口周辺の分析
解剖学の知識:頭蓋の分析
口周辺の頭蓋の用語としては、上顎骨(じょうがくこつ)、オトガイ隆起(りゅうき)、下顎骨(かがくこつ)、下顎体(かがくたい)、下顎角(かがくかく)、下顎枝(かがくし)あたりを学んでいきますか。ちなみに顎(がく)と呼びます。顎(あご)ですねいわゆる。
正直、下顎骨と下顎体の違いがいまいちよくわかりません。おそらく下顎骨は全体を意味する用語で、下顎体は部分的な箇所を意味する用語だと思います。
解剖学を覚えて意味ある?
解剖学関係の書籍を読んでいると繰り返し思うんですよね、これ理解してなんか意味ある?って。難しい問題なんですよね。知らなくても上手い人は上手いですし、知っていても下手な人は下手ですし。ただこうう骨があるから、こういう口のかたちが自然だよね?という形態記憶の補助としての知識という意味では知っていて損はないと思います。頭でっかちになって物事が進まないのもまた不利益な部分があります。
人は覚えたものを忘れるものです。自然な人間が描けた!といっても2日間後にはあれ、どうだっけ?となりがちです。圧倒的な模写の積み重ねによって記憶を定着させるか、解剖学の知識で定着させるか人によって手段はそれぞれだと思います。結論的には「知っていて損はないよね」くらいですね。これどう読むの?なんていう意味?ばかりの難しい参考書が多いのが現実なんですけどね。医学的な本に近づけば近づくほど絵を描くためには必要ない知識が増えていく気がします。
解剖学の知識:上顎骨
「上顎骨」とは?意味と定義
・上顎骨(じょうがくこつ):頭蓋骨 (とうがいこつ) で、上あごをつくる左右一対の骨。下顎骨 (かがくこつ) とともに口腔を形成し、内部に広い上顎洞がある(『デジタル大辞泉』)。
上顎骨は左右の頬骨(きょうこつ)とつながり、眼窩底などを形作るものらしい。たしかに目の穴や鼻などに隣接した骨ですね。
【イメージ画像】
ざっくりいえば、この青い部分が上顎骨です。
解剖学の知識:下顎骨
「下顎骨」とは?意味と定義
・下顎骨(かがくこつ):下あごをつくる、U字状の骨。顔面の骨の中で最も大きい。左右両端で側頭骨と顎関節をなす(『デジタル大辞泉』)。
【下顎骨のイメージ】
ざっくりと整理すれば、下顎骨は「オトガイ隆起」、「下顎体」、「下顎枝」、「下顎角」に大きくわけることができるみたいです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8B%E9%A1%8E%E9%AA%A8#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Gray176.png
上記の画像はWIKIからの引用画像です。英語ですが、より詳細に分類してくれています。おそらくBodyが体で下顎体ですね。masseterは「噛む」などの意味があるそうです。Angleはそのまま「角」で下顎角です。ramusは下顎枝です。mental proturberanceはオトガイ隆起です。
頭蓋骨と顔面骨を含む全ての骨の中、下顎骨だけが動かすことができるらしいです。上顎骨も動かせるような気もしますが、違うんですかね。たしかに上顎骨だけを意識的に動かすってやってみると難しいですね。下顎が先に動く感じがあります。
解剖学の知識:大頬骨筋と小頬骨筋
「大頬骨筋と小頬骨筋」とは?意味と定義
・大頬骨筋、小頬骨筋(Zygomaticus Major and Zygomaticus Minor):頬骨の大きな筋と小さな筋。大頬骨筋が収縮すると、口角が拳上して微笑の表情を作る。小頬骨筋も献上する支えとなる。拳上することで、鼻唇溝がより目立って出る。
解剖学の知識:咬筋
「咬筋」とは?意味と定義
・咬筋(こうきん,英:Masseter):顎の側面に斜めに存在する強力な筋。四角形(正方形)で、胸骨弓の下線に沿って固定されている。咬筋は下顎枝の外側表面のほとんどに付着して、浅部と深部がある。顔の表面の肉付けをしている。咬筋は噛んだり歯を食いしばったりするとき、皮膚の下でぴくぴく動き、ふくらむ。
咬筋は浅部と深部にわかれているらしいです。
【咬筋のイメージ】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%92%AC%E7%AD%8B#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Gray378.png
解剖学の知識:口輪筋
「口輪筋」とは?意味と定義
・口輪筋(こうりんきん;Orbicularis Oris):口を取り巻く筋肉。口を開閉させる働きをする(デジタル大辞泉)。
口輪筋は輪状のかたちをしている。多くの顔面筋と絡み合っている。モダイオラスに付着している。口輪筋が少し収縮すると、口唇部は静かに閉じる。強く収縮させるとかたく結ぶ。口笛を吹いたりキスをするために口をすぼめること(とがらす)こともできる。
【参考文献】
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学2」(ボーンデジタルインク)
【口輪筋のイメージ画像】
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8F%A3%E8%BC%AA%E7%AD%8B#/media/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Gray378.png
解剖学の知識:モダイオラス(口角)
「モダイオラス」とは?意味と定義
・モダイオラス(modiolus):蝸牛軸、あるいは口角結節とも。ラテン語のハブに由来する。口角近くに付着している多くの絡み合う筋で作られた結合組織構造。表面から見ると唇の両端の小さな肉の山。陰影と明暗により小さな皮膚のつまみのようにみえる。
・「デッサンをしたことがある人なら目尻と口角が顔の表情の土台となることを知っているはずだ(E・H・ゴンブリッチ)」
・口角には顔面筋が集中しているため、微妙に変化することができる。口が伸縮したときに真っ先に変化するのが口角である。
・唇のあわせ目の末端に当たるところであり、顔のどの部分よりも筋肉が集中している、顔面筋のスクランブル交差点のようなもの。
