はじめに
動画での説明
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絵を描く方法の全体の体系
絵の基礎は「線(ドローイング)」、「光と陰影(ライティング)」、「色彩(カラーリング)」の3つの領域にあると仮定する。そしてこのシリーズは「色彩」の領域に属する。※体系に関する詳細は第一回を参照。
色彩学(英:Color Science):一般に、色の物理的性質・心理的影響・知覚・応用を体系的に研究する学問分野のこと。
※本記事シリーズでは、色を理解し、視覚的・心理的・文化的効果を意図的に操作できる能力を身につけることを目標とする。
このシリーズは「カラーアンドライト」を理解するための知識の獲得を目指している。
※光学や生理学だけではなく、塗料や物体の性質といった化学の知識、さらに心理学の知識もその射程となる。
今回学ぶ範囲はこのような図のイメージとなる。
(2) 「補色」を理解する
[2-1]補色を理解すべき理由
絵を描いているときに、「どの色を使うべきか」と迷う人はいるはずだ。このときに、「色を強く目立たせたい」あるいは「色を強く目立たせたくない」という目的がある場合、その手段として補色に関する知識は役立つといえる。絵を描く際だけでなく、青と白を使うことで牛乳の「黄色」を残像として強調し、「濃さ」を演出するといった効果を補色から理解することができる。
「色彩調和」についてはこの動画では深く扱わないが、補色はゲーテやダヴィンチ、ブリュッケなどが色彩理論において重視した要素のひとつである。
どの色とどの色の組み合わせが調和するのか、お互いを引き立て合うのかといった色彩感覚を獲得するためにも補色の知識は必須である。ただし、補色関係にありさえすれば美しく見えるといった単調な話ではないことには注意する必要がある。
たとえばバラの赤と緑、夕焼けの橙と青、海と夕日の青と橙なども補色関係の一例である。
ただし、赤と緑といっても、その色の内実には幅がある。特に、RYB体系とYMC体系のどちらを採用するかで補色のあり方が変わり、さらに同じ体系内でもどの色を三原色とするかによっても変わるといえる。たとえば海の「青」や空の「青」がシアン寄りの場合もある。
補色とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
補色(英:complementary color):ある色に対して、その色と最も強い対比をつくる反対側の色のこと。
ある単光色C1とC2が補色の関係にある場合、それらの波長を「補色波長対」という。
2つの色光C1とC2を加法混色した結果が白色Cwに等しくなるとき、C1とC2は互いに補色であるという考え方がある。※CはCOLORの略、WはWHITEの略
たとえば(原色の)青色の光と黄色の光を加法混色した結果が白色に見えるとき、両者は互いに補色であるといえる。
しかし減法混色において、(原色の)黄色と青を混色させても白色にはならず、黒色になる。
2つの色光C1とC2を減法混色した結果が黒色Cbに等しくなるとき、C1とC2は互いに補色であるという考え方になる。
白と黒の共通点は「無彩色」であるという点である。補色関係同士の色を混ぜ合わせると彩度が下がって見えるということになる。
先程の図では加法混色においても減法混色においても補色関係は黄色と青で変わらなかった。しかし同じ減法混色でも、表色体系によって補色関係が変わる場合がある。
伝統的な減法混色では、三原色はRYBで考えられていた。しかし現代的な減法混色では、三原色はYMCで考えられている。
三原色が異なるということは、色相環が異なるということである。色相環が異なるということは、対になる色が変わるということになる。たとえばRYBの表色体系において、黄色の補色は青色ではなく、紫色である。さらにマンセル色相環などでも違ってくるが、ここでは省略して考える。
RYB色相環における補色
たとえばRYB色相環で正反対に位置する関係の色の組合せを視覚的に表現すると、上の図のようになる。
※各色はできるだけ純色に近いものを採用。現実的には使う絵具の種類に依存する。たとえば青色でもウルトラマリンを使うかコバルトブルーを使うかといった違いがあり、この微細な違いで対応する補色も変わる。
