【イラストのネタ・資料・題材】アンフィスバエナとはなにか【魔獣・怪物・クリーチャー・化け物】

アンフィスバエナとはなにか

アンフィスバエナの意味

*1

アンフィスバエナ(古希: Αμφισβαινα, 羅: Amphisbaena):古代ローマなどの書物に登場する両頭の蛇。猛毒を持っている。名前の由来は「両方向に進める」というギリシア語にある。古代には双頭の蛇として描かれたが、中世以降は脚や翼が生えたドラゴンとして描かれるようになることが増えた。アンフェスバエナともいう。

アンフィスバエナの特徴

猛毒をもっている

大プリニウス(古代のローマの博物学者)が書いた『博物誌』という本では頭が2つある理由を1つの頭では足りないほどの猛毒を吐き出すからだと記されている。

薬にもなる

アンフィスバエナを乾燥させた皮膚はリウマチの治療に使われ、生きたままのものは妊婦のお守りとしたとローマ時代の書物に書かれている*1

寒さに強い

イシドルース(中世初期の神学者)によればアンフィスバエナは寒さに強い。温血動物(いわゆる恒温動物)だからといわれている。

コラム

・恒温動物とは気温や水温など周囲の温度に左右されることなく、自らの体温を一定に保つことができる動物。たとえば人間は恒温動物。恒温動物の対義語は変温動物で魚や虫に多い。

名前の由来

ギリシア語で「両方」を意味する言葉が「アンフィス」、「行く」を意味する言葉が「バイネイン」をあわせた言葉が名前の由来。「両方行く」=「アンフィスバエナ」。体の両端に頭があるので両方進めるという意味になる。

その他の特徴

日本のサイトは情報が少ないので、海外のサイトを訳していきたいと思います。WIKIに乗ってない情報が豊富です。

「glowing eye」とあったので真っ赤な目、もしくはギラギラした目をしていると思われます*4

「It can slither in either direction or it can form a hoop and roll*4」ともあります。頭が尻尾のどちらかの方向にズルズル滑るようにして進む、もしくは輪を作りながら回転して進むということです。。

「Unlike other snakes it is well adjusted to the cold and can use its eyes as lamps to see in the dark. It lays eggs and the heads take turns guarding them.*4」とあります。他のヘビと違って寒さに強く、暗闇でもよく見えるそうです。頭と尾頭を交代しあって卵を守るそうです。

「If bitten, you will suffer wounds that never heal and then you will die, or the bite will result in something similar to the sting of a flea. *4」とあります。噛まれたら傷に苦しんで死ぬ(治らない)か、もしくはノミに刺されたようなときと同じようになると書かれています。必ず死ぬような猛毒かと思っていましたが、意外とかゆいだけで済む場合もあるみたいですね。思ったより小型の蛇かもしれません。

別の文章には「According to Pliny, coriander taken in a drink is a remedy for the bite of an Amphisbaena. He also recommends using the skin of the serpent to cure a fever, and warns pregnant women of miscarriage should they step over one, however carrying a live one will prevent miscarriage*4」とあります。

Plinyとはおそらくローマの詩人のガイウス・プリニウス・セクンドゥスのことです。彼によればアンフィスバエナに噛まれたときはコリアンダーを入れた飲み物が治療にきくとあります。

コリアンダーとはいわゆるパクチーですね。どくとくな味と匂いがする香草です。

熱にはアンフィスバエナの皮が有効ともあります。リウマチやしもやけにも効くそうです。ちなみに皮は乾燥させるそうです。

さらに妊婦のお守りにもなるそうです。英語では「carrying a live one will prevent miscarriage」とあります。つまり生きたままのアンフィスバエナを持ち歩くことで、流産を防げるということです。

アンフィスバエナに関するエピソード

古代ローマの詩人ルカヌスによるエピソード:メドゥーサから生まれた

ルカヌスの『内乱(ファルサリア)』によれば、メドゥーサの首から落ちた血液からアンフィスバエナが生まれたらしい。

※メドゥーサとはギリシア神話に登場する怪物。宝石のように輝く目を持ち、見たものを石に変える能力をもつ。

ルカヌスの『ファルサリア』:アンフィスバエナの生態

古代ローマの作家であるルカヌスによればアンフィスバエナは北アフリカの砂漠に棲(す)み、多くの爬虫類と同様に砂の中に卵を産んで孵(かえ)すらしいです*5

アンフィスバエナの元ネタ?