・歳を取ると口角のシワは長く、深くなる。口からあごにかけての縦じわをマリオネットラインという。
・口角挙筋:口部の筋肉の中でも深部にある筋肉。上顎骨の犬歯窩から起始し、大頬骨筋、口角下制筋、口輪筋の繊維と交叉し、口角の口角結節に停止する。口角挙筋は口角を引き上げ、唇のラインを上にカーブさせる。口角挙筋は口角結節を安定させるために使用される。
【参考画像】
【参考文献】
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」(マール社)
解剖学の知識:上唇挙筋
「上唇挙筋」とは?意味と定義
・上唇挙筋(じょうしんきょきん;Levator Labii Superious):人間の頭部の浅頭筋のうち、口唇周囲にかけての口筋のなかで上唇と鼻翼を引き上げる働きをする筋肉。
・嫌悪をつかさどる筋肉:上唇とは上のくちびるのことであり、くちびるをひっぱる筋肉を上唇挙筋という。また上唇をひっぱって口を四角い形にして嫌悪感を表すときに使う筋肉でもある。これは絵にも活かせそうだ。正確には口輪筋に上唇挙筋がついているかたちで、唇そのものにはついていない。鼻も同時に影響を受け、引き上がる。
【上唇挙筋のイメージ】
【参考文献】
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」,ゲーリー・フェイジン(マール社)
解剖学の知識:下唇下制筋
「下唇下制筋」とは?意味と定義
・下唇下制筋(かしんかせいきん;Deoressor Labil inferious):下唇を曲げる筋肉。
・下唇下制筋が収縮すると、下の歯を軽度に露出して下唇を下方に引っ張る助けとなる。発声やスピーチで見られるらしい。
・下唇は曲がるが、下唇そのもの以外は動かず、上唇や口の周囲はあまり変化しないらしい(あごのしわが寄ることはある)。下唇が曲がるときは、主に話をする時。下唇の裏側がわずかにみえ、半ドーナツ形になり、リラックスしているときよりも分厚く見える。
【下唇下制筋のイメージ】
【参考文献】
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」,ゲーリー・フェイジン(マール社)
解剖学の知識:オトガイ筋
「オトガイ筋」とは?意味と定義
・オトガイ筋(おとがいきん;Mentalis):オトガイ筋はオトガイ領域に位置する1対のV字形の筋肉。オトガイとは下顎、あるいは下顎の先端を指す解剖学用語らしい。英語ではchinといい、jawとは区別される。
・疑い、悲しみ、怒り、反抗、決意などさまざまな感情に関連する筋肉。笑いを押し殺したり、怒りや悲しみを抑制するときにも顕著。すねた表情をつくるときなどにも用いられる。
・顔の中でオトガイ筋ほどかんたんに動きを確認できる筋肉はない。すねた表情をするとき、あごの皮膚はひだになっていて、隆起した島ができてる。
・オトガイ筋の基本動作は顎の皮膚を歯の根元の方に引っ張ること。
【オトガイ筋のイメージ画像】
【オトガイ筋による感情の例】
https://www.olanderearthworks.com/products/wall-hanging-grump-cement-face
https://www.dreamstime.com/stock-image-sulky-angry-child-image24980981#res26615551
解剖学の知識:顎舌骨筋・顎二腹筋
「顎舌骨筋」とは?意味と定義
・顎舌骨筋(がくぜつこっきん,Mylohyoid):WIKIによれば「舌骨に板状に繋がり、口腔底を形づくる舌骨上筋」。
たしかに下顎の穴を埋めるようにして台形状に顎舌骨筋がしかれているようにみえますね。顎舌骨筋の上に顎二腹筋や脂肪、皮膚がのるかたちとなります。ちょうど首と下顎骨をつなげるような感じですね。
この顎舌骨筋の上には脂肪があり、そのふくらみが人間の顔を描く際に重要になります。
【顎舌骨筋のイメージ】
【参考文献】
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」,ゲーリー・フェイジン(マール社)
「舌骨」とは?意味と定義
・舌骨(ぜっこつ;hyoid):ヒトの舌骨は、下顎と咽頭の間に存在するU字形をした骨である。他の骨と関節がない[1]人間の首の骨で、首の筋肉によって支持され、舌根を支持する。蹄鉄型をしており、茎突舌骨靱帯によって、側頭骨の茎状突起の先端につるされている(WIKIより)。
舌の近くにあるものだと思っていましたが、意外と離れているんですね。たしかに自分の舌に骨があるという感覚がありません。奥の方にあるんですね。下顎骨よりも下にあるというのが驚きです。
正確には舌の奥の方の舌根と舌骨がくっついているらしいです。
【イメージ】
https://www.zygotebody.com/#nav=0.25,149.98,43.09,0,0,0,0&sel=p:1228;h:;s:887;c:-0.6;o:-0.75&layers=0,1,9738
「顎二腹筋」とは?意味と定義
・顎二腹筋(がくにふくきん;Digastric Muscle):顎二腹筋(がくにふくきん)は頸部の筋肉の一つ。舌骨に繋がる細長く、中間の腱を挟み前腹、後腹に分かれた舌骨上筋である。前腹はオトガイ舌骨筋と共に舌骨を前上方に、後腹は茎突舌骨筋と共に後上方へ挙上し、舌骨固定時には下顎骨を後下方に引く作用を持つ(WIKIより)。
「顎二腹筋は下顎の仮面領域にある二腹の筋である。後腹(posterior belly)は薄くて長く、前腹(anterior belly)は大きくて厚みがある。前腹はオトガイ領域近くの下顎骨の内側に付着している。後腹はオトガイ領域近くの下顎骨の内側縁に付着している。後腹は脳頭蓋の乳様突起の内側の乳突切痕に蓋靴ぃている。これら二腹の間の中間腱は顎二腹筋のスリングと呼ばれることもある繊維性のループで、舌骨に停止している。第二腹筋は顎舌骨筋の表面に位置している(『「アーティストのための美術解剖学」(マール社)』93P)。
ほとんど呪文のように何を言っているか不明ですが、なんとなくはわかります。まず顎二腹筋は前腹と後腹にわかれていることです。下顎の下にちょうど張り付いているような感じですね。後腹は耳の近くまで伸びていますね。