RYB色相環における補色
YMC色相環で正反対に位置する関係の色の組合せを視覚的に表現すると、上の図のようになる。
(加法混色)RGB色相環における補色
加法混色のRGB色相環の場合はYMC色相環と基本的に補色関係は同一になる。
色相の細分化、明度や彩度との関連性について
もちろん12色相だけではなく、色相は無限のように細分化することが可能である。
たとえばクリップスタジオペイントソフトでは色相は360個ある。つまり、この色相環において補色のペアは180個存在する。
色は色相だけではなく、明度と彩度も重要になる。クリスタでは明度が0から100、彩度も0から100で調整が可能になる。
たとえば色相60、明度50、彩度100では暗い黄色になる。この色の補色は色相240、明度50、彩度100、つまり暗い青色ということになる。すべての組み合わせを考えると、200万通り近くの補色のペアが考えられる。もちろん、補色は色相がズレたり明度がズレたりしても有効である範囲があることを考えれば、さらに選択肢は膨大に増えることになる。
補色のメカニズムをわかりやすく解説
なぜ人間という動物は特定の色の組み合わせを「メリハリがある」とか「調和している」といったように感じるのか。
特定の人間だけではなく、多くの人間に普遍的に共通しているのであり、人間特有の生理的メカニズムがあるはずだということになる。いわゆる「色覚説」にかかわるものであり、詳細は第5回の色彩学基礎の動画で紹介しているので今回は簡略的に扱う。
ヘリングの反対色説(英:opponent-color theory):人間の色覚は、赤‐緑、青‐黄、白‐黒の3組の対立する色のペアとして処理されるという理論のこと。
この「ペアとして処理される」という言い方はいまいち理解しにくい。いったいどういうことか。
人間は赤と緑が左右にあるスライダー装置、青と黄色が左右にあるスライダー装置をもっているというイメージで考えるとわかりやすい。
色は独立的に処理されるのではなく、対立的に処理されるのである。
たとえば赤い波長が人間の目に当たると、赤-緑チャンネルが反応し、赤側へスライドする。赤い波長は青-黄色チャンネルにも当たるが、反応しない。他にもヘリングは白-黒チャンネルというものも想定して、そのどちらかのスライドに傾くかで色の明るさが決まるという。
このようにして、赤色として目の前のものが見えるというわけだ。赤色を見た後に白色のものを見ると残像として緑色が見える理由は、片側にスライドが傾いている状態を中立に戻そうとする作用が生じているためだと説明されている。
現代ではウォルラーヴェンとブーマンの段階説が通説的な理解だとされている(第5回の動画を参照)。
現代においてヘリングの反対色説が否定されたというわけではない。過程の一つとして組み込まれたということになる。
たとえば橙の波長の光が目に入ったとする。L錐体は強く活動し、M錐体は中程度活動し、S錐体の活動は少ない。
次に、赤-緑チャンネル(L↔Mチャンネル)においては赤(L)のほうが大きいと判断される。
黄色は専用の錐体が存在しないため、赤錐体(L)と緑錐体(M)の合計の信号として作られる。つまり、黄色信号はL+Mとなる。※たとえば赤錐体というより「長波長をよく受け取る錐体」といったほうが正確だが、わかりやすさを優先する。
青と黄色のチャンネルでは、(L+M)とSのどちらが優勢なのかが判断される。橙の場合はL+Mのほうが優勢である。したがって、脳では赤信号と黄色信号が同時的に刺激され、橙色として知覚されるということになる。
補色はこの作業をすべて逆にすればいい。L↔MではMのほうが大きく、(L+M)↔SではSのほうが大きいとする。この場合、緑信号(中)と青信号(大)が同時的に刺激され、空色として知覚されるということになる。
補色の段階分け表
それぞれのチャンネルの強度を三段階で分けると、右のような表を作成することが可能になる。
対応する補色を左右で並べると、反転的でわかりやすい。もちろんここからさらにグラデーションを+++のように増やしていけば、さらに色相を増やしていくことができる。
たとえばマゼンタや青がどのような波長なのか、絵具なのかといった具体的なケースは表色体系次第となる。
[2-4]補色対比とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
