目次
はじめに
動画での説明
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絵を描く方法の全体の体系
絵の基礎は「線(ドローイング)」、「光と陰影(ライティング)」、「色彩(カラーリング)」の3つの領域にあると仮定する。そしてこのシリーズは「色彩」の領域に属する。※体系に関する詳細は第一回を参照。
色彩学(英:Color Science):一般に、色の物理的性質・心理的影響・知覚・応用を体系的に研究する学問分野のこと。
※本記事シリーズでは、色を理解し、視覚的・心理的・文化的効果を意図的に操作できる能力を身につけることを目標とする。
このシリーズは「カラーアンドライト」を理解するための知識の獲得を目指している。
※光学や生理学だけではなく、塗料や物体の性質といった化学の知識、さらに心理学の知識もその射程となる。
色の三属性とはなにか
色を把握するための基礎理解マップ
色彩理論を学ぶ理由は抽象的にいえば「さまざまな色を自由に使いこなしたいから」だといえる。より具体的なステップとして、まずは「ある色が、どのような色かを言語化する」という作業が重要になる。
たとえば上のような画像の色を見た場合、あなたはなんと言語化するだろうか。
もし明確に言語化できれば、適したアナログの絵具や適したデジタルカラーを選び取ることが可能になる。色彩理論を学ぶということは、「色に関する語彙力」を増やすこと、「色に関する言語化能力」を高めることでもある(言語体系として知ることでもある)。
色に関する言語化能力を学ぶための基本知識として、「色の三属性」がよく挙げられる。すべての応用知識の基盤となるものである。もちろん、そもそも「色」とはなにか、「光」とはなにか、「なぜ色を知覚できるのか」という基本知識のさらに前提知識も存在する。前提知識については今までの第1回から第5回までで扱ってきたのでぜひ参照してほしい。ただし、いきなり第六回からはじめても問題はあまりない。
図にするとこのようなイメージとなる。
今回は「色の三属性」の基本を扱う。次回以降は色相に関連する要素を右の図のように派生させて扱っていこうと考えている。
色の三属性とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
色の三属性:色を客観的に区別、記述するための基本的な三つの性質のことであり、色相、明度、彩度の三つを指している。
「色の見え方」は基本的にこの色の三属性によって左右される。「あの色はなんだろう」という問いが生じた時にまず考慮すべき要素であるといえる。
ただし、色の三属性以外にも色には特有の属性があると主張する人がいる。
持続性、大きさ、形、位置、肌理、光沢、透明、揺れ、主張性、顕著性などさまざまな要素が挙げられる場合がある。
色相とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
色相(英:hue):可視光の波長の差異に基づいて、色がどの波長帯に属するかを示す属性のこと。
可視光などの光学の知識については第二回の動画を参照してほしい。我々が「あの色は赤色だ」とか「あの色は青色だ」と単純に表現するとき、それは色相のみを言語化していることになる。
可視光はおよそ380nmから780nmの範囲である。たとえば「1nmごとに色が変化した」と人間が認識できるとすれば、色相は400個あることになる。
しかし多くの人間はそこまで正確に色相を把握していない。もっとも簡易的な色相の分類は「虹の七色」だろう。もちろん、七色を何色と表記するかなどは国によっても異なる(5色や6色とする場合もある)。
上の図は第二回で扱ったものであり、可視光を便宜的に七色に区別したものである。
色彩学においてどこまで色相を分けるかという問題は、「どの表色系を用いるか」という問題と関連している。
たとえば有名なマンセル色相環では、色の基本を赤、黄、緑、青、紫の五色とし、それぞれの中間色をさらに5つ補完し、大まかな10色相が設定されている。そもそも基本の三原色をどの色相にするかについても議論がある(理論的な議論というより、実際的な議論ではあるが)。今回はそうした色相の応用の話は扱わない。
明度とはなにか
明度(英:lightness):物体色にのみ適用される明るさの尺度であり、反射率が高いほど明るく、低いほど暗く見える。