下顎骨よりも内側にあるので、特に表面の形状に下腹は影響しないのではと思います。
【顎二腹筋のイメージ】
【参考文献】
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」,ゲーリー・フェイジン(マール社)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A1%8E%E4%BA%8C%E8%85%B9%E7%AD%8B
解剖学の知識:オトガイ唇溝
「オトガイ唇溝」とは?意味と定義
・オトガイ唇溝(おとがいしんこう;mentolabial sulcus):オトガイの上の小さな陥没。
・オトガイってなに
詳しくはオトガイ筋を見ていただいたほうがいいと思います(オトガイ筋はオトガイ領域に位置する1対のV字形の筋肉)。そもそもこのオトガイの名前の由来不明ですね。音貝とかですかね。
よくよく調べるとこれは「頤」という漢字があるそうです。結局由来はわかりません。
・溝はなぜできるのか
オトガイ筋がV字にある状況を想像してください。「\ /」こうですね。中央に隙間が生じますよね。
いや画像で見たほうが早いか。上顎には脂肪部分があるので、ちょうど中央の唇の下に溝ができるというわけですね。
個人的にはこっちのイメージなんですけどね・・・。下唇下制筋が唇溝をつくっているイメージでした。
オトガイ筋の上にあるが、実際に溝をつくっているのは下唇下制筋という説はどうでしょうか。実際問題としてオトガイ筋の上は脂肪がのっているのでそこまで大きな影響はないと思うんですよね。
別のモデリングをみてみましょう。
これが一番正確なモデリングですね。オトガイ筋はもうすこし開いていて、下唇下制筋ももうすこし離れています。
https://www.kickstarter.com/projects/anatomy4sculptors/form-of-the-head-and-neck-by-anatomy-for-sculptors
上に唇があるのだから、必然的に下に影ができるだろうとは思っていましたが、さらに逆方向に溝があることで濃い影を中央に落とすというわけですね。
【参考文献】
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」,ゲーリー・フェイジン(マール社)
横顔の分析(ルーミスの顔の分析)
鼻の下の形の理由付け
シンプルな問いとして、「なぜ鼻の下はこのような形なのか」というものがあります。形状の記憶を定着させるためには、なにかしらの根拠があると少し楽だと思います。そのために解剖学的な知識を今まで学んできたわけです。
正直に言えば解剖学は難しく、よくわからない部分も多いです。しかし筋肉の形状はシンプルです。筋肉だけで実際の輪郭は形付けられるわけではなく、脂肪、あるいは皮膚も輪郭付に影響します。
まずは鼻の下を学んでいきましょう。用語的には口輪筋ですかね。唇を覆うように口輪筋がついています。
ついているからなんだという話ですが、とりあえず唇の上下にはスペースがあるという意識が大事です。
次にどのくらいの幅のスペースがあるのか、という話になります。これはおそらく個人差があるものだと思います。ただ上のスペースより下のスペースのほうが大抵の人は短そうですね。
そもそも口輪筋の区切り方次第かもしれません。口輪筋は鼻に直接ついているわけではなく、皮膚を通してついてるかもしれないということです。
ま、そんな細かいことはいいんですけどね。とりあえず上川のほうがスペースが広いということをおさえておけばよさそうです。理由付けとしては鼻の下へ接続するための皮膚のスペースが余分にあるから、でいいと思います。
そして鼻の下は「凹んだカーブ」に近いですよね。直線ではないですよね。
個人的には鼻の下まで含んだ、つながっていく大きなカーブに近いイメージです。鼻の下は直線ではなく、このようにすこし斜線的にカーブしていると考えたほうがいいと思います。
よくありがちな鼻の表現が直線的な青ですが、実際はすこしカーブしたイメージということです。どのくらいカーブするかは個人差があります。たとえば歳を取るとふくらみが小さくなり、より直線的になります。
唇下のスペースの分析
さきほどは鼻の下のスペースを分析しました。次は唇の下のスペースについて学んでいきたいと思います。
まず、唇の下のスペースはどういう根拠であの形になっているでしょうか。凹んでいますよね。
頭蓋骨的にはたしかに凹んでいます。
しかし筋肉をつけると、それほど段差が生まれていません。たしかに唇の膨らみからの段差はありますが、あごにかけての段差が逆に凹んでいます。
ルーミスとは違いますよね。
その理由として、「脂肪」があげられます。下側の口輪筋から下唇下制筋やオトガイ筋にかけて脂肪がついているため段差が生じるのでは?ということです。
もちろんさらにその上に「皮膚」があるわけですが、おおまかなかたちは「脂肪」と「筋肉」でできていると言っていいと思います。下唇下制筋の境目には脂肪があまりつかないためスペースができているのでしょうかね。
フリー画像で横顔を探してみましたが、こちらのケースでもやはりスペースがあいてますね。これを見るとルーミスの顎って西洋人的でがっちりしてますよね。人種の違い、年齢の違い、個体差の違い等あるのであまり厳密に測定したくないのですが、ざっくりと後で数値化します。繰り返しになりますがこの記事は美しい顔を描こうとしているわけではなく、基本的な顔を抑えようという試みです。
唇の分析:なぜ上唇のほうが下唇より出ているのか?
一般的に、上唇のほうが下唇よりも出ていると言われます。ルーミスの場合もそうです。極端にしゃくれている人はぎゃくかもしれませんね。
結論から言えば、歯の構造的に上の列のほうが前に出ているから、唇も上の方が前に出るというわけです。いわれてみれば自分の歯も前歯のほうが前に出いますよね。よくアニメで上の歯と下の歯がおなじY軸でくっついているものがあるので、その影響で同じだと思ってしまうのかもしれません。二次元的に簡略化する際は揃えてしまったほうがいいケースもあるかもしれませんね。
唇の分析:唇はキューピットの弓?