補色対比(英:complementary contrast):互いに補色関係にある2つの色を並べたとき、それぞれの色がより強く、鮮やかに見える視覚現象のこと。
たとえばデジタル数値上、彩度70の赤色を単独で見る場合より、シアンの隣に置いた彩度70の赤色のほうがより鮮やかに見えるということになる。たしかに、鮮やかに見える気もする。
もちろん、色を逆にしても同じである。
デジタル上の数値の彩度が変化していないにもかかわらず、より彩度が高くみえるような知覚的な変化が生じているということになる。絵具そのものは変わっていなくても、配置のあり方で彩度が変化して見えるのである。
先程見たように、人間の色覚メカニズムには対立する色のチャンネルがあり、片方の色を見ているときにもう片方の色の信号が抑制され、脳が色の差を強調して知覚するようになるというわけだ。
われわれは2つの色のどちらか一方を集中してみることができる。たとえば四角に丸の場合は、丸をポジ(主題、図)として四角をネガ(背景、地)として見ることが多い。それゆえに丸のほうが鮮やかに見えるわけだ。
補色対比の例:絵画、自然物
[2-5]面積や明度などの変化と補色対比、色振動、リープマン効果とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
ある色とある色が補色関係にあれば彩度が高く見えるという現象が補色対比であるが、彩度や明度、表面積のあり方によってその見え方は変動するという点がポイントである。補色は一般的に調和する色と考えられているが、明度や彩度を考慮しないとかえって醜い色、不快な色として知覚されてしまう可能性がある。
たとえば補色関係にある一方の色の表面積の比率が著しく低い場合、低い側の色が目立ちにくい。表面積の地色に同化されてしまい、色味を失ってしまう。いわゆる面積効果や平均化とも呼ばれるものである。
人間は空間を平均化する傾向があり、近い領域の色を平均的に処理するという。微細な色の領域は単独の色として分離されにくく、大きい面積の色が優先されてしまうというわけだ。
リープマン効果(liebman effect):補色関係にある2つの色の色相差が大きく、かつ明度が近似している場合に強い対比効果が生じ、境界が曖昧になり、ちらついてしまう現象のこと。色振動などとも表現されることがある。
補色対比は視認性が高いという点がポイントだったが、リープマン効果が出る場合、視認性が低くなってしまうケースもあるといえる。たとえば文字が読みにくいと感じることがありうる。また、美しく見えない場合もあるかもしれない。
たとえば高い明度同士の補色を合わせると、境界が曖昧になり、目がチカチカするような派手な刺激(jazzy)、不安定感(unstable)、ぐにゃぐにゃした感じ(jelly-like)、秩序のない感じ(disorganized)が見られることがある。
安定した色の効果を目指そうとして配置するような色ではないということになる。
上の図はオレンジ系とシアン系を並べたものである。
左上がぼかしなし、それ以外はぼかしの強度を変えているが、いずれにせよリープマン効果が現れているといえる。
そもそも「同じ明度や輝度」という概念が実は複雑でわかりにくい。たとえば人間は青色よりも黄色のほうが心理的に明るく感じやすいことが知られている。
また、色相の組み合わせによっては、彩度と明度の条件が同じでもリープマン効果が生じにくいと思えるようなケースがあるかもしれない。
色相によるリープマン効果の違い
個人的に感じたことを述べていく。
青と黄色の場合は、目がチカチカする度合いが大きいが、ジャギー感、境界感は弱い。赤と緑の場合は境界のぼやけ感が強い気がする。紫と黄緑はそこまでチカチカしたり、境界のぼやけを感じない。青と黄色は単体で見るとそこまでチカチカしない。
補色はそもそも反対色説からメカニズムが説明されている。それゆえに、赤-緑や青-黄色がより対比を感じやすいといえる。
上の表で言うと、0の数値がある色のほうがリープマン効果を起こしやすいのだといえる。
しかし青と黄色はそこまで境界のぼやけを感じない。青色はS錐体が関与しており、S錐体は錐体全体のなかでも数が非常に少ないとされている(詳細は以前の動画を参照)。それゆえに青色に対する人間の空間解像度は低い(それ以外にも原因はあるが)。
