目次
はじめに
動画での説明
・この記事の「概要・要約」はyoutubeの動画の冒頭にありますのでぜひ参照してください。
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一点透視図法で教室を描くために必要な情報
まずは教室の寸法を把握する必要がある。要するに、平面図の情報(実寸)を手に入れる必要がある。
グーグルで調べれば出てくるので、自分の構成したい教室の情報をまずは探してほしい。今回はベーシックな教室を想定する。
- 床の情報:縦幅が9メートル、横幅が7メートルであると仮定する
- 壁の情報:高さが3メートルであると仮定する。今回は床や天井、壁に1平方メートルのマスを設定する。
- 黒板は縦幅が1.5メートル、横幅が4メートルだと仮定する。上に60センチメートル、下に90センチメートル間隔で設置する。
- その他、蛍光灯や窓などを適宜必要なら追加する必要がある。今回は細かい備品は扱わない(ざっくりとした黒板、柱、窓、教壇のみ)。
- 一点透視図法の基礎知識については、第二回や第三回の動画を参照してほしい。
一点透視図法の基本画面を構成する
キャンバスを用意する
今回は視円錐45度で、キャンパスサイズは大きめの1191×1684ピクセルとする。キャンパスの大きさは任意でかまわない。アナログの場合はA4サイズの紙(横21cm、縦29.7cm)などでかまわない。単位をセンチの数字で当てはめて計算すればいい。
ちなみに1191×1684ピクセルはA4サイズの解像度(DPI)が144の場合である。一般的に用いられる解像度が72の場合は595×842ピクセルとなる。
一点透視図法では基本的に画面の中心が水平線であり、目の高さとなる。もちろん描いたあとに、トリミングを行って水平線を中心から上下に外すという方法もある。
目の高さは、観察者の身長次第となり、任意の設定となる。今回はわかりやすく、身長が163〜165cmであると想定し、視高を150センチと仮定する(教室の高さの半分)。
視心と水平線を設定する
定規で測ったり、用紙に対角線を引いたりして中心を見つけていく。
この中心がCP(視心)であり、そこに引かれた線がHL(水平線)となる。これで一点透視図法の基本画面は完成となる。
対角線の消失点を設定する
次に、対角線の消失点を設定する。
今回は45度視円錐に全て画面が収まるケースを想定する。※視円錐設定の詳細は第3回の動画を参照してほしい。
※今回の計算式 X=√(1191×2+1684×2)≒2062,2062×2.4≒4950
4950×4950ピクセルの画面の端に、対角線の消失点(DP)を設定する。
アナログの場合は大変だが、紙をたくさん用意したり、紐を使ったりする必要がある。もしくは視円錐を小さくしたりしてサイズを小さくしてもいいだろう。ざっくりと同じA4用紙を横に並べて何枚くらい、などという概算でもかまわないだろう。
正面の壁を構成する
まずは奥の壁から考えていき、そこから線を伸ばしていこうと思う。奥の壁は収束する線がないので、比率は実寸のものと同じである(定規で測っても同じ比率になる)。
任意の長さの3(縦)×7(横)の長方形を描く。このサイズが小さければ床や天井をもっと多く描き込める。今回はこのくらいのサイズにしておいた(後で見返してみると、もうすこし大きくてもよかったかもしれない)。
1平方センチメートルのマス目を作っておく。
※実寸ではなく、あくまでも比率の問題である。これが実寸1ミリでも1キロでも、ある一辺を1センチメートルであると仮定するということである。それゆえに、実寸の長さは比率さえ守れば自由に決められる。
床や壁、天井のマス目を構成する
先ほど作った正面の壁の隅から、視心へと線を伸ばしていく。
さらに同じ線を逆方向へ延長させていく。あとで必要ならば延長するので、任意の長さでもいい。長く延長させたほうが後で楽になる(4950ピクセルの画面の端くらいまで長く)。
ここからがすこし細かい作業になる。
DPを用いて1平方メートルの立方体を構成する(細かいやり方は第3回の動画を参照)。
まずは隅の立方体からCPへと線を伸ばしていく(青い線)。
立方体の奥行きを知るために、DPへと線を伸ばしていく(赤い線)。
ほとんど奥行きがないが、この狭い奥行きで立方体を作成していく。
※水平線に近い位置なので、奥行が狭くなる
さらにこの立方体を2分割する。対角線を用いるか、定規を使う。
※収束する線がないので、定規で分割することが可能になる
分割した線からCP(一点透視図法の消失点,つまりVP)へと線を伸ばし、さらに逆方向へ線を延長する。
立方体のこの点をAとする。
このAから、先ほど引いた分割線を通る方向へと線を伸ばしていく(ちょうど立方体を二分する位置を通るように線を伸ばしていく)。
この方法は立方体を分割するときによく使う基本的なテクニックである。
奥行きの線(青い線)と交わった線をBとする。このBから水平線を右側に引いていく。
同じ作業を繰り返していく。
最後まで引いたものがこちら。
画面内に収まるくらいの範囲で引く。
あとはこれらのマスを規準にして、上下左右に延長させていく。建築をするわけではないので、それほど神経質にならなくていいと個人的には考えている(かなりざっくり線を引いている)。これがほんとうのマス目なら、線の太さも、奥へいくほど細く、薄くしていく必要があるかもしれない。今回は視認性を重視してこだわらない。
スッキリさせると、このようになる。本来ならば床は9マスの奥行であることには注意する必要がある(画面には10マスある)。
※9マスに収めるヒントについては最後のコラムですこしだけ検討する。細かい法則は検討していない。最初に床だけを描いた段階で9マスに収まらないと分かれば、奥の壁をもうすこし大きく描き直すという単純な方法もある。
