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【第一回】blenderを通してパース(透視図法)について再勉強する【基礎用語の理解編】
- 2020/6/15
- パース(blender)
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目次
はじめに
いやー勉強していないと透視図法ってどんどん忘れていきますよね。0から10習得して、2しか覚えてないときもあります。
ただし0から勉強するよりも理解度の早さは確実に上がっているはずです。何回も学習して定着させていきましょう。
パースをデジタルペイントで作成していくうちに、ひとつの疑問にぶちあたります。あれ?これblenderで3D上でやったほうが早くね?と。手書きの良さ、ラフさというのももちろんあります。しかし楽なのは確実に3Dです。しかもblenderは無料です。blenderでざっくりパースを設定して、それを下書きにラフに書けばいいのではないか、という考えもできます。
透視図法ってそもそもなに?基礎用語の理解
透視図法とはなにか
そもそも[透視図法]とはなんぞやという話になります。パース=透視図法=遠近法とほぼ同じ意味です。
「透視図法」とは?意味と定義
透視図法(遠近法)とは「ボリュームや空間関係を平面上に表現する手法」です。言い換えれば「三次元の世界を二次元の面で表現するのに使われる原理や技法」のことです。英語で言うとperspective(パースペクティブ)、略してパースとなります。
消失点とはなにか
透視図法の意味がざっくりわかりましたね。次は[消失点]がキーワードになります。
「消失点」とは?意味とやり方(ブレンダー,blender)
・消失点(英:vanishing point):「画面の奥へ向かう平行線が収束していくように見える点」のこと。あるいは「いくつもの線が収束しているように見える点」。英語でいうと「vanishing point」で略してVP。画面の奥とは具体的に何があるのか。そうです、水平線(HL)が画面(PP)の奥にあります。つまり、消失点(VP)は水平線(HL)のどこかにあるのです。
ただし消失点は想像上のものなので、現実世界でそのような点はありません。消失点まで歩いていこうとすると、地球一周をぐるりと回って最初の位置に戻ってしまいます。つまり架空の点です。
さてblenderで消失点を探していきましょう。blenderで初期設定の立方体とグリッドをよく観察すると、ひとつの点に線がむかっていることがわかります。これが消失点です。
もちろん先程の画面にも水平線(仮)はあります。消失点は基本的には水平線上にあります。
視点を変えるとどの方向にも水平線と消失点があります。つまり観察者の視点によって、消失点や水平線は変わります。
水平線とはなにか
「水平線」とは?意味と定義
・水平線(英:horizon line):見ている人の目の高さを示す、仮想の水平な線。見ている人の目と同じ高さにあるものは、この線と必ず重なる。この位置によって見上げている絵か、見下ろしている絵かが決まる。地平線ともいう。
画面を横切る水平方向の線。この線の位置が観察者の視高(アイレベル)になります。
さてブレンダーで水平線を探してみましょう。問題です。この画像の水平線はどこでしょうか。
正解はここです。
正解はここです。ブレンダーでいうところのカメラをすこし上に上げると、水平線も上に上がりました。つまりアイレベルを上げると水平線も上がるのです。カメラの視点=水平線という理解ですね。
そして水平線の中に一点透視図法では消失点があります。先程の画像で言えば、中央に消失点があります。周りの立方体はこの点に収束していることがわかります。
画面とはなにか
「画面」とは?意味と定義
・画面(英:picture plane,PP):描いている視野を(たいていは)長方形にきりとったもの。身の回りの三次元の世界にカメラを向けたとき、ファインダーに映る二次元の画像のようなもの。絵の一番手前に存在する平面で、そこに描線が描かれる。実際の画面と同一の広がりを持つが、空間内に存在する別物。観察者と画像の視覚的な接触点。