たしかに上唇はキューピットの弓に似てますよね
唇の上の口輪筋も含めて3つの起伏として考えることができます。
側面の横顔では、Bの中間からCの領域がちょうど見えることになります。BからCにかけての輪郭がちょうど上唇の形状になるということですね。
もちろんすこし斜めをむいただけでABCの見え方はかわります。45度なら主にBとCが全面に見えることになります。
唇の下の隆起の形状について
口輪筋のイメージはこうでしたが、もうすこし変形して理解する必要がありそうです。
こちらの図をみるとより理解しやすいのですが、中央はあまり凸がないんですよね。つまりある程度凹んでそうなのです。
たしかに凹んでますね。言葉にするのがなかなか難しい。正面から見るとなかなか凹んでいるかどうか見分けがつかないんですよね。ただ凸があるということは、それにともなう「影」もあるということなので正面からでも認識はできます。影が大きくついていれば、より凸があるということです。というより周りとの凹凸の差で生じるということですかね。
上の写真を見てもらえばわかりますが、口輪筋沿いに隆起しているので、その分影がうっすらできています。中央の隆起は軸的にいうとZ軸は短いので、影がより目立ち、肉の部分があまりみえません。
これはほんとうに口輪筋だけの問題か?という疑問が出ます。
近い筋肉に「下唇下制筋」があります。下唇下制筋は口輪筋の上につくようにしてあるので、より隆起が中央にくらべて目立つのではないかという仮説です。他にも口角下制筋などの筋肉が左右についています。
仮に中央の凸をこのようにマーキングして、側面で見てみましょう。
これを先程のABCのようにざっくり解釈すればこうなりますね。とりあえず中央の唇の下の肉は少なく、左右は比較的多いとおぼえておけばいいのでしょうか。
筋肉の構造的にはこうですね。
下唇と顎の関連性について
ルーミスの場合は下唇と顎が同じX軸に来ています。しかしこれは完全に「人による」と言っていいと思います。顎が下唇よりも引っ込んでいる人はたくさんいます(アジア系はむしろそのほうが多い?)。
ギリシャの英雄的な人間はこのように下唇と顎が近い印象があります。ルーミスも頭身を標準、理想、ファッション、英雄とわけていますが、顔も同じように類型があります。
ルーミスのこの横顔をカテゴライズするとすれば、「英雄」に入ると思います。また口をつぼんだり、ふくらませたりするだけで変わるのでバイアスが変にかからないようにしましょう。
下顎の輪郭について
よく顔は「線」から構成されているものと考えられがちですが、違った見方をすることができます。
当然ですが実際の人間は線で交戦されているわけではないです。「影」が線に見えるといっていいかもしれません。あるい他の領域との境界「線」として線が表現されるのだとおもいます。
たとえば黒の背景に白いボールがあると考えると、白い輪郭が生まれます。
白い背景に白いボールがあると、くっきりとした輪郭が生まれません。境界がはっきりしないからです。
しかし白い紙の上に白いボールを置いてもそこにボールがあるとわかります。なぜか。影が生じるからです。
ためしに曇り空を背景にボールを浮かせてみます。影がつくことによってそこにボールがあることがわかりやすくなっています。こうした境界線を線としてとらえると漫画のような絵になるわけです。
同じように人間の顔にも影が線を作る場面がたくさんあります。顔が明るくて背景が暗い場合は境界線ができます。この境界線を線として描写するか、面として描写するかは「表現」の領域になると思います。
厚塗りでは線を多様せずに面を意識して描く場合もあります。漫画だと絵画的な表現をあまりしないので、線が重視されます。
個体差があるので形状はおいておいて、ほとんどの人間はこのような影ができます。それを線として表現すると、ルーミスのような下顎の線になるわけです。
なぜ影が生じるのか。おそらく「下顎骨」が主たる原因だと思います。とうより下顎骨と首の間の段差、境界によって線がついているといったほうがいいかもしれません。
実際に下顎骨と首には隙間があります。何軸の隙間かわかるでしょうか。こうした理解が空間把握能力というのでしょうか。
味方に夜と思いますが、XおよびY軸てきにずれてますよね。
もっと単純な図形で考えてみましょう。この差がでるわけです。
すこし丸みを付けてけずるとこのようになります。X軸の違いによって段差がうまれ、影ができます。
仮にX軸に差がない場合を想定してみます。X・Y軸が同じ方は段差が生まれないので、影が生じていません。ここがポイントだと思います。
段差がどこにあるのかを考えれば、影がつく根拠を見つけることができるからです。
下顎の下の三角のスペースについて
https://www.zygotebody.com/#nav=0.26,145.81,46.46,0,0,0,0&sel=p:1228;h:;s:;c:0;o:0&layers=0,1,9580
これは筋肉でいうと顎舌骨筋や顎二腹筋の前腹が影響してそうですね。
太ってるほどこの部分に脂肪が多く集まります。二重顎とかそうですよね。
顎の下の脂肪が主に三角を形成しているのですが、元になっているのは筋肉です。
顎下の三角を表現するとこうですね。もちろん二次元的なキャラの場合は必ずしも悪い例ではないと思います。個性や省略と言われたらそれまでですからね。
さてルーミスではどのあたりが三角になっているのか。これですね。ただこの三角のスペースをどう表すか、悩みますよね。線として表現するのか、影として表現するのか。なぜ影になるのか。
この女性も三角のスペース上に影ができていますね。
フリー画像を探してみましたが、光源が上にある場合は三角のスペース上にやはり影ができそうですね。