リビアの砂漠に実在するどちらの方向にも進めて危険を察知すると尾が頭のように持ち上がる爬虫類がもとになっているそうです*5。足のないトカゲから想像されたとか、ミミズトカゲの属名とかいう説もあるとか*1

 

蛇なのか龍なのか:どちらが前で後ろか

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古代は蛇として描かれていましたが、中世以降になってドラゴンとして描かれることが多くなったそうです。

蛇の状態だとどちらも左右対称なのでどちらが前か後ろか判断できません。その意味で「どちらにも進める」という本来の言葉の意味に合っています。

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こちらがアンフィスバエナの龍の絵です。脚や翼が生えて龍のようになってますね。

ドラゴンの状態だと翼に近いほうが前のイメージがありますよね。紋章によく使われるのはこのドラゴンの状態の絵だそうです。

アンフィスバエナはウロボロスに似ている?

ウロボロスのイラスト*2

ウロボロス(英:(ouroboros, uroboros)):古代の象徴のひとつ。自分の尻尾を噛んで輪になった蛇や龍を指す。アステカ、古代中国、ネイティブアメリカン、古代エジプトと多くの文化で登場している。宗教ではキリスト教、ヒンドゥー教、グノーシス主義などでも象徴として用いられている。

アンフィスバエナとウロボロスは似ている面があります。

イタリアでは何万もの回転するアンフェスバエナが登場し、襲撃されたという言い伝えが多く残っているそうです*1

この「回転」というのがポイントです。アンフィスバエナが車輪のように地面を転がって進むと、尻尾の頭をもう一方の頭が加える形になるからです。回転しながら進むためには尾を加えたほうが早いということでしょうか。

アンフェスバエナのイラスト・絵・イメージ

海外のイラスト

アンフィスバエナのイラスト*3

 

アンフィスバエナ 魔獣 イラスト*3

 

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アンフィスバエナの絵*8

 

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遊戯王カードにも題材として使われてるんですね。©konami

参考文献

1:「知っておきたい天使・聖獣と悪魔・魔獣」,荒木正純,(西東社)

2:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%95%E3%82%A3%E3%82%B9%E3%83%90%E3%82%A8%E3%83%8A

3:https://www.deviantart.com/feig-art/art/Amphisbaena-675271179

4:https://www.lizaphoenix.com/encyclopedia/amphisbaena.shtml

5:「世界の怪物・神獣辞典」キャロル・ローズ(原書房)

引用画像

1:https://scale.pin-tattoo.com/amphisbaena-2-headed-serpent-often-portrayed-as-a-dragon-amphisbaena-doubleheadedserpent/

2:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%AD%E3%82%B9

3:https://lpbestiary.tumblr.com/search/greek

4:https://williammorristile.com/medieval/bestiary_dragons.html

5:https://www.lizaphoenix.com/encyclopedia/amphisbaena.shtml

6:https://i.pinimg.com/originals/53/91/e8/5391e86291c99d990cd5e6f070ec8b10.jpg

7:https://www.deviantart.com/fawkestheskarmory/gallery/25436950/hybreed

8:https://antrodellamagia.forumfree.it/?t=68415709#entry554098385

9:https://www.art.com/products/p36993921243/product.htm?RFID=990319

10:https://www.shutterstock.com/ja/image-vector/amphisbaena-kundalini-image-twoheaded-snake-that-148490843

11:https://www.flickriver.com/photos/28433765@N07/tags/bestiarium/

12:https://www.deviantart.com/prodigyduck/art/Amphisbaena-646883384

13:https://i.pinimg.com/originals/42/db/8d/42db8dcf1701d038d73a44dbb8614efb.jpg

14:https://www.deviantart.com/the-nk/art/Amphisbaena-Stone-Guardian-245105150

15:https://mobile.twitter.com/westinchurch/status/739970300381630464?s=09

16:https://www.rawpixel.com/image/324268/free-illustration-image-worm-amphisbaena-fuliginosa-ancient

17:https://www.rawpixel.com/image/324268/free-illustration-image-worm-amphisbaena-fuliginosa-ancient

18:https://www.deviantart.com/wen-m/art/Amphisbaena-747217498

19:https://www.ebay.co.uk/i/112636581167

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アーティストのための美術解剖学

こちらはほとんどアナログでイラストがつくられています。どれも素晴らしいイラストで、わかりやすいです。文章が少し専門的で、難しい印象があります。先程紹介したスカルプターのための美術解剖学よりも説明のための文章量が圧倒的に多く、得られる知識も多いです。併用したほうがいいのかもしれません。

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