シェーディングとはなにか、絵を描くために必要な陰影用語の理解

シェーディングとはなにか

この記事ではシェーディングに関する基礎用語の理解を趣旨としています。基幹記事になりますので随時更新予定です。各論は別記事で今後取り扱う予定です。

今回の陰影のモデルはblenderで制作しました。制作方法の記事もつくりましたのでよろしければどうぞ。blenderは無料の3D制作ツールです。

【blender2.8】デッサンに役立つかも?ライティングのやり方メモ(球体に陰影をつけるテスト)

陰影講座まとめ記事はこちらになります。

【pixivの講座まとめ】陰影についての講座まとめ

意味

シェーディングとは:意味と定義
シェーディング(英:shading):陰影をつけること。大きく分ければ明部、暗部、投影の3つ。明部は光が直接当たる部分で、暗部は直接光があたっていない部分。陰影はパッシブハイライト、アクティブハイライト、明暗境界線、最暗部、反射光、オクルージョンシャドウ(本影)、投影等さまざまなものがある。より広義の言葉にレンダリングがありますが、レンダリングは陰影だけではなく質感も含めます。
シェーディングとはなにか

シェーディングとはなにか

 

陰影とは

陰影とは:意味と定義
陰影(いんえい,英:shadow):光の当たらない部分。陰と影の違いは、陰は物体の表面にあらわれる部分であるのに対し、影は物体を通して投影される部分。
陰影とはなにか、意味

陰影とはなにか、意味



 

フォームの原理と変化

フォームの原理

フォームの原理とは:意味と定義
フォームの原理:立体幾何学形状の成り立ちについての分析。たとえば球体に光が当たると、どのような陰影がつくかといった分析を行う。フォームは日本語でいえば「形態」であり、物のかたちを意味する。

 

フォームの変化

フォームの変化とは:意味と定義
フォームの変化(英:form change):表面に起伏がある立体に光線が当たると、表面のさまざまな起伏に異なる角度で光が交差して、変化が近くされる。明度の変化ともいう。

 

フォームの原理の限界

フォームの原理は単純な球体や立方体など無機物的なものを一般に前提としています。雲、葉、髪の毛、ガラス、金属といったものそれぞれに光に対する反応が異なります。人間の肌も光があたると透けることがあります。これは肌が水分をもっているためです。

このようにフォームの原理にあてはめて一律に影を設定することはできませんが、基本として抑えておいたほうがいいと思います。個別の陰影の付け方はそれから学んでいきましょう。またシェーディングはライティング次第で変容するので、光が当たる物体だけでなく、光そのもの、つまり光源に関しても勉強する必要があります。

モデリングファクター

モデリングファクターとは:意味と定義
モデリングファクター(英:modeling factors):立体的な形状の面を表現する規則的で予測可能な一連の色調。ハイライト、光り、ハーフトーン、最暗部、反射光などを含む。

 

シェーディングといえばこの色調付けを想像する人が多いのではないでしょうか。厚塗りでもこの陰影付けの後、色を乗せる作業があります。厚塗りのほとんどの作業はこのいシェーディングができるかどうかにかかっています。

ハイライト

ハイライトには大きくわけて2つのものがあります。

アクティブハイライトとは:意味と定義
アクティブハイライト(英:active highlight):反射性ハイライト。物体の表面での光源の反射。ガラスなどの反射しやすい物質ではハイライトが目立つ。
アクティブハイライトとは

アクティブハイライトとは

 

 

パッシブハイライトとは:意味と定義
パッシブハイライト(英:passive highlight):表面で最も明るく照明されている領域。光線が表面 に対して最も垂直な部分に発生する。
パッシブハイライトとはなにか

パッシブハイライトとはなにか

 

明暗境界線

明暗境界線とは:意味と定義
明暗境界線(英:terminator):オブジェクト(物体)の明部と暗部が切り替わる場所。
明暗境界線とは、意味

明暗境界線とは

 

最暗部

最暗部とは:意味と定義
最暗部(英:core shadow):明暗境界線で始まる、暗いグラデーション状の帯。反射光が強くなる物体の暗部方向に向かうにつれて徐々に明るくなる。
最暗部とはなにか、意味

最暗部とはなにか

 

反射光

反射光とは:意味と定義
反射光(reflected light):光で照らされた表面から、通常は影の中へ跳ね返る光り。拡散相互反射(diffuse inter-reflection)ともいう。反射光の大きさや形は床の材質や光の強さで変わる。
反射光とはなにか、意味

反射光とはなにか

 

本影(オクルージョンシャドウ)

本影(オクルージョンシャドウ)とは:意味と定義
本影(英:occlusion shadows,オクルージョンシャドウ):接触点や近接点で発生する小さくて濃い影の領域。この領域では、光が遮蔽(しゃへい)される程度までフォーム同士が近接している。影の中で最も暗い部分。
本影、オクルージョンシャドウとはなにか、意味

本影、オクルージョンシャドウとは

 

投影

投影とは:意味と定義
投影(英:cast shadow):あるオブジェクトから別の表面へと投影された影。陰(フォームシャドウ)とは区別される。
投影とはなにか、その意味

投影とはなにか、その意味

 

明部と暗部

明部と暗部とは:意味と定義
明部と暗部:明部は光が直接当たる領域。暗部は光があたっていない領域(陰と影)。ただし暗部の中にも反射光で光があたっている部分がある。
明部と暗部とは

明部と暗部とは

 

ハーフトーン

ハーフトーンとは:意味と定義
ハーフトーン(英:halftone):名部から影のエッジに至るフォームの遷移の面として観察される。一連の中間的な色調の明度。ハーフティント、ドミタントともいう。
ハーフトーンとはなにか、その意味

ハーフトーンとはなにか、その意味

 

 

光源によるシェーディングの変化

たとえば晴天の場合と、曇天の場合は陰影が変化します。これらはライティングとも関係してくる項目です。

曇天の陰影

曇天の陰影

晴天の陰影

晴天の陰影

晴天の場合は光の種類が「直接光」に分類されます。曇天の場合は「ソフトライトや拡散光」に分類されます。曇天で影が真下に降りているのは、雲で太陽の光が拡散されているからです。雲で隠れないと太陽は一直線に伸び、右上にあればきれいに左下に陰影がつきます。陰影をはっきりさせたい場合は晴天のライティングでシェーディングを行い、陰影をはっきりさせたくない場合は曇天のライティングでシェーディングを行うといった使い分けができます。

室内のライティング

室内のライティング

室内の場合はこんな感じです。

光源が2つ以上

光源が2つ以上

影が二重になっているのは、光源が2つ以上あるからです。

参考文献

1:「カラー&ライト」,ジェームズ・ガーニー,ボーンデジタルインク

2:「スコットロバートソンのHOW TO RENDER」,ボーンデジタルインク

toki

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