どこかスッキリしていない。私はそもそも下顎の下を平面的に考えすぎていたのかもしれない。真横で下顎の裏が見えるのはなぜか?その問いを考えていくと、下顎の裏は平面ではなく、斜線的であるという結論にたどり着く。
にもかかわらず、人間の顔は平のようにみえる。なぜか。それは平らに見えている面が外面ではなく、内面だからだ。なにをいっているんだ、となるような説明だがご容赦いただきたい。
まず軸でいうとZ軸がお互いに違う。平的な線はZ軸が低く、斜的な線はZ軸が高い。両者を組み合わせると斜めになった三角形が生まれるということだ。
まず平的な部分をマーキングして、支店を正面に変えてみる。するとマーキングしたところはほとんど中央の面であること、つまり内側にある面だということがわかる。
斜線的な部分も同じようにマーキングして検証する。やはり外側に斜線的な面があることがわかる。
軸的にいえば斜線はZ軸が高く、X軸の数値が高い。
なんていうかもっと単純化して物事を考えて、また再構成して理解するみたいなことしたいですね。科学的思考というか。
とりあえずblenderで思考実験してみます。
(仮説1)下顎の中心は平らである
正面のこの部分が平らであると仮定します。
(仮説2)下顎の中心は平らから斜線にシフトしていく
下顎は左右に斜めになっていくと仮定していきます。つまり軸でいうとXとZが増えるということです。これを斜線にシフトと形容することにします。
シフトすることによって、正面の下顎とはZ軸上で重ならなくなります。もし重なる場合はこのような形になります。
(仮説3)下顎はY軸方向にもシフトしていく
よく下顎はUの形をしているといわれますよね。これはおそらくY軸方にも下顎が変化しているからだと思います。つまり下顎はX,Y,Zすべてシフトしていることになりますね。
これは下から見た図ですが、このようにU字に近くなります。
さらにここからZ軸を調整すれば三角に近くなります。つまり、下顎の角度をゆるくするということです。
さらに下顎はもう位置段階シフトしています。この部分は三角とはあまり関係ないので省略します。
より完成に近いシェーディングがこちらですね。三角のスペースができています。
再確認ですが、この横のX軸に平行な線は側面の下顎ではなく、正面の下顎です。言われたらそうだとわかるのですが、実際絵で見るとわかりにくいです。
下顎の側面の影について
下顎の側面でなぜ影ができるのか、という問いに対する答えを考えます。
影とはここです。濃い影ができるから線として描画されます。
さきほど下顎の三角形について学んだときになぜできるのかなんとなくわかりました。単純に段差によってできます。
Y軸を二次元で見ると差がわかりにくいですよね。特に曲線的な緩やかな変化だとわかりにくいです。
たとえば2つの立方体があるとします。どちらが手前で、どちらが奥にあるかわかりますか?すこし変化しています。
横から見るとわかります。このように視点によって、Y軸は判断しづらくなります。
顔も同じように段差があります。YではなくXですけどね。
おおざっぱに表現するとこの段差です。
さきほどY軸でみたように、完全な立方体だと大きさは変わりますが、影は生じにくいです。影が生じるのは顔の下顎が平行ではなく、丸みを帯びた斜線的なシフトをしているから影が生まれるのだと私は仮定します。
仮に完全に垂直・水平だとしたら影が目立ちません。
さきほどの立方体の話で言えば、このように斜めになるとよく影がみえるということです。
鼻中隔軟骨はどこにつながっているのか?人中との関連について
「鼻中隔」とは?意味と定義
・鼻中隔(びちゅうかく;nasal septum):鼻腔の内部を左右に仕切る壁である(WIKI)。
たしかに鼻の穴は2つあり、左右に分かれていますね。左右に仕切る壁が鼻中隔である、と。
【鼻中隔のイメージ】
【参考文献】
1:「アーティストのための美術解剖学」(マール社)
2:「スカルプターのための美術解剖学1,2」(ボーンデジタルインク)
3:「表情 顔の微妙な表情を描く」(マール社)
「人中」とは?意味と定義
・人中(にんちゅう;philtrum):上唇の中央の上にある溝。WIKIには鼻から上唇まで”垂直”に伸びるとあります。
恥ずかしながらじんちゅうと読んでしまっていました。胎児のときにわかれていた部分がくっついて形成されたらしいです。とくに機能的な意味はないそうです。
かたちは正面から見れば長方形というよりは、台形に近いですね。上に行くほど幅が短くなっていく気がします。最終的には「鼻中隔」とつながります。
【人中のイメージ】
絵を描く際に役立つ点を探しましょう。おそらく人中と鼻中隔がどのように接続されているかがポイントになると思います。
唇の上の線は垂線に近いといえば近いのですが、鼻中隔との接続で斜線になっています。
つまりこうではないということです。
またZ軸的にも尾翼より鼻中隔のほうが突き出ています。つまり、横から見える鼻の底面は鼻中隔の領域ということになります。
ここがおもしろいんですよね。横から見たらどちらが手前にあるかわかりにくいですが、前から見ると明確にわかるのです。
鼻中隔は人中の中央に、斜線的につながっていることがわかりました。
ルーミスの口周辺をグリッド的に分析する
グリッドを作成するのがメインの記事ですが、この項目までの解剖学的、あるいは立体的な知識のほうが重要だと思います。というのもキャラクターを描くときにこの比率を使うことは稀だからです。基本の顔を覚えたところで、自分の描きたい顔とは限りませんよね。唇を大きくしたり、目を大きくしたり、顎を小さくしたり、抽象的に描いたりと応用が前提になっています。