黒板や教壇や窓、柱などを設置する
一点透視図法で黒板を描く方法、やり方、コツ
・黒板は縦幅が1.5メートル、横幅が4メートルだと仮定する。上に60センチメートル、下に90センチメートル間隔で設置する。※さすがに60センチや90センチだと、アナログの場合は定規ではかったほうが早いだろう。幾何学の知識を使ってマスを正確に10分割する方法もあるにはあるが、面倒である(概算なら4分割を目安に簡単にできるが)。また、60センチや90センチにこだわらず、50センチと100センチに妥協するのいいかもしれない。
これで黒板のスペースを確保することができた。
あとは教壇や窓の寸法を調べたり、柱の寸法を調べて描いていくだけである。
たとえば教壇は幅200cm × 奥行き100cm × 高さ20cmと仮定してみる。
一点透視図法で柱や窓を描く方法、やり方、コツ
教室のフリー画像をいろいろと探してみた。
窓は低すぎるところにはない。今回はきりよく、下から1mとする。窓は上下に分かれていることが多い。10センチほど間隔を開けてみる。
また、部屋の半分の位置に大きな柱があるとする。つまり、4.5mあたりに柱がある。
まずは柱を設置する。対角線でマスを分割して、だいたいのイメージで設置した。
・奥にある柱は高さ3m、幅30cm、奥行30cm
・手前(部屋の中心)にある柱は高さ3m、幅30cm、奥行き60cm
きれいにするとこのようになる。
次に、窓を設置していく。
窓は床から1メートルほど上にあると仮定すると、このスペースに窓がいくつかあるということになる。とりあえず今回は窓が合計8個であると仮定する。上下に2個ずつ設置していく。
ざっと描いてみた。もちろんガラスを塗ったり鍵をつけたりと細かく描いていくわけだが、今回は省略する。
本来ならば柱で窓が隠れているので、その部分を修正する。
全体はこのようなイメージになる。
蛍光灯や机、椅子などの小物を同じ要領で寸法を把握し、描き込めば完了となる。今回はあくまでも土台(グリッドルーム)をつくることを目的としているので省略する。
最後に、ドアをつけてみた。高さ2メートル、横幅は窓と同じくらいにした(1.7メートルくらい)。
柱が30cmだったので、ちょうど2マス目の位置に幅がくるのでわかりやすい。
ドアを描くとこのようなイメージとなる。適当に窓などを足してみた。
【コラム】3Dで教室の透視図法をイメージする
真上からみたこの平面を1平方メートルだと仮定する。
平面を複製して、7個にする。
これで横幅が7メートルになった。
縦幅を9メートルにしていく。
壁も高さ3マス分作っていく。
だいたい1.5メートルほどの高さにカメラを置く。
カメラから見える景色はこのようなイメージ。
残りの壁を構成すると、このような景色となる。
今回の画面構成と同じになるように画面やマスを調整すると、このようになる。
教室が奥行10マスではなく、9マスに収まるためには、奥の壁はこれくらいである必要があることがわかる(横の壁と奥の壁の比率)。
左が奥行が9マスで収まっているケースである。要するに、奥の壁をもうすこし大きく描く必要がある。このサイズ以上であれば、奥行のマスが10マス以上映ることはない。
次回の予定
(おそらく)次回は二点透視図法で教室を描いてみる予定。
参考文献
初心者でもわかりやすい本
ロビー・リー「超入門 マンガと図解でわかる! パース教室」
・パース全般の基礎において一冊目にこれを手に取るのに適している。 ・私は「パース!マンガでわかる遠近法」よりも平易に、かつ丁寧に説明されていると感じた。それゆえに、初心者は特に一冊目にこの本をおすすめする。
デヴィッド・チェルシー「パース!マンガでわかる遠近法
・イラストが多く、わかりやすい。パースの基礎用語の説明もされていて、かつ平易にパースの使い方が説明されている良本。ただし、建築パースに特化しているわけではなく、「イラストレーション(漫画)」に特化している点を注意する必要がある。 ・パース全般の基礎を学ぶという目的において一冊目にこれを手に取るのに適している。
上級者向け
「スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く」
「スコット・ロバートソンのHow to Draw -オブジェクトに構造を与え、実現可能なモデルとして描く」
絵を描く、特に線画に特化した本。小難しいが広く、深く説明されている良本。
山城義彦「現代パースの基本と実際」
・パースの歴史や細かい用語が説明されていて便利。ただしメインはイラストレーションではなく「建築パース」に特化している点を注意する必要がある。 ・かなり小難しく説明されている(建築パースゆえにそうならざるをえないのだろう)。例えるなら文系が理系の数学を見たときのあの感覚に近い。建築家ならば通らなければならない道ではある。ただし、この本はだいぶ古く、現代ではコンピューターグラフィックスをもっと多用して楽をするのだと感じた。ただし、楽をするにもその原理を知っておいて損はない。
その他
参考サイト:パースフリークス(URL)
「デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版 -色、光、構図、解剖学、遠近法、奥行き」
「デジタルアーティストが知っておくべきアートの原則 改訂版 -色、光、構図、解剖学、遠近法、奥行き」
・全般的な絵の知識が語られている本であり、パースに割かれる箇所は少ない。ただし、それなりにそれぞれ濃く説明されている本である。 ・パースを学ぼうとしてとる本ではないが、絵の描き方を学ぼうとする場合は選択肢に入ってくる。ただし高いのが難点。
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