さてブレンダーでいうとこの画面はどこでしょうか。そうです、カメラ視点です。キーでいうとテンキーの0で表示できます。実際にレンダリングされるのはこの視点です。
実際に上記の視点がレンダリングされるとこのようになります。
カメラを撮るときと同じですね。人間の目では多くの景色が見えていますが、その景色のどこを切り取るかが問題になります。
たとえばこの視点から、すこしズレるとこうなります。視点で言えばZ軸を回転させています。カメラで言えば左側にカメラを向けた感じですね。さっきの一点透視図法的な画面から、二点透視図法的な画面になっています。このように、カメラをどう向けるかで透視図法は変わってきます。
たとえばワンピースのルフィの絵を描こうと考えてください。目の前にルフィが立っていますと想定してください。真正面に視点を設定すれば、ルフィも真正面で絵が描けます。もし斜めからルフイを切り取る、画面に設定しようとすれば斜めのルフィの絵になります。架空のキャラクターの場合は、自分がカメラマンだと思って考える感じです。どう切り撮ったら美しいかという観点が芸術性になりえます。
一点透視図法とはなにか
「一点透視図法」とは?意味と定義
・一点透視図法(英:one-point perspective):絵の真ん中にとった1つの消失点を使って絵を描く方法。対象物が肩に対してまっすぐ正面を向いている場合に用いられる。
専門的な用語を使うならば、以下の3つの特徴があります。
1:一つの面が地面(HL)と平行である
2:一つの面が画面(PP)と平行である
3:一つの面が地面(HL)と垂直である
これわかるようでわからないですよね。立方体を例にとって考えれば、つねにどこか一面の正方形が見えている状況です。
たとえばこれは一点透視図法になりえます。
これは一点透視図法ではありません。
というのもこのように斜めの視点から見てしまうと、消失点が1点ではなく2点になってしまうからです。
ということは基本的に、立方体の場合は正面の面が斜めになることはないということです。垂直(縦にまっすぐ)と、水平(横にまっすぐ)ですよね。立方体の場合はわかりやすいんですが、複雑な物体だとどこが正面でどこが側面かごちゃごちゃになります。
このように立方体を増やしても、常に正面は垂直と水平から構成されます。
真上から同じように見るとこうなります。つまり基本的には真正面、真上、真右、真左からしか一点透視図法は構成されないということになります。
立方体だからわかりやすいですが、これが人間となると意外と難しい。
立方体なら真正面が正方形だから一点透視図法と判断できます。しかし人間の顔は複雑なので難しい。
立方体的なイメージで言うとこうなんですよね。人間で言うと、肩がつねに平行といったところでしょうか。
二点透視図法とは
「二点透視図法」とは?意味と定義
・二点透視図法(英:two-point perspective):絵の中心を基準に、左右に置かれた2つの消失点を使って絵を描く方法。
専門的な用語を使うならば、以下の特徴があります。
【2点平行透視図のケース】
1:一つの面が画面(PP)と45度の対角面で、かつ地面(HL)と垂直である。
2:一つの面が地面(HL)と平行で、かつ画面(PP)と45度の対角面である。
【2点有角透視図のケース】
1:一つの面が画面(PP)とある角度で傾き、かつ地面(HL)と垂直である
2:一つの面が地面(HL)と平行で、かつ画面(PP)とある角度で傾いている。
一点透視図法では一つの面で立方体の場合は正方形が見えていました。二点透視図法の場合では、同じように見えません。一点透視図法が一つの面が水平と垂直で組み合わされているとすれば、二点透視図法は垂直だけです。つまり縦の線だけが観察者につねにぴったり合っていることになります。
たとえば上の画像は二点透視図法です。
よくみると観察者に対して垂直な線はありますが、水平の線はありませんよね。青い線は垂直で、赤い線は斜めの線になります。
さきほどの一点透視図法では垂直と水平で構成されていたので、差がわかります。
人間の顔をあてはめるとこんなかんじです。
三点透視図法とはなにか