「顔の基本グリッドを覚えることは必要なのか?」という問いは何回も考えてますね。たしかに基本の顔を覚えておくのは役に立つことがあるかもしれません。0からかくよりも基準があったほうが描きやすいですよね。たとえばテニスや野球で一般的な打ち方を覚えた後に、自分でアレンジして打ってみる作業に似ている?かもしれません。
アニメ的な二次元の顔とはぜんぜん違うものなので、二次元的なアニメの基本グリッドを自分で設定して覚えていくの面白い考えですね。たとえばワンピースのルフィのグリッドを基本として覚える、あるいは自分で美しいと思った比率を考えて、基準として覚えるとかですね。
全体像
とりあえずざっくり進めていきましょう。ルーミスの顔は正確ではなく、すこしズレています。ここが悩ましい。
とりあえず簡易な指標線としては最初に設定したこれが良いと思います。
最初のY軸は1/3に収束します。1/3とは1の1/3ではなく、2の1/3です。ややこしいですね。仮に1を8グリッドで考えると、16の1/3で5.3くらいです。つまり5.3/8です。4グリッドの場合は2.6/4くらいですね。この1/3もなかなかめんどうな数値設定です。
最初の下顎の線は長さでいうとY軸は1/3+1ですね。あるいは2/3の位置を始点として2まで伸ばす長さです。分割を4や8で行っていると、1/3というのはなかなかやっかいなんですよね。訓練で鍛えていけば良いと思います。
しかし2の1/3は1の1/3と等しいと聞くと変な感じがしませんか。2の1/3は0.666で1の1/3は0.333です。違いますよね。しかし幅は1/3でいいんです。これにはややこしいというか、Y軸上には2/3の位置にあるが、絶対値的な幅は1/3にあるということなんですよね。Y軸2/3からはじまり、2の位置までの絶対値量は1/3ですよね。
次にY軸の2を始点として、Z軸の1.5の位置まで線を伸ばします。厳密に言えば(y,z)が(4,1.5)ですね。つまり高さが1.5で幅が4の位置にあるということです。
次は耳の位置あたりまで、あるいは鼻のはじまりの高さまで線を伸ばします。要するにZ軸2まで線を伸ばすだけです。もちろん実際の絵を描く際にいちいち座標を描くわけではありません。描いてもいいですが、基本的に頭の中で考える感じです。それが訓練によって自然にできるようにするというのがグリッド理論です。
次はいちばん重要な箇所ですが、まずは全体像ということでざっくり直線で表現します。単純にZ軸2まで線を引きます。
これで下顎の全体像、あるいは簡易バージョンは完成です。
唇は相対的にどの位置にあるのか?唇の描き方について
これが悩ませる点ですよね。
一般的にいわれるのは、下唇の位置が鼻から顎にかけての長さの半分です。つまりZ軸でいうと1の位置に下唇がきます。ルーミスの横顔の場合でも、だいたい同じ位置に来てますよね。
次は唇の中央です。ルーミスは正面の顔では1/3と表現していますね。
横顔でも基本的には同じ比率になるはずなので、あてはめるとこんな感じですね。たしかに近い位置にあります。
問題は上唇なんですよね。先程の画像を見る限りは、1/3間隔にあるといってもよさそうなんですけどね。ちなみにジャック・ハムの場合は1/2の位置にあります。ただルーミス自身が正面と側面の整合性があまりない?のでそこまで厳密性にこだわる必要はないと思います。
唇はどのくらいの幅をもつのか
これがもっとやっかいですね。できるだけ基準の顔はシンプルな比率のほうが美しいのですが、そうもいってられないのが残念なところです。
まず下唇より上唇のほうが出っ張っています。これは後ろより前の歯のほうが出ているからです。では実際どのくらい上唇が下唇よりもでているのか。ものすごい小さな幅なんですよね。
次の問題として、上唇の定義の問題です。唇の始点はどこにあるのか。普段私が唇として認識していた箇所の上に、すこしスペースがあるんですよね。
上の図でいうとこの部分です。
ルーミスでいうとここです。名前はなんですかね。いわゆる「唇の周りの稜線(りょうせん)」ですかね。稜線とは「山の峰から峰へ続く線」の意味らしいです。たしかに山のように線がありますね。
たしかに写真を見てもうっすら稜線がありますね。
この稜線を唇に含めるかどうか、迷います。今回は1/3が適用しやすいという理由で、稜線を唇に含めないことにします。また唇の1/3は上唇の最大値として扱うことにします。
今回はざっくりと考えてこのような座標軸をプロットしました。
いままで偶数の8や4分割を主に使用してきたのに奇数を多用するのは避けたいですが、こればかりはしょうがないですね。
今気づいたんですが口って正方形にだいたいおさまるんですね。図でいうとこんな感じです。
ルーミスでいうとここです。
もっと単純化するとこうなんですよね。1/3が基準となります。唇の中央はZ軸でいうと1+1/3の座標軸にありますね。Xでいうと2/3から4/3ですね。
もちろん実際の形状はもっと複雑です。上唇はもっと幅が広く、下唇よりも出ています。
12分割でプロットすればなんとかできますが、きついですね。
感覚的な問題として、少し正方形から上唇が出るというという意識をもてればいいと思います。ルーミスの場合でいえば、わずか1/12しか出ていないのです。あるいはそれよりも少ないかもしれません。これはもちろん個性の問題もあります。さらに中央の唇の凹みも同じ1/12というのもポイントだと思います。
口周りはわりと奇数でもうまくいきそうなんですよね。あまり細かい座標軸を使いたくないのですが、参考までにおいておきます。
この記事長いですね。ダラダラ書いてるのも原因のひとつですが、これ本当に必要な情報か?と落ち込むことが多々ありあまり積極的に記事を書く気になれなくなってきました。
グリッドの座標いりますか?