L錐体とM錐体が関与している黄色は空間解像度が高く、両者の明度は同じくらいに感じにくくなるのかもしれない。それゆえにリープマン効果が薄まったと推測することができる。
次に、明度差がどのくらいならリープマン効果が生じにくいのかという問題がある。あるいは彩度の問題もあるかもしれないが、彩度は置いておく。
ためしに明度差を80(丸)-50(四角)で表現してみた。彩度は100で均一にしている。下の画像は明度差を100(丸)-80(四角)にしている。チカチカは軽減されているが、明度が100のように最大で大きいと、明度差があっても境界はぼやけてみえる。青と黄色のほうは全体的に落ち着いて見えがちである。
色陰現象とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
色陰現象(英:chromatic shadow)):複数の色の光が同時に物体を照らすと、影の部分が補色関係の色に見える現象のこと。
ほとんどのケースの場合、白い光や黄色い光がさまざまな物を照らしている。つまり、複数の色の光が同じ物体にわかりやすく当たるという機会が少ない。
3Dソフトで、白色の光だけがあたっているケースをまずは画像にしてみる。当然、影は黒い。
そもそもなぜ影は黒いのだろうか。単純に考えれば、その場所に届く光の量が周囲より極端に少ないからだといえる。夜に部屋の電気を消すと真っ暗になり、ほとんどなにも見えなくなるようなものだ。
そして届いていない光の波長の割合も均一であるという点がポイントである。長波長だけが届いていない、といったようなケースでは黒くならない。すべての波長がまんべんなく届いていないからこそ、影は黒く見える。
さて、ここで右上から赤い光を当ててみる。そうすると、右下に青い影が足されるように見える。
黒い影が青くなったというより、青い影が足されたというイメージである。
赤い光だけを当てた場合は、この現象は起きない。
色陰現象は2つの光が物体に当たっていることが重要であるといえる。
影が青くなったといったが、厳密にはシアンであるといえる。なぜならRGB体系において赤色の補色はシアンだからである。
シアンの光を当てた場合は、影が赤色になる。
なぜ赤い光を当てたらシアンの影が見えるのか、いまいちわかりにくい。
白い光が遮られたら黒く見えることは理解できる。シアンに見えているということは、シアン以外の色は遮られているということになる。つまり、赤、緑、青のうちの赤い光が遮られているということになる。
赤く見えたり青く見えたりするが、実はグレー
周りの床には赤い光と白い光が当たっているが、特定の床には赤い光が全く当たらず、白い光のみが当たっている場合を考えてほしい。
赤い光がRGBでいうと1:0:0、白い光が1:1:1だとする。黒い影の部分は0:0:0だから黒であり、赤い床の部分は2:1:1であり、青い床の部分は1:1:1だということになる。つまり相対的に赤い成分が遮られていることから、青く見えるということになる。光のタイプと強さを全く同じにして位置だけ変えてみても青く見える(もっとも、位置が変われば強度も変わるかもしれないが)。
1:1:1ならば物理的には無彩色に見えるはず、と疑問に思う(もっとも、光の強さは同じではない)。しかし相対的に赤が強い部分と弱い部分ができるとすれば、弱い部分をシアンであると生理的に知覚(錯覚)するということは理解できなくもない。
ちなみに白い光をシアンに変えるとこのような結果になる(下)。
影が青く見えるといったが、ペイントソフトでスポイトで確認してみると、色成分は113:113:113であり、グレーだった。
つまり、影は無彩色だが、周りの色との関係によって青く見えることがわかった。ライトを青くして赤く見えていた影も色相はグレーだった(下の画像)。どうみても赤く見えたり青く見えたりするが、実際は灰色なのである。絵を描く時に影に有彩色を使うかどうかは周りの状況次第ということになる。
影に実際に色がつくケース
たとえば赤、緑、青のライトを用意して壁に集中して当ててみる。そうすると、中央は白くなる。
白い壁の前に、立方体を置いてみるとこのような影が3つできる。
