感な感覚だといえます。

「ウェーバー比は一定である」という言葉の意味

(例)100の刺激が110になってはじめて「増加」したと気づくとする。

ΔS/S=10/100になります。つまり1/10=0.1です。これがウェーバー比になります。Δとは変化を示す記号です。100から110になるために10の変化したという意味でΔ10です。

このウェーバー比が一定というのは、刺激の量がいくつでも一定ということです。たとえば刺激の量が200になっても200の刺激量が増加したと気づくために必要な刺激量は200*0.1=20で20です。このように0.1というウェーバー比は刺激の量に関係なく一定ということです(初期刺激量の100以上ですが)。

ウェーバーの法則とフェヒナーの法則の関連性

フェヒナーの法則(英:Fechnner’s law):反応の大きさをR、刺激閾S0の倍数として表した刺激強度をSとしてR=K・logSとして表された関係をフェヒナーの法則、または対数法則(logarithmic)という。刺激強度が等比級数的に変化するとき、反応の大きさは等比級数的に変化することを意味する*1。

ウェーバーの法則とフェヒナーの法則はとても似ています。もともとウェーバーの弟子がフェヒナーで、ウェーバーの法則を発展させたから似ているのは当然です。

「たとえば、100の刺激が110になったときはじめて『増加した』と気付くならば、200の刺激が210に増加しても気付かず、気付かせるためには220にする必要がある。 」とWIKIにあり、これをウェーバーの法則の例として序盤に出しました。この例をフェヒナーの法則で考えてみます。「100の刺激が110になったときはじめて『増加』したと気づくならば、感覚単位が1増えたと考える。200の刺激が220になって『増加』したと気づくならば、感覚単位が1増えたと考える。刺激量は違うけど、感覚単位が1増えたという意味では同じだよね」というのがフェヒナー的な解釈です。

フェヒナーの法則はウェーバー比を利用した精神物理学的法則だといえます。フェヒナーの法則については別の記事にまとめてあるので是非チェックしてください。

【絵を描くための色彩学】ウェーバー・フェヒナーの法則とはなにか

フェヒナーの法則をさらに発展させたものがスティーブンスのべき法則であるともいえます(諸説あります)。スティーブンスは「マグニチュード測定法」という感覚量を直接測定する方法を考え、フェヒナーより正確なグラフを示すことができました。さらにべき法則という「反応の比が刺激の比に対応している」という法則も提示しました。ここでは扱いきれませんので機会があればまた記事を書きたいと思います。絵を描くためには基本的にウェーバー比とフェヒナーの法則を理解できれば十分だと思います。

マグニチュード推定法では通常、まず「標準」とされる刺激を与え、それに「係数」と呼ばれる数を割り当てる。その後、被験者に刺激を与え、被験者が標準刺激との対比で感覚の強さを数で申告する。例えば、標準刺激の2倍の強さと感じたら、係数の2倍の数を申告する。標準刺激を用いない場合、被験者は好きなように数を割り当てればよく、個々の刺激の間で感覚上の強さと回答する数の比率があっていればよい。被験者に標準刺激を与え、被験者自身が装置を操作して標準刺激の指定された倍率の強さと感じる刺激を自分で求める方法もある。これを magnitude production と呼ぶ。*3

E.H.ウェーバーについて

*2

エルンスト・ハインリヒ・ヴェーバー(Ernst Heinrich Weber、1795年6月24日 – 1878年1月26日)は、ドイツの生理学者、解剖学者。重量や温度などの感覚を実験的に研究し、刺激強度と感覚の増分の関係を発見した。これは後に弟子のフェヒナーによって定式化され、ウェーバーの法則と名付けられた。

参考文献

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・色関連

カラー&ライト ~リアリズムのための色彩と光の描き方~
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