「三点透視図法」とは?意味と定義
・三点透視図法(英:three-point perspective):3つの消失点を使って絵を各方法。消失点の一つは上方か下方、残りの2つは地平線上に置かれている。見上げているときか見下ろしているときで、対象が肩と斜めになっている場合に使われる。
専門的な用語を使うならば、以下の特徴があります。
1:一つの面が画面(PP)とある角度で傾き、かつ地面(HL)と垂直である。また、見上げる視界になるほど上方(見下ろす視界になるほど下方)に消失点(VVP)が存在する
2:一つの面が地面(HL)と平行で、かつ画面(PP)とある角度で傾いている。また、見上げる視界になるほど上方(見下ろす視界になるほど下方)に消失点(VVP)が存在する
さてブレンダーで三点透視図法を見ていきましょう。たとえばこの画像は三点透視図法に近いものとなります。下から見上げているかたちですね。
拡大して分析してみましょう。観察者と平行、あるいは垂直である線がありません。すべての線が斜めです。X軸、Y軸、Z軸すべての軸が消失点へ向かって伸びているので、3点透視図法ということです。
透視図法を学ぶ意味について
架空のものを描く
これはなかなか難しそうな話だ。
そもそも自分がどういう絵を描きたいのかによって変わる。実物をデッサンするときに、透視図法が役に立つかどうかは微妙なところだ。目で見たものをそのまま描けばいいからです。
透視図法が輝くのは、実際に存在しないものを描くときだと思います。りんごがどういう形状なら自然なのか、どういう大きさなら自然なのかといったリアルさを遠近法は演出することができます。
実在するものと組み合わせて描く
あるいは実際に存在する背景の中に、架空の人間や物を溶け込ませようとするとき、遠近法は役立ちます。いい背景画像の資料を見つけて、自分が創作したキャラクターをその中にいれようとしたとき、サイズ感や方向の把握に役立ちます。たとえば写真の水平線より下に人物を立たせて書いているのに、頭頂部が見えないケースはおかしいですよね。
あるいは実際に存在するものを、どのような視点で切り取るのかという演出性、構図性の観点でも役立ちます。迫力をもたせたいから、りんごを三点透視図法の煽りで描いてみたいとき、りんごを下から見下ろすような視点で絵を描けばいいのです。つまり発想力の素材となります。
分野を越境する
透視図法をきっちり建築設計なみに正確に人間に適用させようとすると、おそらく発狂します。できる人はできるでしょうが、几帳面な人ほど疲れると思います。
なのでブレンダーでざっくり人間の透視図法を知ろうよ!それで下書きに使おうよ!となるわけです。
もちろんデッサンの積み重ねや資料をよく見て描くといった試みで、できるひとはできるようになります。むしろそのほうが王道です。ガチで漫画家やイラストレーターを志す人はデッサンの積み重ねを避けて通ることは難しいと思います。しかし同時にそこまで努力せずに、なんとなく不自然にならないような絵がかけるようになればいいという人もいるはずです。
デッサンにおいても立方体から人間を描いたり、球体から人間を描くといったこともよくするはずです。立方体や球体という簡単なオブジェクトをブレンダー上で構成することはさほど難しいことではありませんん。
いずれにせよ両方できるように越したことはないですよね。人間はともかく、ビルなどは3Dのほうが楽です。実際GANTZの作者さんはMAYAやSHADEといった3Dツールを使って漫画を描いています。最終的には手描きで人間を描き、ざっくりとした位置関係は3Dで把握しているそうです。
パースをギチギチに人間にあてはめてかくと、二次元的な絵では逆に不自然になるケースもあります。漫画やアニメではデフォルメが優先されることが多く、リアルかどうかよりも、美しいかどうか、可愛いかどうかが優先されがちだからです。それが同時に個性でもあります。リアルさを追求しすぎると、個性が消えてしまいますよね。
いい感じで両方の領域を行き来して、ちょうどいい落とし所を探れるといいですね。分野を越境しましょう。
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