光源が3つあるので、影も3つできるというわけだ。左は黄色、真ん中はマゼンタ、右はシアンの影の色になった。
なぜ真ん中がマゼンタなのか。真ん中には緑の光がちょうど真正面に当たっていて、立方体に遮られて奥の壁へと光が届かない。
それゆえに、赤と青の光だけが左右から届くので、マゼンタになるというわけだ。同じような原理で左も青の光が届かずに黄色(赤+緑)に、右も赤の光が届かずにシアン(青+緑)になるというわけだ。
自然における色陰現象
自然において、あるいは身近において色陰現象が確認されるケースはあるのだろうか。さきほどの色のついたライトのように極端に偏った光は自然にはあまり存在しない。したがって、その効果も弱まるといえる。
たとえば建物の影が青っぽく見える場合、赤い光と白い光が同時に当たっているケースがあるかもしれない。夕日の太陽の光と、青白い光が立方体に同時的に当たる場合、青っぽい影ができているように見えるというわけだ。
画像はイメージ。こうした画像は撮り方の設定によって誇張されている場合があるかもしれない。無彩色ではなくわざと有彩色にして誇張するというテクニックもここから考えることができる。
ちなみに上の画像でも、灰色に補色の色味がでるらしいが、私にはよく知覚することが難しい。配色設定の違いもあるかもしれない。
たとえば赤のところの三角形がシアン系の色味を帯びるらしい。
残像、物理的補色と生理的補色とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
残像(英:afterimage):目で見た物体の像が、光がなくなった後も網膜上や脳内で一時的に知覚される現象のこと。
たとえば赤い色をじっと見てから、白い色を見ると、その残像として補色であるシアン系の色が見えることがある。
正の残像、負の残像とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
残像には正の残像と負の残像がある。
正の残像(英:positive afterimage):光源や物体を見ていたときと同じ色や明るさで、対象が消えた後も一時的に見える残像。例:アニメーションの動きを感じるケース
負の残像(英:negative afterimage):光源や物体を見ていたときとは反対の色(補色)や明るさで、対象が消えた後に見える残像。例:赤を見た後に緑色が見えるケース
「生理的補色」、「物理的補色」とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
負の残像によって見える色は「残像補色」や「生理的補色」と呼ばれている。
一方で、光の波長の補色、つまり加法混色させると白色になるような厳密な関係を構成する補色を「物理的補色」という。
そして「生理的補色」と「物理的補色」は一般的には一致しないという。
残像は目や脳の疲労や適応によって生じる現象である。
たとえば赤を見続けると、赤に対応する錐体細胞が疲れてしまい、白をみたときに赤に反応しにくく、青と緑が相対的に強く反応してしまい、シアン系の色として感じやすくなってしまうというわけだ。
しかしそうした知覚されるシアン系の色は赤色と同じ定度の明度や彩度をもっているケースは少ないといえる。むしろ、弱まったシアンとして知覚されることが多いだろう。
物理的補色は強いシアンだが、生理的補色は弱い、彩度の低いシアンだということがありうる。
ゲーテの反対色説について
ゲーテは『色彩論』(1810)の中で、「黃は赤青を、青は赤黃を、深紅は緑を呼び求める。そして、この逆もありうる」と述べている。
ゲーテは「色の調和は反対色を並べることで生まれる」と考えている。
この考え方はゲーテ独自のものではなく、中世の画家たちの絵画においてよく見られたという。たとえばエル・グレコ、ジョルジョーネといった中世の画家たちは、一枚の絵の中で、赤と緑、黄と青のような反対色をしばしば並置させているという。
現代ではアルバースなどの色彩理論家が、補色調和だけではなく、他の要素にも着目するべきだと述べている。色の調和については別の動画で扱う予定である。
(3) さいごに
[3-1]次回の予定
次回はおそらく「類似色」を扱う予定。
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