たとえば上の色は同じ色相だが、明るさだけが異なる。
ここで重要なのは、同じ色相でも違う色があるということである。明るい赤と暗い赤は同じ色相ではあるが、同じ色ではない。
同じように、彩度がすこし違うだけでも違う色として扱うことができる。たとえば色相が3つでも、明度と彩度を10段階で区別すれば、300色のパターンができる。もちろん、どれほど違えば違う色として認識するのかという問題はある。
物体が白から黒の中、いわゆるグレースケールにおいてどの程度に心理的に感じるかという点が明度では重要になる。よく光を反射する物体ほど、一般には明度が高くなり、その程度は「反射率(0~100%)」で表現される。たとえば林檎の色の明るさには明度が用いられるが、「輝度(luminance)」は用いられない。輝度(cd/m² )は光そのものの物理的な強さを示す指標だからである。照明などでは輝度が単位として用いられる(そして明度が用いられない)。
※明度などの用語については別の記事で詳細を扱う予定である。
彩度とはなにか、意味、定義、わかりやすく解説
彩度(英:chroma):一般的には色の鮮やかさの度合いを意味している。
より専門的には「全体の明るさに対する色みの割合」を意味する。たとえば白や黒、灰色は無彩色であり、かつ色相を感じない色である(明るさは感じる)。※彩度についてはいずれ別の記事で詳しく扱う。
それぞれの色の波長が全体にバランスよくまざっていればいるほど無彩色に近づく。その無彩色が明るければ白、暗ければ黒、中間なら灰ということになる。
もし波長がバランスよく混ざらず、特定の波長が多ければ多いほど、その波長の色の鮮やかさは上がりやすいといえる。彩度(chroma)の類似した用語に飽和度(saturation)や純度(purity)がある。飽和度は彩度と同様に心理的な鮮やかさの感覚的度合いであり、純度は物理的なスペクトル分布の偏りを意味する。
(3)次回の予定
次回の予定
おそらく「三原色」について扱う予定。同時に、加法混色と減法混色、そして着色材混色についても扱いたい。
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参考文献
基礎本
ベティ・エドワーズ 「色彩・配色・混色: 美しい配色と混色のテクニックをマスターする」
ベティ・エドワーズ 「色彩・配色・混色: 美しい配色と混色のテクニックをマスターする」
・初心者にもわかりやすい平明な言葉で説明されており、ドローイングとの関わりを特に重視している書籍。初心者ならこれを買っておけば間違いない。
千々岩 英彰「色彩学概説」
・初心者にはわかりにくい難しい言葉で説明されているが、科学的な説明であり、体系的で網羅的な説明がされている良書。ドローイングのためという限定的な目的ではないが、色彩学を単なるハウツーではなく学問として学びたい人には必須の本であると言える。
上級者向け
ジェームス・ガーニー「カラー&ライト ~リアリズムのための色彩と光の描き方~」
ジェームス・ガーニー「カラー&ライト ~リアリズムのための色彩と光の描き方~」
・色彩学の基礎を一通り理解したうえで、美しい絵や個性的な絵、限定的な絵をよりもっと上達させたい人に向いている。色の扱いだけではなく、光の扱いにも言及されている有名な書籍である。この記事シリーズでは、この書籍の理解を中間的な目標として目指している。
ジョセフ・アルバース「配色の設計 ―色の知覚と相互作用 Interaction of Color」
ジョセフ・アルバース「配色の設計 ―色の知覚と相互作用 Interaction of Color」
理論の説明ではなく、実践に特化した本。まずは塗ったり、見たり、触ったりして覚えるという手法をとっている。私の記事シリーズとは方向性が違うが、しかし絵を描く人にとっては良書だといえる。
「色彩用語事典」
・あったら便利だろう。とはいえ、現代ではネットで探したほうが早いかもしれない。
使用している汎用書籍
「対策色彩検定カラ-コ-ディネ-タ-検定 (2級・3級)」,新紀元社
「対策色彩検定カラ-コ-ディネ-タ-検定 (2級・3級)」,新紀元社
小林嗣幸「理・美容の造形と色彩」
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