たしかにいるかいらないか、迷います。実際に1/12とプロットしたところで、やってくれるひとがいるでしょうか。甚だ疑問です。他に山道に道路が整備されているのに、岩だらけの道をのぼらせようとしていないかと狼狽します。
なんていうか、プロットした座標をなぞることで、自然な口の間隔が身につくと思いたいんですよね。用語的には模写、いわゆるミメーシスの領域なんですよね。曖昧なバランス感覚の練習なんです。ただ模写するか、座標で模写するかの違いです。
美しさの研究と基礎の練習はまったく別物なんですよね。ここが妙なしこりになるというか、違和感の原因なんですよね。いまやってるのは基本的な人間を描く練習で、必ずしも美しい人間を描く練習ではないわけです。素振りみたいなもんです。そう言い聞かせて先に進みましょう。
プロットどおりに直線を引いていくとこうなります。実際はもっと曲線的です。これらの線が3の倍数で構成されているのは意外と面白いですね。
先程もいいましたが、上唇が1/12くらいしか出ていないことがポイントです。1/12ってどのくらい?となりますよね。3分割をさらに分割して、またさらに分割すれば12分割になります。
違う視点もとりいれてみましょう。1/12が3箇所続いているので、ここはある意味では正三角形にできますね。ちょうど√2の長さになります。1.4くらいですね。この1は6分割のうちの1です。あまり有用だとは言えませんが、記憶の補強になります。
唇の上の座標(稜線)
まずは上唇の一辺と平行的であるという発見がありました。長さは同じではありませんが、平行”的”ですね。角度などがすべて同じというわけではないです。実際の上唇は曲線なので、平行とは簡易的な表現です。
問題はどのくらいのX軸か、ですね。これがややこしい。1/12分割ベースでは扱いきれない。9分割くらいならうまくいくんですかね。
あるいは上唇を1/12よりすこし短く扱い、それの倍数として定義するのありですね。問題点としては、「短く扱い」と抽象的になってしまうことです。たしかに。先程1/12と定義したのに、さらに短く扱うと複雑になりますよね。
簡易的な手法としては、6分割ベースとして割り切ってしまうのもありだと思います。
直線的に扱った上で、実際は曲線的になるので誤差がそこで埋まるかもしれません。
あとは1/12分割線上に線を伸ばすだけです。
前の項目でも触れましたが、人中の中央に鼻中隔がつなっています。人中とはいわゆる鼻の下の溝です。
したがって、ルーミスにおけるこれらの領域は主に鼻中隔であることが推測できます。
ただ、鼻の下の領域と鼻中隔の境目が曖昧ですねこれだと。
ざっくりとした鼻中隔のみを取り出すと、骨に近いですよね。
細かいことを言い出したら鼻中隔と唇の間には皮膚があるということになります。両者をつなげているものが皮膚です。
ややこしいので今回は皮膚を含めたこの青い領域は鼻中隔と定義づけします。
その間をまわりの皮膚をふくめ、人中と定義づけします。その下が唇です。じゃあその下は?というのは次の話になります。
グループ化して理解すると記憶の定着の助けになりますね。それにしてもこの記事は長い。ここまで読んでくれた人はいるのだろうか。2万字近くになろうとしている。
横顔におけるオトガイ
そもそもの問題として、人間が真横を向いていた場合にオトガイ唇溝が見えるのか?という疑問がまずあります。
仮にこのマークした箇所をオトガイ唇溝だと仮定します。
視点を真横に変えてみます。見えますよね。
まず人間の顔は四角ではありません。球体的です。仮に四角だと仮定してみると、このような感じになります。
マークした箇所を横から見ると、当然見えません。
では、顔にすこし角度をつけてみましょう。もちろん実物の人間はさらに複雑に曲線で構成されていますが、ここではすこし斜線的であるという仮定ですすめます。
角度をつけた顔を真横から見ると、マークした場所が見えます。
自分の唇をさわってみるとわかりますが、カーブしてますよね。このように四角ではないのです。
イメージ的にはU次にカーブを描いています。
さらに下唇下制筋をテキトウに設置して、あごの脂肪などを付け足せばスペースができます。さらにここにオトガイ筋があるのですが、省略します。
あまりブレンダーを使うのが得意ではないので難しいですね。なぜ真横から唇溝がみえるのか。
たとえばこのような筋肉がついていると仮定したらどうでしょうか。
このスペースですね。
言語化するのがなかなか難しい。要するに、下唇唇溝よりも唇の下の筋肉(?)のほうが前に出ているため、溝が見えるのではないかという仮定です。この溝は曲線を帯びています。
あるいは、この謎の筋肉ではなく、下唇唇溝そのものがよこから見えて影にみえているかのどちらかですね。
謎の筋肉といっていますが、これはいわゆる口輪筋です。口輪筋の傾斜+オトガイ筋の傾斜+下唇唇溝との段差=唇溝だと思います。またブレンダーを勉強する際に深く研究したいと思います。
下唇下制筋に影ができる理由はざっくりそんな感じだと推測します。もちろんオトガイ筋も関係しています。
さて、最後にグリッドですね。これが意外とややこしい。「どこまでがオトガイ唇溝なのか」という定義の問題になるからです。
個人的にはこのくらいの領域が唇溝のスペースだと思います。ざっくりです。
余っている部分は下唇下制筋で盛り上がっている部分や、口角下制筋です。間に白いスペースがありますが、筋肉としては口輪筋に属するものと思われます。
グリッド的にはこうなるんですが、複雑すぎて覚えられませんよね。もっと単純な印を2,3個覚えてそれを基準に調整する方法とかのほうが使いやすい気がします。あるいはもっと抽象的に広げるとかですね。ざっくりと「2/3から1の間に収まる(y軸)」とか覚えるだけでも全然違ってくると思うんですよね。
どう使用するかは自由ですが、情報として残します。ポジではなくネガを見るという思考法も面白いですね。あるいは球体の半分だと図形的に理解するとか。
下顎はどこでカーブしているのか
下顎を単純化すると三角形なんですよね。
ただしこの三角形ではなく、このように理解したほうが描画では役立つかもしれません。
なぜかというと、実際の線としては赤色の方の三角形のほうが役立つからです。
あれ、ルーミスの顎の部分は三角形に含まれないの?そう思いますよね。なぜ水平的なの?と言い換えることもできます。
これは頭蓋骨的な問題と、脂肪的な問題
が複合的に合わさってできるのだと思います。
まず頭蓋骨的にいえば、「先端には厚みがある」ということです。
つまり私の仮定を説明します。まずはこのような角度をもつ下顎があると想定します。単なる思考実験なので正確に下顎の形に合わせようとしているわけではありません。
この下顎を下から見るとこうです(パースはかかっています)。
そして横から見るとこうです。
こうみると、やはり中央の顎と重なる部分が平行になっていることがわかるでしょうか。
側面の下顎が斜線的に上がっているので、中央の顎の平らな部分がみえるということです。これがルーミスにおける顎が平らに見える理由だと思います。
他にも脂肪やら皮膚やらがあるので、さらに斜線的な下顎と、平行的な顎の差が目立つと思います。
私は「メルクマール」って言葉好きなんですよね。意味は「指標」です。いわゆるめじるしです。このメルクマールをつかんでいくことと、顔の描き方はなにか近いものがあると思います。すべてのグリッドの位置を覚えていく等より、ほんとうに重要な数カ所のメルクマールを抑えると絵がかけてしまうみたいな感じですね。
今は分析の途中なのですべての分析をしていくことになりますが、いずれメルクマールだけ取り出して提示できればなと思います。
で、グリッドでしたね。ポイントは線がどこで曲がるかです。この位置としては、Z軸1がわかりやすいのですが、実際はもう少し下の5/6くらいな気もします。これもメルクマールとして使うならZ軸1でもいいと思うんでよね。
ちなみに顎のY軸を上に伸ばしていくと目の端にあたるというのもメルクマールだと思います。
実際に描いてみる
この項目はあまり得意ではないのであまり期待はしないでください。分析は好きですが、絵は普段ほとんど描きません。
まずは比率を確保することが重要です。今回のケースでは2:3の線を上手に確保することが重要になります。フリーハンドでも、定規でも、デジタル定規でも何でもいいと思います。いずれはこういった線をかかずに頭の中で構築できるように目指します。
次はX軸に1/3の分割を付け足します。
さらにZ軸も3分割します。
次に、1/12を頭の中で想定しながら、印をつけていきます。
別に印をつけなくてもいいのですが、今回はわかりやすいようにつけています。グリッドが具体的にどの位置を指しているかは座標を見ればわかります。基本的に1/12あたりを目安に付けています。
たとえばこの三角形はY軸でいうところの2/3を再開にして、1/12プラスか1/12マイナスかといった間隔でつけています。別にルーミスの顔の細かい比率は記憶しなくてもいいと思いますが、知っておいて損はないでしょう。もっとわかりやすい分割法もあるかもしれません。
下唇のこの点ですが、もうすこし下のほうがよかったですね。ここも気持ち絶対値1/12くらいを目安にしたほうがいいかもしれません。つまりもうすこし平行な線のほうがいいかなと思い修正しました。細かいのであまり気にしないほうがいいと思いましたが、1/6指標にしてしまうと角度がすこし急な感じがしました。
次は唇の上ですね。いわゆる稜線です。メルクマール的には、とりあえず唇の上にはこの稜線があるという意識が重要になってくるのではないでしょうか。
意識としては上唇の左側のY軸の頂点よりも、1/6よりすこし短い幅くらいでカーブさせる用な感じですね。陣中から鼻中隔軟骨への線はX軸2/3から左に1/12ズレる感じを目安にしています。
あらためて描くとこんな細かい比率を厳密にやるのはルーミスの顔を描きたい人以外はそこまで有用ではないなと感じてしまいます。また、ルーミスの顔の比率自体も、ルーミス自身がかなりラフなので再現するのが難しいです(ルーミスの提示する数値の比率と、ルーミスの描画の比率が一致していないため)。
だかからこそ有用なメルクマールを検討することが重要ですね。いわばより抽象的な要を見つけるということです。100点をとるためには1000個覚える必要があるけど、10個覚えれば70点はとれるみたいな間隔ですね。この10個はどこだ?というのがメルクマールだと思っています。
次は唇の下です。いわゆるオトガイ唇溝ですね。とりあえずメルクマール的には唇の下には溝があるという意識が重要だと思います。かなりざっくりえばその幅は唇の幅全体の1/4強ですね。高さは2.5/4くらいでしょうか。
次は顎ですね。
上の通りのグリッドです。2*2の正方形内でこのカーブができるのかあと思いました。とはいったものの、ルーミスの顔はいわゆる英雄型で日本人でこの顎の人は少ないかもしれません。
細かい比率を分析してて思ったのですが、こういったグリッド感覚の調整が上手い人は、模写もうまいのだと思います。自分は得意ではありませんが、プロの方々はなんども模写を練習している過程で獲得していっているのだと思います。たしかに素人が1日歌の練習をしたからといってプロの歌手になれないのと同様に、グリッド感覚も修練の連続の賜物といえるかもしれません。
たとえばAとBの線の比率は?と自分で問いをつくり、自分で1:1.25といったように解答し、練習していくのもいいいかもしれません。今は細かく思える1/12が簡単に思える日がくるかもしれません。
ひろゆきさんか誰かが言っていたのですが、ひとつのことを100%こなす時間と10個のことを70%こなす時間が等しいなら、10やったほうが効率いいよね?という場合もあるかもしれません。
最後は側面の下顎角付近ですね。これも基本的にグリッド通りです。
本当はモダイオラス(口角)の分析もしたいのですが、ルーミスでは口角がわかりにくいですね。長さ的には唇の端に√2くらいの長さをつけたす感じですかね。口角については(いつか)別の記事で深く掘り下げたいと思います。
メルクマールを検討する
大枠の50点くらいがこれです。基本的にこれを抑えればいいと思います。そこから削ったり増やしたりを補完するかたちです。いわゆる下書き的な段階?ラフ?です。ネームとかの段階ではこれでもいいと思います。あれもしかして50点もない?でもこれくらいの比率ならまずは記憶できそうですよね。
参考文献
人体の描き方関連
ルーミスさんの本です。はじめて手にした参考書なので、バイブル的な感じがあります。
人体のデッサン技法 ジャック・ハムも同時期に手に入れましたが、比率で考えるという手法にルーミス同様に感動した覚えがあります。ルーミスとは違う切り口で顔の描き方を学べます。
解剖学関連
スカルプターのための美術解剖学: Anatomy For Sculptors日本語版 スカルプターのための美術解剖学 2 表情編
一番オススメの文献です。3Dのオブジェクトを元に作られているのでかなり正確です。顔に特化しているので、顔の筋肉や脂肪の構造がよくわかります。文章よりイラストの割合のほうが圧倒的に多いです。驚いたときはどのような筋肉構造になるか、笑ったときはどのような筋肉構造になるかなどを専門的に学べることができ、イラスト作成においても重要な資料になります。
こちらはほとんどアナログでイラストがつくられています。どれも素晴らしいイラストで、わかりやすいです。文章が少し専門的で、難しい印象があります。先程紹介したスカルプターのための美術解剖学よりも説明のための文章量が圧倒的に多く、得られる知識も多いです。併用したほうがいいのかもしれません。
遠近法関連
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スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く方法-
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やはりこれですかね。
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